弁護士ドットコムにおけるアクセシビリティ改善のファーストステップ

弁護士ドットコム株式会社

日本最大級の弁護士検索・法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」を運営しています。

この記事は、弁護士ドットコム株式会社による寄稿記事の前編です。
【前編】弁護士ドットコムにおけるアクセシビリティ改善のファーストステップ
【後編】アクセシビリティ検証の結果を受けて行った弁護士ドットコムの改善

「専門家をもっと身近に」を理念として掲げる弁護士ドットコムの弁護士検索サービス。しかし、高齢者やさまざまな障害を持つ方々にとっても使いやすいサービスといえるのでしょうか。

ここでは、当サイトのアクセシビリティ検証をはじめとする「アクセシビリティ着手のファーストステップ」をご紹介します。

登場人物
被験者:中根 雅文 氏/アクセシビリティの情報サイト「AccSell」主催
司会 :太田 良典/弁護士ドットコム アクセシビリティエンジニア

視覚障害者にとっての弁護士検索サービスの使いやすさ

Webアクセシビリティとは、「より多くのユーザー様が、より多くの利用環境・場面・状況で、Webコンテンツを使えるようにすること」。

私たちの弁護士検索サービスは、法的トラブルを抱えているあらゆる人にとって、法律の専門家である弁護士を「もっと身近にすること」を目指しているため、アクセシビリティの向上は避けては通れない課題です。

そこで、アクセシビリティの情報サイト「AccSell」を主催され、ご自身も視覚障害をお持ちの中根雅文さんに、弁護士検索サービスのアクセシビリティを検証していただきました。

検索結果からの誘導は見出しのマークアップが肝

太田:中根さんにさっそく弁護士を探していただきたいのですが、いま、困っていらっしゃることはありますか?

中根:そうですね、今つくりかけている日本視覚障害者ICTネットワークという団体があるのですが、その組織のアドバイザーとなってくれるようなITや障害者問題に強い弁護士がいるといいですね。弁護士は探したことがないので難しいですね。

太田:まずはChromeを開いて、Googleで検索されるんですね。

中根:昔は見出しがきちんとマークアップされているのはGoogleくらいだったので、それからずっとGoogleを使用しています。「弁護士」「IT」「障害者問題」をキーワードに入れて検索してみましょう。検索結果は、「スクリーンリーダー」というソフトが読み上げてくれます。

太田:すごいスピードで読み上げていきますね。

中根:この音声と、補助機器の「点字ディスプレイ」を併用して見出しを上から順に読んでいきます。見出しが事務所名と弁護士の名前だけだとわかりづらいですが、的確にマークアップされていると必要な情報を見つけやすいですね。

整理されたページ構成で弁護士の比較を容易に

太田:それでは、次に弁護士ドットコムの弁護士検索サービスを利用して、探してみていただけますか。やり方はお任せします。

中根:「弁護士」でGoogle検索すると、すぐに「弁護士ドットコム」が出てきました。サイトの中に入ってみましょう。スクリーンリーダーはHTMLのソースコードの順に読み上げていきますので、場合によっては左に見えるものよりも、右にあるメニューが先に読まれることがあります。

「弁護士検索」というメニューから、「インターネット問題」の弁護士を見てみます。2,000人もいるんですね。「こだわり条件」で年齢、資格などを設定すると、45人まで絞れました。45人であれば、上から順に見ていきましょう。

太田:さて、気になる弁護士は見つかるでしょうか。

中根:見出しのマークアップがある程度しっかりしているので、斜め読みができそうです。ただ、個人ページに記載されている情報が、フリーテキストで本人が入力しているのか、それともサイト側が用意した選択肢を弁護士が選んで作った情報なのか、という構成は複数のページを見ないとわからないですね。

ページを切り替えるナビゲーションの中には、「解決事例」や「感謝の声」など、リンクになっていない項目もありますね。こういった項目は、どのようなルールでそうなっているのかを容易に想像できるかどうかが重要です。

ユーザー目線の構造でコンバージョンにつなげる

太田:それでは、弁護士の当たりがついてきたところで、費用を確認してみてください。

中根:料金表という見出しがありましたので、そこを押してみましょう。……あれ、何も出てきません。ページ内を「料金」で文字列検索をしてみると……表が登場しました。この構造はなかなか気付けないですね。

太田:実は、ここはタブになっていて、JavaScriptでページの内容を書き換えているのですが、スクリーンリーダーでは切り替わったことも伝わらないので、改善が必要ですね。では、料金がわかったところで、問い合わせを行ってみてください。

中根:電話番号が上の方にあったような気がします。ただ、この「050」で始まる番号を私は勝手に電話番号だと思っていますが、手がかりがないので確信はありません。もしかしたら、altテキストのない電話マークの画像が掲載されているのかもしれませんが……。番号の横に「メールでのお問い合わせ」がありますね。

太田:問い合わせフォームの入力方法は、すぐにわかりますか?

中根:フォーム自体は難なく入力できました。

太田:有料会員のログイン画面を見ていただいてもいいですか?

中根:どのようなサービスでも、ログイン画面はわかりづらいことが多いのですが、こちらは問題なさそうですね。最悪なのは、最後まで入力して、ようやく送信というときに画像認証を求められることです。画像認証は、ある程度アドオンで対応できるのですが、パズル認証はお手上げですね。今回はそれがなくて安心しました。

太田:今後、法律問題にぶつかられたとき、弁護士ドットコムの「弁護士検索サービス」を使おうと思われますか?

中根:今回、実際にサイトを触ってみて、弁護士を見つけやすいケースと見つけにくいケースがあることがわかりました。相続や交通事故など、分野が明確な問題であれば使うと思います。ただ、どのような問題であっても、ある程度Google検索で情報を得てから探しにくると思いますね。

今回のアクセシビリティ検証を通して、弁護士検索サービスの主な3つの課題が浮き彫りとなりました。

  1. 検索結果の画面に出てくる弁護士の情報が比較しづらい内容となっている。
  2. 各弁護士のプロフィールページにおいて、リンクのない見出しがあるなど、構成がわかりづらい。
  3. 料金表がなかなか探し出せない。

今回の検証では、貴重なご意見を多くいただけました。記事の後編では、ここでのご指摘をふまえて実際に弁護士ドットコムではどのような改善を行ったのかを紹介します。

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