カスタマイズとパーソナライズという2つの言葉は、近年もっとも人気があるバズワードです。カスタマイズとパーソナライズを同じように使う人が多いですが、この2つの言葉には違いがあります。カスタマイズとパーソナライズは、ともにユーザーの興味に合った体験を作り出すことを目的としています。しかし、この目的にたどり着くまでの道のりが異なるのです。
カスタマイズとパーソナライズについて、より理解できるように説明していきます。
カスタマイズ
カスタマイズは、ユーザーによって行われます。アプリやサービスでは、ユーザーが自分のニーズに合わせてレイアウトやコンテンツ、機能を設定することで、体験をカスタマイズできるようになっています。
なぜカスタマイズを行うのか?
カスタマイズにより、ユーザーはインタラクションを操作することが可能になるので、ユーザー体験をよりニーズに合うものに変えることができます。カスタマイズは、ユーザーが自身の目的とニーズをしっかり把握しているときに上手く機能します。そのため、カスタマイズはシステム側の人工知能ではなく、ユーザー自身の知性をベースにしていると言えるでしょう。
カスタマイズの例
インターフェイスのカスタマイズにより、ユーザーは画面上に表示したいものを選択したり、表示形式を好みの設定に変更したりすることができます。
もう1つのインターフェイスのカスタマイズの例は、Facebookです。Facebookでは、ユーザーは興味のあるコンテンツを自由に選択できます。また、ある特定の人物、ページまたは投稿に関しては、個別の通知を設定することができるのです。
パーソナライズ
パーソナライズは、アプリ側が行います。アプリが、ユーザーのニーズに合うコンテンツ、体験、機能性を提供しようとするのです。たとえば、Amazonは購入履歴から膨大な量の顧客情報を収集しているので、パーソナライズして顧客に合わせて商品を勧めることができます。この種のパーソナライズは、顧客に利益をもたらすだけでなく、ロイヤリティを高めることにもつながるでしょう。
なぜパーソナライズを行うのか?
パーソナライズは、ユーザーとのコネクションを作り出すので、デジタルシステムをデザインする際に不可欠なものになりました。パーソナライズの目的は、特定のニーズや興味に合うコンテンツや機能をユーザーに提供することにあります。アプリは、ユーザーのプロファイリングをもとにインターフェイスの調整を行います。
パーソナライズの例
プッシュ通知:パーソナライズを体験してもらうためには、まずユーザーの関心が高いコンテンツをおすすめとして通知しましょう。たとえば、Netflixは、ユーザーの視聴記録を丁寧に用いて、それぞれのユーザーにぴったりなおすすめ動画を提供しています。
Netflixによると、ユーザー全体の試聴動画のうち75%が、パーソナライズされたおすすめ通知の中から選ばれているそうです。
位置情報をもとにしたパーソナライズ:Foursquareのようなアプリは、ユーザーの位置情報を使って、ユーザー体験をパーソナライズしています。
パーソナライズされた機能:Spotifyはランナーにパーソナライズされた機能を提供しています。先端技術を使ってランナーのリズムを分析することで、そのテンポに合う曲のプレイリストを提案します。
カスタマイズからパーソナライズへのシフト
カスタマイズは長い間、ユーザーインタラクションの中でのデファクトスタンダードでした。しかし、今日ではそれがパーソナライズに移行しつつあります。
この変化には、カスタマイズのインタラクションコストが高いことが影響しているでしょう。ユーザーにカスタマイズできる体験を提供するとき、その負担はすべてユーザーにかかります。また、多くのユーザーは設定を微調整することを好みません。全体の5%未満のユーザーしかデフォルト設定を変えないことを覚えておきましょう。
また、モバイル機器では主に画面サイズが原因で、体験をカスタマイズすることが難しくなってきています。すべてのユーザーのモバイル画面サイズに柔軟に対応できるような、インターフェイスを作り出すことは困難です。
結論
すべてのユーザーは異なる要望を持っています。ほかのすべてのデザイン要素と同じように、カスタマイズとパーソナライズでも、ユーザーについて知ることが重要になります。
カスタマイズもパーソナライズも、長期にわたる作業やメンテナンスが必要となることを気に留めておきましょう。パーソナライズでは、常に適切なコンテンツが適切なプロフィールの人に届くように定期的に修正し、カスタマイズでは、興味や好みが変わるのに応じてユーザーが変更できるようにする必要があるのです。