すべてのUIデザイナーが知るべき7つのヒューリスティクス

Steven Douglas

StevenはJustinmindのマーケティングコンテンツの編集者です。Justinmindはウェブやモバイルアプリのプロトタイプ用ツールで、コードを書く前段階でソフトウェアのソリューションをテストしたり視覚化したりできます。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

7 Usability Heuristics That All UI Designers Should Know

私たちUIデザイナーは、毎日デザインの問題に直面しています。これらの問題に対する最善策を知るために、私たちはユーザーのニーズと適合する答えが見つかるまで、ソリューションを調査、分析、テスト、プロトタイピングします。

UIデザインは、魅力的な見た目を作ることだけではありません。視覚的な美しさ自体は役立つのですが、それよりも、アイデアから実行に至るまでの確実な道筋を、ユーザーの利益になるように統計や証拠で裏付けながら作成することが重要です。確かな道筋がなければデザイナーは、暗闇の中で放った球が的の中心に当たるのを祈ることしかできません。しかし幸運なことに、そんな盲信に頼らなくても、正しい道筋で作業できるようにUIデザインを着実に誘導してくれる、ユーザビリティのヒューリスティクスが存在します。

ユーザビリティのヒューリスティクスとは?

ヒューリスティクスという言葉は、大まかに古代ギリシャ語における「発見」に由来します。概して、ヒューリスティクスとはガイドラインです。つまり、経験に基づいた問題解決のアプローチを意味します。ただヒューリスティクスは、デザインの問題に対処できる規則や、実証されたソリューションとして扱うべきものではありません。ヒューリスティクスは考えられる最善の答えではないですが、問題を解決するのには十分くらいの答えにしかなりません。

なぜ最善の答えではなく、解決するのに十分な程度にとどまるのかと疑問に思うかもしれません。ヒューリスティクスとは、最善の答えを導き出すために役立つようなものだからです。エンジニアであるSteve McConnell氏の言葉を引用すれば、ヒューリスティクスは、見つけるべきものを正確に教えてくれるものではなく、どう見えるのかを教えてくれるものなのです。

ヒューリスティクスを考える上でわかりやすいのは、ヒューリスティクスを応急処置と見なすことです。あくまで最初に問題に対処する際のショートカットであって、後々さらに労力を払ったり思案を巡らせたりする必要性をはらんでいます。UIデザイナーはヒューリスティクスを鵜呑みにせず、過度に頼りすぎないようにしましょう。

UIデザインでヒューリスティクスを活用するメリット

しかし一方で、ヒューリスティクスには役割があります。応急処置かもしれませんが、逆にそのことが重要な特徴の1つになります。デザインの納期が近く、じっくりとリサーチを行う時間がないときや、リソースが不足しているときにデザインの難題に直面して、何か簡単なガイドラインを必要とする場合、ヒューリスティクスは便利なツールです。ヒューリスティクスは多くの状況で機能しますが、いつでも機能するわけではありません。

ユーザビリティのヒューリスティクスを使うメリットには、次のようなものがあります。

ユーザビリティのヒューリスティック評価

ユーザー体験やインターフェイスデザインでもっとも広く認知、使用されているヒューリスティクスのほとんどがJakob Nielsen氏が1994年に発表した10 Usability Heuristics for User Interface Designに由来するものです。世界中のUIデザイナーがこれらの10の一般的な原則に従って、モバイルやWebの体験を作成しています。しかし、Nielsen氏のものだけが世界に存在する唯一のヒューリスティクスではありません。ほかにも1986年から現在に至るまで、944個以上のヒューリスティクスを含むガイドラインが存在します。

ヒューリスティック評価を効果的に行うには、以下のものが必要です。

  • タスクリスト
  • 3~5人の評価者。これらの人は、それぞれ異なる分野のエキスパートでなければなりません。異なる人間は、異なる問題に注目できるからです。どんなときでも、頭脳は1つより2つあったほうが良いです。
  • 確立された一連のヒューリスティクスやベストプラクティス。Jakob Nielsen氏のものなどです。
  • ヒューリスティック評価は、ユーザーテストの前と最中に実行しましょう。ヒューリスティクスを効果的に使うには、ほかのユーザビリティの手法と組み合わせる必要があります。

ヒューリスティクスの限界とは?

UIデザインの問題を深く追求する場合、ヒューリスティクスは役に立ちません。実際、ある課題を特定するために専門家が必要になることがあります。しかし、ユーザビリティの専門家に頼るのは必ずしも容易ではなく、頼れたとしても費用は安くありません。

ヒューリスティクスは最小限の支出で問題を解決する魅力的な方法で、それゆえにUIデザイナーにとって実用的な選択肢になります。このため最初にヒューリスティクスが普及したのですが、問題が長引いたり複雑化したりする場合は、ヒューリスティクスを避けるべきです。

ヒューリスティック評価のもう1つの厳しい制約が、コンテキストに沿ってデザインのクオリティを評価できないことです。確かに、ユーザー体験を作る上で、ヒューリスティクスがガイドになるのは事実ですが、使用できるのはそこまでです。

Webサイトをデザインし直すようにクライアントが要求していて、UIデザイナーはヒューリスティクスを念頭にWebサイトを作成しているとします。このとき、同じヒューリスティクスを使っても、デザインし直したサイトのクオリティを評価することはできません。ヒューリスティクスのような大まかなガイドライン以上のものが必要になります。

すべてのUIデザイナーが知るべき7つのヒューリスティクス

Jakob Nielsen氏のヒューリスティクスがもっとも有名であるとはいえ、ヒューリスティクスはほかにもあります。この節ではNielsen氏のもののほかに、UIを作成する際に便利な、知っておくべき7つのヒューリスティクスを見ていきましょう。

1. 一貫性を追求する

コンピューター科学者のBen Shneiderman氏が提唱したUIデザインのヒューリスティクスの中で、もっとも優れたものが「一貫性の追求」です。かつてOscar Wilde氏は、統一性は平凡な作品の象徴だと言いました。しかし実際にUXデザインに必要とされるのは、合理性と思いやりです。たとえば、UIデザイナーは、すべてのプロンプトやダイアログボックス、メニューが同じ特徴を共有するよう確かめるべきです。同じ特徴とは、カラーやタイポグラフィ、レイアウトについてです。

2. ユーザーが操作を主導し続ける

Shneiderman氏の別の黄金律に、ユーザーが操作を主導し続けられることがあります。UIをデザインする際には、ユーザーが予期せぬ事態に遭遇する可能性を減らすようにしましょう。ユーザーは親近感を求めていて、退屈なデータ入力が続くのを嫌がります。ユーザーが情報を必要とするなら、そのタイミングで提供するべきです。

Nadine Kintscher氏は、明るさなどスマートフォンのあらゆる設定を調節できることで、ユーザーにコントロール権が与えていると書いています。またこれらの調整が数分間バッテリーの寿命を延ばすだけであっても、わずかなコントロール権を保有していることを快適に感じると言います。

3. ユーザーの細かいステップを減らす

Dr Iain Connell氏は、UIをデザインするとき、UIデザイナーはユーザーに要求する細かいステップを極力減らすべきだと主張します。ある地点Aから地点Bへの移動はスムーズで、煩わしくないものであるべきです。ユーザーに要求するタップやクリックの数を減らすことで、ユーザーは行きたい場所により素早く到達することができます。経験が豊富なユーザーには、ショートカットやホットキーを提供することでも、細かいステップの削減に繋がるでしょう。

4. 自分の居場所がわかるようにする

迷子になるのは嬉しいことではありません。アプリやWebサイトで迷子になるのは、さらに好ましくないでしょう。ほとんどの道路には、歩行者が自分たちの居場所を知れるように、標識に道路の名前が示されています。Connell氏によれば、それと同様に、UIでも居場所を示すべきだそうです。ユーザーが一連のイベントを体験しているとき、デザインのどこかに今いる場所が示されている必要があります。加えて、出口が存在しない状況に陥ることはあってはなりません。

5. あいまいな言葉を避ける

どんなWebサイトやモバイルアプリでも、ユーザーが理解できる言葉や用語で伝えるべきです。よって、想定するユーザーの頭に入りにくい曖昧な言葉は避けましょう。専門用語を使わずに、端的に理解できる言葉だけにしましょう。冗長な言葉を使っているとすれば、それはユーザーのことを無視している証拠です。しかし同時にConnell氏は、言葉は簡単に変わっていってしまうもので、すぐ順応されてしまうものであると記述しています。

6. UIの見た目を適切な美しさにする

冒頭でUXデザインは魅力的な見た目のものだけではないと言いました。しかし、視覚的な美しさを軽視してはいけません。Weinschenk氏とBarker氏は、UIデザインでは「視覚的な美しさの整合性」を維持し、想定するユーザーにとって魅力的なように仕立てるべきだと言います。たとえば視覚障がいのあるユーザーに向けてデザインする場合、すべてのページのフォントサイズを11に統一するのは得策ではないかもしれません。

7. 新しい情報には解釈を手助けするものを付随する

Jill Gerhardt-Powal氏のヒューリスティクスの1つに、新しい情報は、解釈を手助けするものを付随して提供するべきだというものがあります。つまり、可能な場所にはメタファーや親しみのあるフレームワークを用いるべきです。難解すぎる比喩は避けるべきですが、メタファーは、見知らぬものを親しみやすくしてくれます。ファイルをしまうデスクトップフォルダを例に取ると、これらは本物のフォルダではありません。しかし、ユーザーがコンセプトやシステム、フレームワークをより簡単に理解できるように、視覚的に表されているのです。

結論

ヒューリスティクスには役割がありますが、UIデザインにおいては、過度に頼りすぎると惨事を招きかねません。そのことを念頭に置き、緩やかなガイドとして用いましょう。ヒューリスティクスにはユーザー体験に応用可能な、関連する知恵が含まれているのです。さらに、挑戦的で、資金に余裕がある方は、ヒューリスティック評価を試してみても損はないでしょう。


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