ユーザー中心設計でコンバージョン率を上げるには

Alex Jasin

Alex JasinはMetapressのCEOです。また、Googleが承認したデジタルマーケティングやデザインのエージェンシーである、X3 Digitalの創設者およびCEOでもあります。

この記事はSpeckyboy Design Magazineからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How User-Centered Design Will Skyrocket Your Conversion Rate

「シンプルなデザインにしておくべきだ」

この一言を受け入れてさえいれば、何百という時間、何千という費用が浮いたことでしょう。しかしほとんどの初心者と同様、私は聞く耳を持っていませんでした。

宇宙で使える無重力ペンを開発している間にアメリカの壮大な宇宙計画が失敗したように、シンプルな作業を複雑にしすぎた話は、数え切れないほど挙げられます。前出の宇宙計画では、たった1ドルの鉛筆を買う代わりに、何百万ドルという費用が泡と消えました。

初心者は、学んだことを見せようとしてやりすぎる傾向にあります。しかしそれは、多くのUXの達人たちが大惨事につながるとして避けるような、代償の高い間違いです。経験を積んだデザイナーは、むしろ極力シンプルにするのが一番であると考えています。

デザインをシンプルにすることは、ユーザーにとって見た目が良いだけでなく、コンバージョンを向上させることにもつながります。今回の記事では、ユーザー中心設計によってコンバージョン率を上げるための8つの方法を紹介します。

そもそもユーザー中心設計とは何か?

端的に言うと、ユーザー中心設計(UCD)とはユーザーのニーズや望み、制限に焦点を当てたデザインに関する原則のことです。

ユーザーとWebサイトのインタラクションに焦点を当てることで、構造やインターフェイス、コンテンツを改善することができます。そうすることで、ユーザーにとって魅力的で使いやすいサイトを目指すのです。

ユーザー中心設計では、全体の構成やインターフェイス、コンテンツの表示を、よりアクセスしやすくわかりやすいものにします。Webサイト訪問者がサイトを簡単に探索できて、ほしい情報を見つけられる場合、かなり高い確率でコンバージョンが見込めるでしょう。

またユーザー中心設計では、一般的なタスクを単純化して、重要な機能や性能を強調します。ユーザー中心設計を採用しているWebサイトは、構造やナビゲーションがわかりやすく、ヒューマンエラーのようなストレスを生む問題を防ぐことができます。

障害物を取り除く

Webサイトのコンバージョンを高めるために、ユーザー中心設計では、ユーザーが疲れてしまったり疑問を持ったりする要素や、フィードバックされない要素をなくしていきます。最終的には、ユーザーが作業を完了するために必要な精神的労力を最小限に抑えることが目標です。

余計なビジュアル要素を消す

ユーザーの作業に有用でないビジュアル要素やグラフィックなどのコンテンツが、Webサイトに存在するかもしれません。しかし、ユーザーの気を散らしてしまう要素を見つけるのは、言うほど簡単ではありません。

想定通りの結果を導くために、ユーザーが見る必要のあるコンテンツだけを表示するよう徹底しましょう。彼らの体験を向上させない色や画像、レイアウトやリンクは取り除きます。気を散らすものを減らすために、環境に溶けこんでいるような背景を画像として用いましょう。

コンバージョンへの道筋をシンプルにする

Webサイトに足を踏み入れた瞬間から、ユーザーはいくつかのステップをこなしながらコンバージョンへの道を辿ります。一方で、ブラウザを閉じたり、気が散ったりイライラしたり、モバイル端末のバッテリーが切れたりすることで、ユーザーはどのステップにいても購買をやめることができます。

このようなことが起きないようにしましょう。コンバージョンへの道は短く、それぞれのステップでの作業がとても簡単でなくてはなりません。私の勤めるデザインの代理店であるX3 Digitalでは、ホームページの一番下にコンタクトフォームを表示したら、月ごとのフォーム送信数が劇的に増加しました。コンタクト手続き全体にかかる精神的労力を減らすことで、ステップを減らしてコンバージョンを増やしました。

会話的でわかりやすいコンテンツを用いる

サイト訪問者は、「テキストの壁」のような文字だけのコンテンツを好みません。そのせいでうんざりしたり、圧倒されたり、退屈したりしてしまうでしょう。

コンテンツは率直で的を射たものにしましょう。会話のような文体で、読みやすくなくてはなりません。また画像や図などのビジュアルデバイスで伝えるほうがメッセージが伝わりやすい場合は、そちらを活用しましょう。私がWebサイトの作り方についてのチュートリアルを書いたとき、まず誰がその投稿を読むか正確に把握する必要がありました。

そのあと私は記事での口調を、読者が普段使う言葉に合わせるよう徹底しました。これはコンテンツを改善するときに有効です。

Webサイトから1対1で話しかける

顧客をサポートする際には、より直接的なアプローチが必要になることがあります。そうでないと、顧客はきちんと進んでいるのか疑問に思うかもしれません。疑問の答えを見つけられないと、顧客は購入をやめてサイトを去ってしまうでしょう。その際、ライブチャットがコンバージョンを確保するために必要になることがあります。

またライブチャットは、肯定的な評価を集め、サイトで機能していることと機能していないことに関するユーザーのインサイトを獲得するなど、顧客との関係を築く機会にもなります。

フォームは簡単なものに

Webサイトにコンタクトフォームを入力したことがある人なら誰もが、面倒な作業であることを知っています。おっくうで押しつけがましい作業であり、ときには的外れな作業かもしれません。しかし作業を完了するためには、必要なものです。

ですから、ユーザーが記入しなければいけないフィールドの数を減らすことで、かかる労力を最小限にしなければいけません。できるだけ簡単なものにして、関係のある情報をグループとしてまとめます。

また顧客は、「送信」ボタンをクリックしたのにエラーが返ってくることを嫌います。正しい入力を強調するか、確認の提案をするかして、あらゆるステップが完了したときにフィードバックを与えてください。

モバイルユーザーを忘れずに

モバイルユーザーの多くはデバイスで時間をつぶしている人たちです。ですから、モバイルユーザーのコンバージョンは、ほかのデバイスに比べて著しく劣るのが一般的です。

ではどうすればいいのでしょうか? 答えは、異なる使い方を認めることです。まだモバイルユーザーに最適化されていないなら、直ちに実装を考慮しましょう。

モバイルサイトでのユーザー中心設計は、かなりシンプルなものになります。テキストの量を減らして、コールトゥアクション(CTA)や入力フィールドのまわりには空白のスペースを多く確保します

またデータの通信速度には制限があるので、コンパクトで効果的なビジュアル要素を使って速く表示されるようにします。時間との戦いだということを忘れてはいけません。

さりげなく説得力をもたせる

ビジュアルデザイン:Webサイトの第一印象を作り、ユーザーにとりあえず信用してもらえるような影響を与えます。専門的なイラスト写真、秀逸なカラーパレットなどを使ってユーザーが使いやすいレイアウトを作ることで、ユーザーがサイトにとどまる時間が長くなり、コンバージョン率も高まるでしょう。

バリュープロポジション:バリュープロポジションとは、「製品はユーザーを助けるためにある」ということを、直接的かつ端的に表した言葉です。ユーザーは自分が適切な場所に到達し、またサイトが約束通りのものを伝えていることがわかると安心します。

コールトゥアクション(CTA):WebサイトにはCTAを含むようにしましょう。わかりやすくてクリック可能なものにして、まわりに空白のスペースを十分に設けます。このボタンは、ユーザーが目的に辿り着き、購買へのコンバージョンされた瞬間を意味します。ここでもシンプルであることを心がけて、ユーザーがクリックしたときに何が起こるか、明確にわかるようにしましょう。

次のステップ

Human FactorsのJeff Horvath氏は次のように述べています。

「計測可能な指標であるROI(Return On Investment:投資利益率)のように、良いUXが偶然生まれることは、通常ありません。しっかりとした計画と分析、投資、継続的な改善作業の結果生じるのです。」

ユーザーのことが考えられたWebサイトのインターフェイスのデザインは、率直でわかりやすく、直感的で論理的である必要があります。その一方で適度な美しさも残しておかなければなりません。そのためには、戦略的な要素の配置と空白、ビジュアルコーディング技術によって、購買につながる可能性のあるすべてのアクションを促進することが必要です

Webサイトのコンテンツは、ユーザーに寄り添う必要があります。ユーザーの疑問に答え、ユーザーのニーズに関連するマーケティングメッセージを伝えましょう。これを達成するためには、エンゲージメントを維持するための調査や戦略的なライティングが必要です。

Webサイトをデザインするときは、ユーザーのことを念頭に置くべきです。そうすれば結果的にコンバージョンにつながるでしょう


Welcome to UX MILK

UX MILKはより良いサービスやプロダクトを作りたい人のためのメディアです。

このサイトについて