ユーザビリティのテストでありがちな勘違いとは何でしょうか? 今回はテストの際にありがちな間違いのトップ5と、それらを回避する方法に関するアイデアをご紹介します。
UX Passionにはすでに、ユーザーテストを計画する方法やテストを実行する方法、そしてどのように対処するかなどを解説した記事がたくさんあります。まだ記事として出ていないのは、ユーザーをテストして、製品やサービスのユーザビリティを評価する際にありがちなユーザビリティの間違いは何かということです。
もちろん、今回ご紹介するすべての間違いが毎回起こるというわけではなく、テストを台無しにする原因は他にもあります。ここでリストアップするユーザビリティの間違いトップ5は、製品の改善に関わるような重要な影響をテストの全体的なゴールに及ぼす、ユーザビリティテストのよくある間違いの代表的なものとなります。
私たちは、本記事でリストアップされているユーザビリティの間違いを何度も犯してきました。本記事が、皆さんがこれらの間違いを回避する助けとなることを願っています。それではさっそく見てみましょう。
1. テストする意味があるシナリオを選ばないこと – 鍵となるユーザビリティの間違いの1つです
ユーザーテストを計画する際に、私たちが自分自身に尋ねる最初の質問の1つは、一体何をテストするのかということです。単にサイトを通して「あなたは、このボタンが何をするものかを知っていますか?」、「あなたは、これが何のためにあるかについてわかっていますか?」と、ユーザーに尋ね続けることはできません。というのも、この質問に関するコンテキストがなく、私たちが得る答えがどうであれ、それは価値のないものだからです。
よって、私たちにはユーザーが自らボタンを押すようにする文脈、つまりシナリオが必要なのです。これは、皆さんがテストするシナリオです。例えば、「XYZサービスを使って、最寄りのメキシコ料理店を見つけ、明日の夜の予約をしてください」では、かなり細かい指示を出しています。あまりに場面を限定しすぎたシナリオを選ぶことは、明らかに間違いです。しかし、インターフェースのより多くのものを網羅するために、あまりにも広範囲で具体性の無いシナリオを設定することも、正しい選択とは言えません。
2.誤ったペルソナをテストする
ユーザーに協力してもらってテストをする時は、製品を使用したであろう人をつかまえることが重要です。そしてこれは、タスクを遂行するやり方を知っているが、他の人々はそうではないということが理由ではありません。皆さんの製品を必要としない人々が、自分たちが見るものだけを評価する一方、製品を使用したことがあるであろう人々はある程度の期待を有しているからです。
例えば、銀行システムをテストしており、ユーザーが銀行の提供している住宅ローンについて学ぶことができるかどうかを調査したいとしましょう。もしこれをすでにローンを持っているか、またはすでに1つ手に入れる予定だった人でテストしているならば、彼らは計算機やシミュレーションのようなツールに興味を持つことでしょう (例えば、いくら稼いだか、食品、衣類その他にいくら費やしたか … そしてそれは、どんなローンが私にとって理想的なのかについて教えてくれます)。銀行ローンを利用することについて決して深刻に考えたことがない人は、単にシナリオを調べるだけで、喪失するものについて考えない可能性があります。
最高の可能性のあるフィードバックを得るために、テストに参加させる人々を慎重に探さなければなりません。
3.ユーザーから大部分のものを得ない
これは、皆さんがどのようにテストを進めるかに関連しています。最も一般的な間違いは、なぜそれを言ったか、なぜそれをしたかについて自分がわかっていると思い込んでいて、そこから先に進んでしまうことです。ユーザーが予測したよりも長く停止したり、異常な行動を行った場合、それがなぜ起こったかについてわかっていると思い込まず、「あなたがこうしたのは以下のような理由からですか?」と尋ねてください。 閉鎖的な質問 (「はい」または「いいえ」の答えを受け取るもの) を決してしないでください。「なぜ、あなたはそのボタンをクリックしたのですか?」のような質問をすることに対しても慎重になる必要があります。というのも、それが間違いだったということを暗に示すことになり、ユーザーが自分が間違ったことをしたと思い始める可能性があるからです。
単にユーザーが自分の考えを共有するように思い出させ、そして彼らが現在行っていること、または起こると期待していることに対して明確に理解するようにユーザーを誘導してください。ユーザーに対して、彼らが現在行っていることが正常かどうかの示唆を与えるべきでありません。ユーザーは自力でそれを見つけるべきなのです。ユーザーの考えに干渉することなく、できるだけ多くの情報と意見を収集するだけで良いのです。
最も一般的な間違いは、皆さんがなぜそれを言ったか、なぜそれをしたかについてわかっていると思い込んでいて、単にそこから先に進んでしまうことです。
通常、何人かのユーザーと同じシナリオをすでに実施し、そしてユーザーの多くが特定の部分の問題を抱えた後、別のユーザがそこで問題を抱えたとしたら、それは同じ理由のためであると仮定することができるでしょう。ですが、それをしないでください。過去のテストに影響されず、完全に客観的にすべてのユーザーに対応するようにしてください。
4.テストの結果が何を意味するか理解しないこと
ユーザビリティテストは、問題を特定するのには良いですが、解決策ではありません! 強調してもしきれないくらい重要です。
ユーザビリティテストの結果は、どの解決が最適かを教えることはできません。それは、問題がどこにあり、そしてなぜそれが問題なのかを、(テストを正しく行った場合に) 教えてくれるだけなのです。(少ない選択肢から) どの解決が最適かを把握するためには、ユーザーをテストしてどちらが最高のパフォーマンスをするかを調べなければなりません。
ユーザビリティテストは、問題を特定するのには良いですが、ソリューションではありません!
時々、ユーザー自身が遭遇した問題をどのように解決するかについて考えている場合があります。もちろん、それは、皆さんがユーザーが言ったことをするべきだということを意味しているわけではありませんが、ユーザーの考えを退けないようにしましょう。むしろ、それはユーザーがどのように考えているのかを示してくれます。それは1人だけであり、代表的なサンプルでありませんが、皆さんにユーザーの思考に対する価値ある洞察を提供してくれます。
5.無駄にテストする
本記事で記載する前にも、これをあまりにもたくさん見てきました。クライアントは、ユーザーとのテストに必要な全てのことを行い、変更すべきこととその方法に関するアドバイスを受けたにもかかわらず、その他の開発の優先事項のためそれを保留にするのです。最終的に全ての問題の3つ目までが解決され、その他の問題はいつまでも解決されないという結果に終わります。
事実、ユーザーテストを実施する理由に関する説明は、単にユーザビリティの問題を特定するだけで、テストで何をするかについて説明しますが、皆さんの業務がどこで終わるかまでは説明しません。テストは全体のイニシアチブの単なる最初の一部であり、最終ゴールは現在抱えている問題を気付くことではなく、より良い製品を完成させることです。
テストを計画する際には、テスト後の開発努力に対する計画も行いましょう。予算の計画や設定をする際には、このことを心に留めておいてください。確かに、テストによって特定された問題の一部は、根本的すぎて修正することが容易ではないかもしれません。それは理解できます。致命的な問題は修正すべきですが、全ての問題を修正する必要はありません。
しかしながら、本記事で解説していることは、テスト後にクライアントの一部からピックアップした考えです。クライアントは最終的に問題が何かを理解することができて満足しているようですが、近い将来においてそれらの問題を解決するつもりはないようです。