世界の8億500万人が慢性的な栄養不足に陥っています。全体数は徐々に減少していますが、未だに多くの人が飢餓に苦しんでいます。今回紹介するShareTheMealは、国連に所属し食糧支援を中心に活動する機関であるWFPからリリースされている、世界初の飢餓撲滅のための寄付アプリです。現在は、シリア内の紛争から逃れヨルダンの難民キャンプで生活する2万人の子どもたちへの食事支援プロジェクトが実施されています。
3ステップですぐに寄付できる
ShareTheMealはアプリ内での操作が一度登録してしまえば3ステップに収まっているのが特徴です。買い物中でも食事のときでもトイレの中でも、思い立ったときにすぐに支援ができるようになっています。支払い情報登録後には、1分あれば余裕で寄付が終わります。ウェブ業界ではサイトの表示を少しでも早くするための工夫について議論されていることからもわかるように、人は自分の時間が「消費される」につれて対象へのモチベーションが下がります。(ただし、待ち時間もワクワクするといった場合は、待ち時間もUXの質を高めるものになり得る。)鉄は熱いうちに打てということわざの通りで、人間が行動するにはその場の勢いも大事なのがよくわかります。
シェアをしやすいアプリ
ShareTheMealはFacebook連携を推していることからもわかるのですが、SNSを通じたシェアに力を入れています。ただ、それとは別にサービスの性質自体がシェアにとても向いています。ShareTheMealはシンプルに言えば社会貢献のためのアプリなので、ユーザーはアプリのことや自分がいくら寄付したかを不特定多数の人にシェアすることに対して、変に思われないかと疑問をもつ必要がなく、シェアされた側は仮に興味がなかったとしても不快になることもそれほどありません。
ブランドのもつ安心感
ShareTheMealには、国連WFPがリリースしているという安心感があります。例えば、外出先での募金は実際どのようにどういう配分で使われるか、といった情報がその場で(ひどいとその後も)わからないこともあり、また悪質な募金詐欺も存在するため、支援したい人の不安を助長させる側面があります。アプリでも同じことです。そのなかで、歴史と実績がありグローバルに展開する機関がきちんと責任をもって支援金の使い道を表明しているということには、何ものにも替えられない価値があります。加えて、プロジェクトの達成率がいつでもすぐに確認できるのには誠実さを感じます。
いいことをしたい人たちを活用する
世の中には「ちょっと」いいことをしたいと考える人は意外と多いようです。例として、Folding@Homeをはじめとしたグリッド・コンピューティングを利用したプロジェクト郡があります。コンピュータの空きリソースをバックグラウンドや所有者が使用していない時間に活用する仕組みなので、所有者は少ない負担で参加できます。グリッド・コンピューティングのプロジェクトは長い期間にわたり数多くの成果を出してきました。コンピュータの所有者はプロジェクトごとに設定された課題解決のために貢献でき、かつ経済・時間的な負担をほとんどしなくても良いことが協力者が多く集まった理由の1つであるのは間違いないです。負担もないですが、逆に報酬もないことがほとんどなので、自分に大きな負担がないならば誰かを助けるのに報酬を必要としない人たちが世界中にたくさんいることがわかります。ShareTheMealの1口60円も、これならちょっと試してみようかなと思わせてくれる金額です。広く浅く、数の力でプロジェクトを回すという仕組みになっています。
まとめ
コンセプトは特殊で、機能が特化したアプリですが、それゆえの面白さや工夫があるアプリでした。サービスそのもののシェアがしやすいか、といったアプリの性格のようなもの見えますし、時間について考えさせられました。ユーザーに時間を割いてもらっているいうことを制作者はいつでも忘れるべきではないですね。また、場所や時間にとらわれないというのは、インターネットの発達とスマホをはじめとするモバイル端末の普及によってもたらされた大きな変化だな、と改めて感じる次第でした。