素晴らしいWebデザインは芸術です。デジタル世界がますます加速する中で、アクセシビリティを重視した体験デザインはさらに重要になっています。これは企業と消費者間のエンゲージメントを促進するだけでなく、ブランドの評判や知名度、ポジションを確立することにおいても重要なことです。
ユニバーサルデザインの原則は、アクセシビリティの妨げとなるものを克服する必要があるという認識から起こりました。身体的困難や認知的困難を持つ人の場合は特に当てはまります。しかしその名が示す通り、ユニバーサルデザインはこれらの困難だけではなく、人生を歩む上でのさまざまな障壁すらも包含し網羅するのです。
すべてのユーザーのニーズを考慮するのは決して楽なことではありません。しかしデザインをより良いものにして、カスタマージャーニーを誰にとってもアクセスしやすく楽しい体験に変えるための基本的な法則は、いくつか存在します。
1. 選択の自由を与える
カスタマイズが可能なことで、ユーザーは自分にもっとも合う方法でコンテンツを体験することができます。そのため、ユーザーが好むWebサイトやアプリ、サービスにおいて選択肢を提供することは、ユニバーサルデザイン戦略に向けた強力な第1歩です。
インタラクション要素をユーザーがコントロールできるようにすると、顧客に代理店のような感覚を与えることができます。これは、ブランドが安全で親近感があると顧客に感じさせやすくします。
こうすることで、顧客がコンテンツを共有して、サービスに登録したり製品を購入するという機会が増えるでしょう。EC企業にとって、コンバーション戦略やブランドの長期的な成功の非常に重要な部分です。
2. 鍵となる機能を自動化する
優秀なUXとは、最高の体験を提供するためにユーザーニーズを予測して、先を見越した対応をすることです。これを実現するには、顧客とのインタラクションを効率化し、さらにユーザー体験を直感的にカスタマイズできるような自動化された機能を組み込むと良いでしょう。
自動化によって、個人のニーズに応じてコンテンツの細部を調整することが可能になります。また、フォームのオートコンプリートや顧客情報を記憶することによって、自動化は販売プロセスの簡素化にも役立ちます。これらは、より精度の高いレコメンドやより正確なオートコンプリートを可能にします。
3. レスポンシブデザインを利用する
ユーザーはさまざまなデバイスからコンテンツにアクセスしています。あらゆるフォーマットやデバイスにおいてコンテンツを正確に表示することは必要不可欠です。しかし、デザインをすべてのデバイスでテストして、すべてに適応させるのは、困難で時間がかかるでしょう。
そのようなときは、レスポンシブデザインによって、画面サイズに応じて調整をしましょう。UIやUXをそれぞれのプラットフォームに合わせて再調整する必要はありません。
4. 色彩理論を実践する
テキストや背景カラーを注意深く選択しましょう。色の見た目の良さだけでなく、コントラストが適しているかも考慮します。Webページのテキストの読みやすさに対して、色は大いに影響を与えます。確信が持てない場合は、コントラスト比率の分析装置を使うことができます。
これは、特に色盲のユーザーにとって重要です。淡色表示の画面を好む人もいるかもしれませんが、ある特定の色とシェードの区別がより難しくなってしまうでしょう。
カラースキームの選択に失敗するとナビゲーションが難しくなり、潜在顧客が利用するのを阻害してしまうかもしれません。なので、デザインのこのような面を考慮する場合、適切な選択は欠かすことができません。
5. キーボードのアクセシビリティをサポートする
すべてのユーザーがマウスを使ってWebサイトを操作できるわけではありません。握力が弱い人や、マウスを正確に動かすのが困難な人もいるでしょう。また操作可能なマウスを持っていない人や、朝食を片手に急いでコンテンツを閲覧したい人もいるかもしれません。
この機能を活用すれば、キーボード操作だけでWebサイトの操作やインタラクションが可能です。十分に統合されたキーボードインターフェイスはモバイルデバイスでさえも操作可能で、幅広いタイプのプラットフォームのユーザーに対応します。
キーボードのアクセシビリティには、もっとも重要な要素が2つあります。それはすべてのリンクがタブキーでアクセスできることと、現在選択中のリンクを明確なビジュアルインジケーターで表示することです。この機能を実装する際に、機能性をテストしてユーザーがこの手法を使用したWebサイトの重要な領域へどれだけ簡単にたどり着けるかを調査する必要があります。クリック可能な要素の配置に失敗したり多すぎたりすると、サイトを操作する上でユーザーのストレスや混乱を招き、関心を損ねてしまうかもしれません。
6. マルチメディアへ必ずアクセスできるようにする
動画や音声、画像などは、アクセシビリティにとって非常に見落とされがちな要素の1つです。キャプションやalt属性のテキストの活用は法的必要条件なだけでなく、とりわけ視覚・聴覚の両方に障がいをもつユーザーに対して十分な体験をもたらすために必要とされています。
ユーザーの中には難聴の人や、動画コンテンツが解釈しづらい人がいるかもしれません。また単純に音を出せなかったり出したくなかったりするような状況では、内容がわかりにくいこともあるでしょう。Aramaのような無料ツールを使えば、YouTubeのような形でキャプションを実装できます。
動画と同じく、画像やほかのビジュアルもすべてのユーザーがアクセスできるものでなくてはなりません。これらのビジュアルは、大抵全体的なデザインの凝集度の重要な部分を担います。したがって視覚障がいがあったり、コンテンツを見る際にビジュアル要素を読み込めなくても、ビジュアル要素があるということを確実に気付かせることが不可欠です。
閲覧者の中にはスクリーンリーダーを使う人たちもいるかもしれません。これは表示されたページや画面上のすべてのテキストを音声で読み上げて伝えるものです。alt属性のテキストはビジュアル要素の説明、意味、文脈を提供する必要があります。
しかし、altテキストの使い過ぎな可能性もあります。画像やビジュアル要素の上でホバーをして、その役割がわかるのはユーザーにとって便利です。しかし、補助デバイスで読まれる可能性のあるページ上で、すでにあるテキストを繰り返すのを避けることは重要です。
いつものことですが、altテキストでなければ得られない価値や利便性をもたらしているかどうか検討しましょう。これには、関連するaltテキストが検索結果の上位に表示されて、SEO効果が増幅することが含まれます。そして、クローラーがサイトをインデックスしやすくさせることができます。
7. すべてをテストする
UXのベストプラクティスの心臓部分は、ユーザビリティです。サイトのユーザーと彼らの特定のニーズを知ることで、サイトコンテンツとのエンゲージメントの障壁を最小化/除去するデザイン決定に必要な知識を得られるでしょう。
ユーザーのニーズを知って理解するために、リサーチとテストが鍵となります。スプリットテストのような手法を使えば、2つのデザインのイテレーションを比較することができます。またユーザビリティテストは、問題のあるデザイン領域の特定を可能にします。
Web Accessibility Initiativeのガイドラインの、ユニバーサルなユーザビリティをデザイン際に検討する機能の手軽なチェックリストを参照してみましょう。
8. エラーを認識する
誠心誠意の、注意深いデザインであっても、ときに間違ってしまうこともあるでしょう。しかし多くの場合、企業に影響を及ぼすのはエラー自体ではなく、エラーに対する反応なのです。
ユーザーは技術的なエラーに遭遇すると、自分自身のせいにする傾向にあります。アクセシビリティの問題に遭いやすいユーザーは特にそうでしょう。技術的なエラーはストレスや動揺を与えてしまうかもしれませんし、将来的な企業とのエンゲージを妨げる可能性も十分にあります。企業はエラーを認識してできるだけ簡単な説明を行い、迅速に問題を修正するための対策を講じなくてはなりません。
エラーが発生する前にユーザーがタスクに戻れるようにすることは、ユーザー体験の継続性を維持するのに役立ちます。そして、Webサイトやアプリにおけるユーザーの保持率を増加させてユーザーの自信を増幅させるための、強力な手段へと繋がります。
UXデザインやデジタルマーケティングのあらゆる面において、オーディエンスを理解することは非常に重要です。
すべての顧客がアクセスしやすい体験を計画すれば、スタイルやトーン、ブランドのメッセージを妥協することなく企業に利益をもたらすことができるでしょう。