英語のUIにおける「Your」と「My」の使い分け

Anthony

UX Movementの著者、編集長。明快で効果的なデザインを愛し、ユーザーのために戦います。

この記事はUX Movementからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

When to Use “Your” or “My” on Menu Items

英語におけるUIのラベリングでは「Your」や「My」という言葉がよく使われ、UI要素とユーザーの関係性が直感的にわかるようになっています。言わずもがな、日本語と英語では表現は違ってきますが、この英語の使い分けの考え方は、UIをよりユーザーにわかりやすく整理するヒントにもなるかもしれません。

UIはユーザーの身体の拡張という位置づけなのでしょうか? それとも全く別の立ち位置からユーザーに対して語りかける存在でしょうか? これは、デザイナーがメニューなどでラベルを付ける際に、悩む問題です。

もしユーザーの拡張であるならば、ラベルは「My(私の)」という言葉が使われるでしょうし、離れた存在ならば「Your(あなたの)」という言葉が使われるでしょう。

正しい言葉で説明文を付けることで、ユーザーは探しているものを見つけやすくなります。同時に、サイトにより集められたコンテンツと、ユーザーにより作成されたコンテンツとの違いが分かりやすくなります。

「Your」と「My」の違いは、ユーザーによる認識の仕方を左右します。ユーザーに対して、一人称の立場から、閲覧させる必要がある状況があれば、二人称の立場から閲覧してほしい状況もあるでしょう。

カスタマイズされたもの vs パーソナライズされたもの

「My」という言葉は、絶対的な意味での所有を意味します。しかし「Your」という言葉は、相対的な意味で所有を表します。

例えば、「あなたの犬はかわいいですね」と言ったとします。一見、その犬の所有者が「あなた」と称された人物であるかのように聞こえますが、必ずしもそうとは限りません。誰かに預かった犬を、あなたが世話しているだけかも知れません。この場合、「あなた」が含む所有の度合いは、あくまで発言者から見た範囲に限定されます。

今度は、「これはわたしの犬です」と言ったとすると、自分にとっても相手にとっても、その犬が「わたし」の所有物だと認識されます。「My」という言葉は、より確実な度合いでの所有を表す言葉です。

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これが、ユーザー自身が完全に制御可能で管理しているものに対して、「My」を使うべき理由です。これはつまりユーザーに「パーソナライズ」されたものともいえます。

一方で「Your」は、ユーザーに関連性があるものに対して使われる言葉です。言い換えると、インターフェース側でユーザーに向けて「カスタマイズ」したものに対して使います。

例えば、位置情報に基づいてユーザーに対しておすすめのイベントを表示し、また、同時にそれを保存する方法を提示するとします。

おすすめのイベントは、ユーザーに対してサイト側から提案されるものなので、「あなたの地域のイベント(Your Local Events)」と表示されるべきです。そして、ユーザーが保存したイベントは、ユーザー自身により選択されたものなので、「わたしのイベント(My Events)」となるでしょう。

どちらの言葉も使わない場合

もし「Your」でも「My」も使わない場合は、ユーザーは自分に当てはまりそうなアイテムを、探しにくくなります。ユーザーはサイトにログインをしたら、自分のコンテンツがどこにあるかを、即座に知りたいと思います。「My」という言葉は、それをすぐに見つけるための、視覚的な手掛かりとなります。

「Your」という言葉を使わなければ、ユーザーはサイトが提供した情報を、ユーザーに合わせて表示されたものだと認識しにくくなります。自分に合わせて表示しているのか、誰にでも見えるものなのかを、判断することができません。

自分向けに表示されたものだと分かると、ユーザーにサイト閲覧の中で優先順位の高いものとして認識させることを期待できます。それが分からないと、好きかも知れないコンテンツを、ユーザーは見逃してしまうかも知れません。

それぞれの要素を区別する

「Your」や「My」という言葉は、ユーザーのメニューの見方に影響を与えます。ユーザーにとっては必要な言葉であり、その表示により、自分が選択・所持しているものと、自分に関連があるものとを区別します。

何がユーザー自身により選択した情報で、何がユーザーに合わせてカスタマイズされる情報かを区別できるようにしましょう。そうすれば、どんな状況において、どちらの言葉を使うべきかが分かるようになります。

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英語のUIに関する議論に関してはこちらも是非御覧ください。

誰のためのUI? Dropboxのデザイナーが語るUXライティング


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