アクセシビリティは、ハンディキャップのある人やエッジケースのためのものではありません。アクセシビリティはあらゆる人に関係しています。
私は、UXデザインと情報アーキテクチャの誤解について投稿したことがあります。今回は、アクセシビリティについての迷信を取り払いたいと思います。
私はアクセシビリティという言葉が嫌いです。それは十分に正確な用語ですが、間違った先入観を呼び起こしてしまいます。アクセシビリティについて話すとき、人々の目はギラギラします。彼らはスムーズな方法やWCAGチェックリストを期待しているのです。いずれにせよ、アクセシビリティの真実をとらえることとはなにも関係がありません。
アクセシビリティは数少ないユーザーのためのデザインについてではありません。私たち全員のためのデザインなのです。
そのため私は、代わりにインクルーシブデザインについて話し始めました。アクセシビリティとは、数少ないユーザーのためのデザインではなく、全員のためのデザインです。もちろんハンディキャップのある人のためのデザインではありません。私たちひとりひとりのためのデザインなのです。
インクルーシブデザインとは、高齢者、障がい者、外国人など、従来、デザインプロセスから除外されてきた多様な人々を、デザインプロセスの上流から巻き込むデザイン手法です。
引用:http://i-d-sol.com/inclusivedesign/
これはアクセシビリティの認識の問題です。私たちはアクセシビリティはエッジケースであるとみなしています。そう考えると投資価値はないでしょう。耳が聞こえないユーザーがいるかどうかわからないときに、誰がポッドキャストのトランスクリプションにお金を費やすでしょうか? しかし、優れたアクセシビリティ、あるいはインクルーシブデザインはユーザー全員の利益になります。
トランスクリプト(音声書き起こし)の例をみてください。トランスクリプトには多くの利点があります。
- 検索に最適
- オーディオでは難しいコンテンツを閲覧することができる
- コンテンツの参照が容易
- オフィスなど、周囲の迷惑となるため音声を聞くことができない人々がアクセスできる
しかし、トランスクリプトだけが幅広いユーザーに対して利益をもたらすわけではありません。ほぼすべてのアクセシビリティ機能でみられます。いくつか例を挙げてみましょう。
技術的障害
ほとんどすべての人がJavaScriptを有効にしています。なぜ、JavaScriptを有効にしていない少数の人たちのためのデザインを気にする必要があるのでしょう? しかし、低機能のモバイルデバイスを使用している人はどうでしょうか。私はJavaScriptでiPhoneが固まってしまうのを何回もみてきました。また、フィーチャーフォンやWebに接続しづらい携帯はどうでしょうか。
私たちの肥大化したWebサイトはどうでしょう? 確かにこれらは、ブロードバンドの世界では大丈夫です。しかし、低速のモバイル接続だったらどうでしょう?または帯域幅制限のある場合はどうでしょうか?
すべての人がこれらの状況に遭遇する瞬間があるでしょう。
視力障害
デザイナーは繊細なデザインを好みます。これは視力のよい人には問題ありませんが、視覚障害者はどうでしょうか。彼らは高いコントラストが必要です。しかし、彼らだけではありません。老眼による視力の低下が始まった40歳以上の人はどうですか? 画面が反射する屋外でモバイルデバイスを使用している人はどうですか?
晴れた日の庭で作業をしたことがあれば、高いコントラストの重要性に気付くでしょう。
認知障害
人々は認知障害のある人をめったに考慮しません。認知障害のある人は私のサイトを使用するはずがありません。彼らのためにデザインする意味はあるのでしょうか?
実際、私たちは皆、認知障害になる瞬間があるのです。急いでいたりほかの用事に気を取られたりします。失読症の人もいるし、英語が母国語でない人もいます。
素晴らしいことは、あなたのサイトが認知障害がある人にとって機能するのであれば、すべての人にとってよりよいサイトになるだろうということです。
運動に関する課題
「マウスやキーボードの使用が困難であるならば、Webを使うべきではない」と言った人がいます。酷い態度です。しかし、これは深刻な運動障害者に限ったことではありません。マウスやキーボードの使用が困難な理由はたくさんあります。
関節炎になったら、誰でもマウスやキーボードを使用するのが難しくなります。タッチスクリーンはマウスほど正確ではないので、選択するのがより困難になりがちです。反復運動損傷に苦しんでいる人や、手首をケガした人はどうですか?
スクリーンリーダーの両立性
サイトやアプリをスクリーンリーダーに対応させることは、視覚障害者だけに役立つと思うかもしれませんが、それは間違いです。事実、私は毎日スピーチのためにテキストを使用しますし、それは私だけではありません。
私はiPhoneで、視覚障害者のために設計されたスクリーンリーダーを毎回使用しています。スクリーンリーダーにWebページ、Pocketの記事やKindleの書籍を読ませます。運動中や運転中、夜ベッドに横たわっているときなど、画面をみるのに十分な時間がなくても使用できます。
もう、私の言いたいことは伝わったでしょう。アクセシビリティは、少数の人々のためのデザインではありません。私たち全員のためのデザインなのです。
私は、エッジケースは私たちの体験に悪影響を与えないと信じています。しかし、アクセシビリティはそのカテゴリには分類されません。アクセシビリティは全員の役に立ち、最終的にはよりよいWebサイトへと導くからです。