今話題のアカウントベースドマーケティング(ABM)とは何か?

新居 祐介

株式会社アマナ 執行役員 株式会社アマナイメージズ 代表取締役社長 2014年アマナ入社。ストック販売事業部門にて、新規事業開発やアライアンスを担当。GREE社と共同でゲーム素材販売サービス「CARTA」の立ち上げや、サイバーエージェント社とスマホ媒体向け広告サービスのリリースなどを行う。

みなさんは、「アカウントベースドマーケティング(ABM)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? アカウントベースドマーケティングはアメリカで注目をされている概念で、この数カ月は日本においても、アカウントベースドマーケティングに関する記事を目にするようになってきました。

そこで、今回はアカウントベースドマーケティングの基礎的なポイントをまとめてみたいと思います。

なお、より具体的な情報、実践するためのステップの詳細はこちらの記事をご参照ください。
http://uxmilk.jp/57433

「アカウントベースドマーケティング(ABM)」とは?

アカウントベースドマーケティングは、BtoBマーケティングにおける用語で、一言で言うと、自社の売上に貢献する顧客群を特定し、各顧客単位、つまりアカウント単位でマーケティングを行う、というものです。

この定義だけを見ると、営業を中心とする企業では当たり前のようにやっていることのように感じますが、これをセールスではなくマーケティングが行う、というところが新しいところです。

つまり、これまでは各営業スタッフ一人ひとりが、担当顧客や新たに見つけてきた見込客等に対して独自にアプローチを行ってきたものを、マーケティングとセールスが協力して取り組むのです。マーケティングサイドで分析し、時にはサードパーティーのデータ等も取り込み、様々なコンタクトポイントを用意しデータを収集分析しながら、より最適なアプローチを探るというのがポイントです。

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「アカウントベースドマーケティング(ABM)」の進め方

それでは、アカウントベースドマーケティングを実践するための、具体的なステップを見ていきましょう。

  1. ターゲットとなるアカウントを選定する
  2. 選定したアカウントに対してのアプローチ方法を検討する
  3. 様々なコンタクトポイントからアプローチを実施する
  4. アカウント単位で検証する

上記の各ステップにおいて、重要なポイントは以下のとおりです。

①アカウント選定はマーケティングとセールスが連携して進める

ここでのポイントは、マーケティングサイドだけで行うのではなく、セールスサイドと一緒に行う、ということです。これまで、マーケティングサイドでは、MA(マーケティングオートメーション)などを使って、データに基づいてリードをスコアリングし、セールスに渡してきたと思いますが、アカウントベースドマーケティングにおいては、セールスサイドの、いわゆる「現場の声」を聞き、アプローチを検討することが重要です。

②コンテンツマーケティングも有効

ではターゲットとして定めたアカウントへどうアプローチすればよいのでしょう? 既に関係性ができているアカウントであれば、セールスが直接アプローチすればいいのですが、そこまでの関係でないアカウントについてはナーチャリングが必要です。この段階においては、MAツールも活用できますし、コンテンツマーケティングの手法も有効です。

アカウントベースドマーケティングにおいて、ターゲットが明確になることはコンテンツマーケティングにおけるペルソナ設定がより正確に行えるということです。結果、生み出されるコンテンツの精度が高まり、ターゲットとして選定したアカウント以外のリードの獲得にもつながります。

③アプローチ後もマーケティング⇔セールスの連携が重要

アカウントベースドマーケティングの議論では、あまり語られることが多くありませんが、アプローチ後のケアも重要です。セールスがアカウントにアプローチしたものの商談が成立しなかった場合、「ダメだったから次のリードを」ということではなく、そのアカウントをマーケティングに戻し、もう一度ナーチャリングしていくというサイクルを回すことが重要です。

その際に、当たり前ですが、ダメだった理由や状況についてマーケティングサイドに情報を渡すことで、今後マーケティングサイトでのアカウントに対する評価の精度が上がってくることでしょう。

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「アカウントベースドマーケティング(ABM)」の本質とは?

今日(こんにち)のマーケティングでは、特にMAやDMPなどのツールがたくさん出回るようになったこともあり、どうしても手法やツールに目が行きがちで、新しいものを次から次に試していくという状況が繰り広げられています。

その中で、アカウントベースドマーケティングというのも一つのバズワードではあるものの、その本質は「顧客と向き合い、よりよい関係性を構築する」というものだと感じています。まずはマーケティング・セールス共にこの姿勢を再確認した上で、コンテンツマーケティングや、MAやSFA、またCRMなどのツールをあくまで手法として戦略的に活用していくということが、本当の意味で、アカウント=顧客単位でのマーケティング活動、すなわち「アカウントベースドマーケティング」ということであると言えるのではないでしょうか。

なお、アカウントベースドマーケティングと類似の手法として、マーケティングオートメーションが挙げられます。マーケティングオートメーションのツールを提供している会社が、アカウントベースドマーケティングも支援していることも多く、混同しがちですので、この両者の違いについて解説しました。

また、本記事で挙げた導入までの4つのステップの詳細も解説していますので、下記のページも合わせてご覧ください。

アカウントベースドマーケティング(ABM):MAとの違いと導入におけるポイント


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