ユーザビリティを調査する際のユーザーリサーチには多くの選択肢があります。今週は最もよく使われるユーザーリサーチの手法から6つを吟味して、どうしてそれらの人気が高いのかを見てみましょう。
似通った問題なのに、うまく解決しようとすると全く異なるアプローチが必要になることが多々あります。これは何においても言えることですが、ユーザビリティ・リサーチにおいても例外ではありません。
ユーザビリティリサーチは、ユーザーの行動、ニーズ、方法論を観察し、理解することに尽きます。Mike Kuniaysky曰く、「利用者におけるデザインの影響を理解するプロセス」なのです。
ユーザビリティの専門家は、多くのツール(調査手法)を自由自在にあやつり、問題解決をします。そこで、ユーザーリサーチのアプローチで最もよく使われるものをいくつか紹介してみます。
ユーザビリティテスト
ユーザビリティテストは、典型的なユーザーでテストをし、プロダクトやサービスを評価するのに役立つ手法です。外部の邪魔を排除し、テスターが全プロセスをうまく記録できるように、実験室など管理された環境下で行われるのが好ましいのですが、ネットなどを使った遠隔のテストでも、障害や邪魔が入らないようにした部屋さえ用意できれば実施することもできます。テストは録画されることが多いですが、テスターがユーザーをしっかりと観察し記録できるのであれば、録画も必須ではありません。
ユーザビリティテストの目的は、ユーザビリティの問題点を明らかにし、質的及び量的データを集め、テストした製品もしくはサービスの被験者の満足度を測ることにあります。
目的達成のために、タスク完了に要した時間、エラー、成功率、代替ソリューションの好み、そしてもちろんユーザーの主観的な満足レベルなど様々な要因を測定します。
A/Bテスト
「多変量テスト」「バケツテスト」と呼ばれることもあり、最も単刀直入なテストの形だと言えるかもしれません。A/Bテストは、同じデザインもしくは二つの異なるバージョンの有効性を、似た状況下でどちらかを表示し、その結果を比較するだけのものです。
Webページの場合のA/Bテストは、同じサイトを二つの異なるバージョンで同時に発表することになります。ここでの目的は、Webページのどちらのバージョン(AかBか、Aが規制バージョンでBがそのバリエーション)の方がコンバージョン率が高くなるかを調査することです。
定量調査
定量調査とは、アンケートを大人数に配信するもので、通常はターゲットとなるマーケットの典型的サンプルとなる対象者に送り、調査したい題目でインプットが欲しいものだけに厳密に沿った回答を募ります。
このタイプの調査で使う質問項目は排他的であることが大事です。排他的とはつまり、参加者は特定の選択肢から回答を選びますが、その回答を詳しく説明したり、そこから発展させて意見を述べる機会は与えられないということです。
Web解析
Web解析はビジネスやマーケット調査でツールとして使われていますが、Webサイトをより効果的なものにしてくれます。
Web解析とはWebサーバーやクッキーを使ったトラッキングなどで得た様々なデータを収集、測定、分析、そしてレポーティングするものです。
多数のユーザーからデータを入手して、ナビゲーションやユーザータイプのパターンをハイライトしたりできますし、もちろん、特定の項目、例えば「サイト訪問者数」や「延べ訪問者のうちのユニークビジター数」、「どうやってサイトに来たか」、「サイト滞在時間及びページ別滞在時間」、「参照元の検索キーワード」、「サイト内での検索キーワード」「曜日あるいは時間帯が及ぼすユーザーの行動パターンへの影響」など多くの具体的な内容に焦点をあてることができます。
Web解析をする際、大量のデータを集めるソフトウェアはいろいろありますが、データの解釈や具体的結論を導き出したり、UX向上のために集めたデータをどう有効活用するかなどは、ユーザビリティの専門家次第です。
フォーカスグループ
フォーカスグループでは、ユーザビリティ専門家は4~12人の参加者を呼んで司会者を設けたディスカッションを実施します。このディスカッションは、ユーザビリティテストのように、管理された環境下で行われます。
システム開発について言えば、フォーカスグループは絶対的にパワフルなツールなのですが、ユーザビリティデータの単独ソースとして使われることは決してありません。
これは、フォーカスグループから得られるフィードバックは主観的であり、それ故に話半分に聞く程度にしておく必要があるからです。特にユーザーが何日も、もしくは何週間もかけてやっている行動への説明を求める場合などはなおさらです。
そのため、インタラクションのスタイルやデザインのユーザビリティを評価するためにフォーカスグループが使われることはありませんが、利用しているシステムにユーザーが何を求めているかということを知るために使われます。
私たち開発側がユーザーに提供したいものが必ずしもユーザーが実際に私達のサイトやアプリに求めているものではなく、だからこそフォーカスグループは貴重な情報ソースだと言えます。フォーカスグループは私達の視点と平均的ユーザーの視点やニーズとのギャップを埋めるための橋渡しをしてくれるのです。
セントラルロケーションテスト(CLT)
セントラルロケーションテスト(またはインタビュー)は、テスト参加者の目の動きや、対象のサイトやアプリ、製品の特定の要素に関する記憶レベルのテストなどといった目に見える調査に加え、量的質的両方の手法を用います。
管理された環境下で、15~50人の対象者にデモを見せたり、面接前に対象製品を使ってもらったり、アンケートをしたりして、製品のコンセプトの把握、様々な機能のアピールや製品自体の魅力などの度合いを測定します。
CLTは、製品のコンセプトや新製品、新しいモデルやパッケージ、宣伝などの有効性をテストしたり、感覚的な調査をするのに最も適した手法です。
終わりに
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