ユーザーの競争力を高めるリーダーボードのベストプラクティス

Priscilla Esser

Priscillaはデザイナー兼リサーチャーで、講師でもあります。

この記事はInteraction Design Foundationからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Increase Competitiveness in Users with Leader Boards

私たち人間は競争する生き物です。そして、成功しているオンラインゲームやスポーツアプリのクリエイターらは、この知識を利用して私たちをリーダーボードへと駆り立てます。

しかし、リーダーボードはゲームだけものではありません。デザイナーは、リーダーボードを活用してユーザーを後押しし、エンゲージメントを高めたり、製品の生産を増やしたりすることができます。

「非競争的なもの」であっても、ビリになりたい人はいません。リーダーボードというシンプルなデザインパターンを実装することで、ユーザーとのインタラクションを増やすことができます。リーダーボードを上手に使うことで、ユーザーのトラフィックは増加し、あなたの製品がネットワークコミュニケーション全体の中心となるでしょう。

デザインの問題

あなたは今、とても競争的なコミュニティを運営しているとします。そしてそのコミュニティは、ユーザーをより刺激することで、製品やサービスの使用頻度は更に上がるはずですが、お互いのことを知っているユーザーはほとんどいません。それぞれのユーザーが達成したことは、彼ら自身のホーム上でしかわかりません。他人と比較することができなく、自分自身と競うということをしないユーザーは、どのようにしてモチベーションを保てば良いのでしょうか?

Author/Copyright holder: Twitter Counter. Copyright terms and license: Fair Use.

Twitter CounterのWebページでは、フォロワー数に応じたTwitterユーザー全員のリーダーボードが見られます。これはTwitterが提供する無料ツールの一部で、さらに個人や企業のリーチ数を増やす課金ツールもあります。Justin Bieber氏は、1位のKaty Perry氏を追い抜くことで頭がいっぱいなわけではありませんが、リーダーボードには一般的に、製品やサービスの使用頻度を促進する効果があります。

デザインソリューション

リーダーボードには、特定のカテゴリーにおけるパフォーマンスや、全体の中での順位を表すランキングリストが含まれます。これを見てユーザーは、ほかの人に対して自分がどのようなパフォーマンスをしたか正確に把握できます。スコアを視覚的に確認することで、自分自身の進捗状況を追跡できるという付加価値が生まれます。そのため、たとえ順位が落ちたとしても、少なくとも前回のチェックインから自分のスコアが前進したという安心感はあるでしょう。

リーダーボードを導入することにより、ユーザー間の競争力を高めて、製品やサービスの使用頻度を増加させることができます。UIデザインにおけるリーダーボードの例として、ゲームコミュニティやオンライン講座、Amazonのトップレビュワーのリスト、先ほどお見せしたTwitter Counterのトップツイーターのリストなどが挙げられます。

リーダーボードのデザインパターンを選ぶ理由

競争的な人間は基本戦い続けますし、そうある定めなのです。常に追い越されないか不安なのです。

―Magic Johnson氏、アメリカバスケットボール界のスーパースター

「自分が競うのは自分自身だけです」というセリフがあります。自己最高記録の達成を目指して努力することは、人々の内側に存在する欠かすことのできない原動力です。しかし、私たちがここで議論したいのは自分自信との競い合いではありません。

ここで私たちが注目しているのは、競争的コミュニティについてです。つまり、絶対的なパフォーマンスではなく、相対的なパフォーマンスです。このため、リーダーボードはユーザーが自分の順位を向上させようとすることで製品やサービスの継続的な使用を促進させることができます。ほかのユーザーと比べて自分がどのようにパフォーマンスしているかをユーザーに明示することが、ここでは非常に重要です

たとえば、ほかのユーザーのスコアが絶対に見られないようなゲームをしているとします。それではいつ全力を出せばいいのか、自分がほかのユーザーよりも上手なのかを一切知ることができないでしょう。そのため、リーダーボードは相対的なパフォーマンスレベルを表示する簡潔かつ視覚的な手段を提供します。これにより、ユーザーをあなたの製品やサービスに対して熱心にさせたり最後までやり抜く気にさせることができます。

Author/Copyright holder: Interaction Design Foundation. Copyright terms and license: Fair Use.

Interaction Design Foundationのオンライン講座では、リーダーボードを使用しています。これにより、受講者が自分の国や世界のグループと自分自身を比較することを奨励しています。

ベストプラクティス:リーダーボードの実装方法

1. トップパフォーマーのユーザーだけを表示する

完全なリストを表示するより、トップパフォーマーのユーザーだけを表示するべきです(トップ10、20、50、100など)。ユーザーにほかのユーザーとのパフォーマンスの関係性を見せるために、それぞれのユーザーの名前と現在の順位を知らせる「表示」を、リーダーボードの中に作りましょう。たとえば、オンラインフットボールゲームでトップ10プレイヤーを表示するとします。そしてユーザーの名前と現在の順位をその下に表示します。このとき、ユーザーの順位を強調したりほかのプレイヤーと区別するようにしてください。そうすることで、ユーザーは自分に関連する情報を素早く認識することができます。あるいは、ユーザーが「トップ20」の第5位にランクインしている場合は、ユーザーを単純に上から5番目に表示して、それ以降の順位を表示してリストを完成させましょう。

Author/Copyright holder: Darren Foreman. Copyright terms and license: CC BY 2.0.

従来、リーダーボードはゲームで使用されます。上にあるAngry Birdsのリーダーボードでは、ユーザーは世界、国内、地域の中からリーダーボードの見方を選択することができます。また特定の友人のグループに限定することもできます。

2. さまざまな種類のリーダーボードを用意する

必要に応じて、より詳しいリーダーボードを表示したいこともあるでしょう。たとえば「殿堂入り」(歴代のベストプレーヤーを表示するもの)や、日間や週間、月間での順位などが挙げられます。

3. 絞り込みを活用する

友達や家族、あるいは特定のライバルグループなどの絞込みもユーザー体験を向上させることができます。この方法によって、ユーザーは長々としたリストから自分を探すことなく特定の競争相手を見ることができます。

リーダーボードを使い始めるために、「リーダーボード」のテンプレートをダウンロード・プリントアウトすることができます。

リーダーボードの潜在的問題点

競争的なオンラインコミュニティにとって、リーダーボードは確実に利便性を加えることができます。しかし、ユーザーはトップになるために費やす時間や労力を回避する方法を見つけたり、卑怯な測定方法を使うかもしれません。その結果、リーダーボードの意味は失われることもあります。たとえば、オンラインゲームのいかさまに関する記事がブログに投稿されていたり、製品を使用していないのにも関わらずECサイトにリーダーボードに関する批判的な評価を書き込んだりすることです。

また、不正なども大きな問題です。たとえばフィットネストラッカーの種類によっては、手で振った動きを歩数にカウントしてしまうようなものがあります。そのせいで、ユーザーがただ数百回手を小刻みに動かしただけなのにも関わらず、ユーザーはシステムにマラソンと同等の歩行をしたと認識させることができるかもしれません。実際には家中の拭き掃除やテニスボールをパスし続けたりする場面にいて、実際には歩いていないにも関わらず間違って歩数にカウントしてしまうことがあるでしょう。また、リーダーボードにほかのユーザーのパフォーマンスレベルを表示するのではなく、ただ単にゲームやサービスに費やした時間を表示することでユーザーを失望させてしまう可能性もあります。

競争的な雰囲気を奨励する環境が小グループのユーザーにマイナス要素となるような特定のケースでは、リーダーボードは不適切でしょう。たとえば、Facebookの友人数に基づいたランキングでリーダーボードを使うことは再検討すべきです。このような数字は、ユーザーの実際の姿を本当に反映しているのではなく、ユーザーの実際の姿を真に反映するものでなく、むなしい自慢話になりがちです(たとえば辞書の定義的な意味合いで128,000人もの本当の「友人」を獲得することは、100年足らずの生涯の中ではまずあり得ないことです)。

その一方で、Twitterのフォロワー数に応じてリーダーボードを使うことは可能です。ランキングを行う上で、人々が何をしているかとどういう人であるかという基準には、微妙な差があります。何をしているかということは、たとえばリストで最下位のユーザーは、彼らがコントロールしきれていない何かが原因で「敗者」となっている人たちです。実際に、「友人」「知人」「取り巻き」「返礼者(お互い「友人」の数を増やすためだけに「友人」になる人)」という区別に注意を払っていないために、真面目なユーザーであるほどリストの下位へと押しやられていくでしょう。

ほかにも考慮すべきこととして、ソーシャルメディアのいいねの数があります。「友人」ほど物議を醸すものではありませんが、リーダーボードを巻き込んでユーザー同士の潜在的な倫理問題を引き起こす可能性があります。サクラを使っていいねの数を増やすことが可能であり、これによって実際の人気にひずみが生じてしまうのです。デザイナーとして、デザインの決定に際してあらゆる見方を考慮する責任があります。そして、ユーザーが自分のことを敗者だと思わないようにしなければなりません。

覚えておくべきこと

リーダーボードのデザインパターンを使って、ユーザーの意欲を促進させることができます。ほとんどの人は多少なりとも競争心を持っており、これは他者と比較することによって引き出すことができます。ユーザーの結果に参加者全員のリストを表示する必要はありません。

しかし、ユーザーは、違う形式のリーダーボードには興味があるかもしれません。自分たちのユーザーが不正行為をしないと信頼し、また競争が非生産的なものや非倫理的、またはその両方にならないよう留意してください。ユーザーをプラットフォームに積極的に貢献するように促し、関係者全員に潜在的なwin-winの関係を築き上げることは、非常に効果的なデザインパターンです。


Welcome to UX MILK

UX MILKはより良いサービスやプロダクトを作りたい人のためのメディアです。

このサイトについて