プロトタイピングツールは、UX MILKでもたびたび記事で取り上げていますが、皆さんはどのツールを使っていますか?
今回、プロトタイピングツール「Indigo Studio」が無料でも使えるようになったそうなので、提供元のインフラジスティックス・ジャパン株式会社の方にIndigo Studioの特徴とプランについてお聞きしてきました。
登場人物
インフラジスティックス・ジャパン株式会社 代表取締役 東 賢 氏
インフラジスティックス・ジャパン株式会社 ソリューションコンサルタント 山口 慧 氏
インフラジスティックス・ジャパン株式会社 製品担当 池原 大然 氏
ユーザビリティテストもできる「Indigo Studio」
― まず、インフラジスティックス・ジャパンさんの事業について簡単にご紹介ください。
東:インフラジスティックス・ジャパンは、Infragistics,Inc.というグローバルカンパニーの日本法人で、メインの事業はUIコントロールをエンタープライズ向けに販売しています。UIコントロールとはUIの部品のようなもので、これを組み合わせて効率的にプロダクトを作れるInfragistics Ultimateというスイート製品を提供しています。世界ではフォーチュン500に選ばれている企業の多くで標準的に採用され、日本国内でもすでに5,000社を超える企業にて採用されています。
また、最近注力しているプロダクトとしてプロトタイピングツール「Indigo Studio」があります。私たちは、UIコントロールを販売しているのですが、いまはオープンソースソフトウェアもあり部品だけでお客様に満足いただくのは将来的には難しくなると考えています。そのため私たちは、素早くより良いアプリケーション開発を達成するためにツールやサポートを重視しており、Indigo Studioはその中でも注力しているプロダクトのひとつです。
― ほかのプロトタイプと比べたときのIndigo Studioの特徴について教えてください。
プロトタイピングツールには、遷移するだけのトランジション型と細かい動きをつけられるアニメーション型がありますが、Indigo Studioは両方に対応しています。以前、UX MILKさんのプロトタイピングツールの比較記事でもご紹介いただいたのですが、ほかのプロトタイプツールと比べても機能は豊富だと思います。
特に重視しているのは、プロトタイプを作るだけでなく、それを評価して、改善するという一連のプロセスをスムーズに回せることです。中でも特徴的な機能としては、以下の3つがあります。
- ストーリーボード
- ユーザビリティテスト
- コードジェネレーター
ストーリーボード
山口:ストーリーボードは、ユーザーがどのような状況やシナリオの中でそのアプリケーションを使っていて、最終的にユーザーはどのような気持ちになるのかというストーリーを描くものです。Indigo Studioには、このストーリーボードの作成機能があります。
東:この例は飛行機に乗っているシチュエーションですが、特定のシチュエーションにおいて利用するアプリはどうふるまうべきかを考えるために存在する機能です。
ユーザビリティテスト
東:2つ目の特徴が、ユーザビリティテストです。一般的に、ユーザビリティテストを実施する場合、参加者を集めて、記録をとり、分析して、レポーティングを作成してと結構コストがかかるものなんですよね。
Indigo Studioの場合は、クラウドサービス「indigodesigned.com」を使うことで、コストをかけずに、大規模なテストをすることができます。
山口:まず作ったプロトタイプに対して、シナリオに沿ったタスクを作成し、事前に想定する操作内容をレコーディングしておきます。たとえば、経費精算をするアプリであれば、「コーヒーを買ったときの経費精算をする」というタスクを作成し、このタスクで想定している「経費追加」ボタンをタップする操作をレコーディングしておきます。テストを実施すると、この事前にレコーディングしたものと、ユーザーの操作が自動で比較され、タスクを達成したかがわかるようになっています。
山口:あとは、テスト用のURLを被験者の方に渡すだけでテストができます。オンラインでユーザビリティテストができるので、100人でも1,000人でもURLを配ればテストを実施できるのが強みです。
テスト結果はこのように、タスクの完了率や完了までの時間などが自動で表示されます。
山口:最終的にこのようなクリックマップでどのようなアクションパターンが多いのか表示することもできます。最近新しく追加された機能で、操作している人の表情や音声を記録することができるようになっているので、操作しているときのユーザーの感情の動きなどもわかるようになっています。
コードジェネレーター
山口:最後にプロトタイプを元にHTMLやCSS、JavaScriptのコードを生成する機能があります。
東:エンドユーザーに対してユーザビリティテストを実施するとなると、ほぼプロダクションに近い見栄えにする必要があります。そこまで完成度を高めたものを捨ててしまうのももったいないので、それをそのままコードとして出力してプロダクションでも使えるようにしています。
将来的には開発にそのまま利用できるプロジェクト全体を出力できる機能も予定しています。最終的にデザインから開発までシームレスに繋げられるようなソリューションを目指しています。
Indigo Studio を含めて我々が提供するUI コントロール製品やサービスの目指すところとしては、お客様がまず100点満点中80点を取れるようなUIを、とにかく早く作れるようにすることです。
80点を取れた上で、ようやく差別化するためのUIを作れると思うので、まずはそこに早くたどり着けるようにツールを提供していますし、必要であれば私たちがコンサルテーションするという形でやっています。
Indigo Studioのプラン
― 今回、Indigo Studioに新しいプランが出て、無償でも使えるようになったそうですが、その内容について教えてください。
池原:もともとはIndigo Studio単体製品は年間、約5万円で提供していたのですが、今回エディションを無償と有償のプランに分けて提供することになりました。Essential版が無償で使っていただけるもので、30日間は全機能を利用でき、その後もIndigo Studioのほとんどの機能を利用することができます。
無償と有償の違いは、主にindigodesigned.comを利用できるかです。indigodesigned.comでは、プロトタイプの共有をしたりコメントをしたり、ユーザビリティテストを実施したりできます。エッセンシャル版でも、30日間は無料で利用できるようになっていますので、その部分もお試しいただけます。
たとえば、いままでプロトタイプを使ったことがなく、とりあえず動きのあるものを作りたいという場合であれば無償版をお使いいただけると良いと思います。さらにそのチーム内やエンドユーザーさんとやりとりをされる際に、リモートでもやりとりをしたいようであれば有料版の機能をご検討いただくというような形になります。
― プロフェッショナル版とエンタープライズ版の違いはどこにあるのですか?
東:ワークスペースの数に制限があるかどうかですね。ワークスペースはプロジェクトを置く場所のことで、ワークスペース毎にアクセス権限を設定できるようになっています。ひとつのワークスペースの中には複数のプロジェクトを作成することができます。
ほとんどの場合は5つワークスペースがあれば足ります。これ以上が必要なのは大きなエージェンシーさんやシステム会社さんのようなところで、それぞれに権限を分ける場合は5つ以上必要となるでしょう。
池原:また、セキュリティに厳しい企業さま向けにクローズドネットワークで全てを完結できるオンプレミス版というのを別途用意しております。これはお客様でサーバーを立てていただいて、indigodesigned.comの機能をそのまま再現いただくというオプションです。
プロトタイプは製品の設計情報、設計図なので、それを社外のクラウドに出すということに抵抗感を持たれるお客様が日本では非常に多いです。最近提供開始したのですが、早速数社導入していただいています。
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Indigo Studioは、本日2018年4月24日より提供プランが変更され、無料でも使えるようになりました。ユーザビリティテストをはじめとした機能も利用できるので、ぜひ試してみてください。
提供:インフラジスティックス・ジャパン株式会社
企画制作:UX MILK編集部