スマホやタブレット、その他の携帯型ゲームデバイスの出現により、子どもたちはこれまで以上に幼いときから、最新の技術に触れるようになりました。最早、赤ん坊の時からそうした技術に巻き込まれているといっても良いほどで、こうした状況は世界中で彼らの両親、開発者の双方にとって直面する大きな問題となりつつあります。
幼い子どもたちの関心はその両親にも強い影響力を及ぼしますし、子どもたちは今では早い時期から自分たちが消費者であるということ自覚し始めていると言われています。
このことは私たちにとって何を意味するのでしょう? それは極めて簡単なことで、アプリやWebサイト、またはゲームにおけるユーザーテストというのが今まで以上に重要になったということです。
ですがここで一つ問題があります。UXデザイナーとして、私たちは多くの十代の若者や大人たちに対してユーザビリティテストを行うことが多く、そうした意味では非常に豊かな経験を積んでいるのかもしれません。ところが、もっと幼い子どもたちに対してはどうでしょう。彼らはたいていテストの対象から外されてしまいます。そもそも、子どもたちに接する方法すらよく分かっていない人だっています。
子どもたちに適切にユーザーテストをさせるにはどうすれば良いでしょう? ここでは初めて子どもたちにユーザーテストをさせる際に役に立つ、6つのコツをご紹介します。
1. リラックスできる環境をつくる
一般的なリサーチ環境は、子どもたちに喜ばれるような環境づくりを心がけているわけではありませんから、子どもにとってに落ち着けないものです。ごく普通のオフィスや研究室をテストに使うときは、可能な限りリラックスした雰囲気にする必要があります。最も良い方法は、家や遊び場など、彼らが普段いるような環境でテストを行うことです。
私たちのオフィスには、特別なマーカーを使って自由に落書きができる複数の壁が備えられていているのですが、これは子どもたちと大人たちの両方に好評です。また、頑張ってくれた子どもたちにはご褒美をあげるようにしています。今のところ、そうした試みは子どもたちからも親たちからも好意的に受け入れられています。
テスト環境を、あなた自身と子どもたちの双方にとって心地良いものであるように工夫してください。もし子どもたちがわずかでも環境に不安を感じるようなことがあれば、テスト結果の品質にも悪い影響を与えてしまいます。
2. 周りの環境を案内する
オフィスや研究室に子どもたちを招いたら、まずは彼らに室内の様子をざっと見てもらいましょう。テストを行う環境を見てもらい、あちこち歩き回ってみることで、あなたや会社に対する信用を深めることができます。
最も良くないのは、子どもたちがオフィスに入ってくるなり、いきなりテストを開始することです。これは一般的な大人に対してテストをする際にも当てはまるタブーです。
3. 子どもたちに使いやすい備品を用意する
小さな手で、挙動範囲も限られた子どもたちにとって、一般的なサイズのデバイスは使いづらいものです。もしWebサイトの使用感についてテストをさせるなら、それに適した装置をあらかじめ用意してください。
例えば、より小さなサイズのマウスのほうが一般的なサイズのマウスよりは使いやすいでしょうし、子どもたち用の小さな椅子やテーブルもあらかじめ用意しておくべきです。
4. じっくり時間をとる
子どもたちは、環境に慣れるのに時間がかかります。従ってテストイベント自体の時間は長くなってしまいますが、これに対して、実際のテストを行う時間は通常より短くなることを前もって覚悟しておいてください。これは子どもたちが集中力を維持できる時間が短いからです。このことを前もって理解してテストに臨めば、より良い結果を得られるはずです。
テストを始める前に、コミュニケーションを取る十分な時間をつくりましょう。子どもたちの中には打ち解けにくく、 環境に慣れるまでに時間がかかる子もいます。二人一組のペアを作ってテストさせるのも良いアイデアです。
5. 両親といっしょに話をする
子どもたちにとって、両親は絶対的な存在です。幼い子どもの場合は、お父さんやお母さんにも一緒にテストに参加してほしがるケースも多いです。そのような場合には、両親にも一緒に部屋にいてもらってかまいません。ただし、子どもたちに与えた作業を完成する手伝いはしないように、前もって両親に話しておいてください。
また、こうしたテストを行う場合には、あなたの振る舞いに関する法律的な側面も十分知識として理解しておく必要があります。子どもたちの手に触れるといった些細な行為が、親たちから思わぬ反感を買うかもしれません。もし指導をするために、子どもたちに直に触れる機会が多い場合には、その都度、必ず親たちの許可をもらうようにしてください。
6. 言葉以外の仕草にも注意を払う
子どもたちは、言葉以外の方法でより多くの情報を伝えます。ですから彼らの仕草にも注意を払ってください。また、子どもたちの中にはとりわけて臆病な子もいます。そうした子どもたちは、まるで学校の先生に質問されたときのようなすくんだ気持ちになり、本当の感想ではなく、スタッフが望んでいそうな答えを口に出してしまうかもしれません。
ここは学校の教室ではないのだから、正しい答えも誤った答えもないということを、子どもたちに理解してもらってください。
まとめ
子どもたちにユーザビリティテストを行うことはとても楽しく、お互いエネルギーをもらったような気持ちになれるものです。ここで紹介したコツを基本的なテストの手法と合わせて実行することで、より良い結果を出すことができるでしょう!