TSUTAYA TVなどの事例からみる、成果を出すためのLPOのプロセス

UX MILK編集部

モノづくりのヒントになるような記事をお届けします。

LPO(ランディングページ最適化)と言うと、情報量が多く派手なLPを作るようなイメージもあるかも知れませんが、今はいかにユーザーの心理を汲み取り、彼らのニーズに合わせた情報を提供できるかという方向にシフトしています。

今回は国内売上No.1のLPOツール「DLPO」を提供するDLPO株式会社の方に同社の具体的な事例を交えつつ、LPOの極意について聞いてみました。

DLPOとは

― まずはDLPOについてお聞きしたいのですが、どのようなツールなのでしょうか?

DLPO」はLPOや、もっと広義でいうとCRO(コンバージョンレート最適化)のために、各ユーザーに最適なページを出すことのできるツールです。ページ最適化の手段としてはLPOでの定番とも言える「A/Bテスト」「多変量テスト」に加えて、独自な機能として「パーソナライズ機能」があります。

パーソナライズ機能は、ユーザーの閲覧データや環境データから趣味嗜好などを判断して、最適なコンテンツを出し分ける機能です。

LPO、どう進めればいい?

― まず、LPO改善というのはどのように進めればよいのでしょうか?

LPOでは、何らかの仮説をもってテストをしていくので、課題と仮説をどう洗い出すかが大事です。基本的には定量データ・定性データをうまく使い分けて、仮説を導き出します。

たとえばアクセス解析ツールなどを使えば、どのページに課題があるかの特定はできます。たとえば、「ここが離脱率が高い」、「コンバージョンに近いページなのにボトルネックになっている」などですね。ただ、これだけではどうして悪いのかという理由が分かりにくいんです。そういった場合はより定性的なデータを得るべく、ユーザーテストなどを行い仮説を導き出します。

対象となるページによってケースバイケースですが、多くの場合「何を伝えるか」と「どう伝えるか」という2軸から改善案を考えるとよいと思います。

事例1:TSUTAYA TV

―ここからは具体的な事例をお聞きしたいと思います。

弊社がゼロからLPの企画・改善まで行った事例で、TSUTAYAさんの「TSUTAYA TV」という動画配信サービスの事例があります。

従来型の広告寄りのLPから脱却したいとのことだったのですが、そのLPがそれなりに成果を上げているので、なかなか新しいデザインを導入できないという課題があり、ご相談いただきました。この案件では企画段階から提案をさせていただきました。

―ゼロからの提案だったのですね。実際どう進められたのでしょうか?

ゼロからの企画の場合、「誰に」「何を」「どのように」という3つのステップで考察しています。

誰に

経験則を基にした従来の視点から脱却するために、DMPのデータを基に「動画配信サービス」というキーワードで検索するユーザーのペルソナを改めて作りました。

何を

競合サービスと比較してどのような訴求をしたらよいかに関しては「コトラーの三層構造」というフレームワークを使っています。

自社の提供価値というのを「中核価値」「実態価値」「付随価値」と言う項目を基に洗い出します。実際これを競合のものと照らし合わせて強みを探します。

ただ、これだけではこちらがアピールしたいことだけしか出てこないので、ユーザーの視点を洗い出すフレームワークも使って検討をします。

このご時世、モノがあふれているので、「ユーザーはモノを選ぶとき、買ったあとのリスクを気にするという心理が働きやすい」と言われています。なので、ユーザー視点で悩みのポイントを6つの軸で区切って、洗い出しました。

先程の提供価値とユーザーの不安を基にコンテンツ化していきました。以下の画像が、改善後のLPの一部です。

どのように

いよいよコンテンツをLPに落とし込むのですが、ユーザーに対するアプローチとしては「共感させる」「信用させる」「理解させる」「行動させる」という4つが大事になってきます。

今回の場合は、「TSUTAYA」が運営していることを伝えるのが大事でした。

動画配信と宅配レンタルが混在しているサービスなので、その部分をきちんと理解させることや、バナーもTSUTAYAのブランドカラーにして安心感を出すなどをしました。

結果的に右側のような、従来のものと比べるとシンプルな形になったのですが、CVRは20%も改善する結果となりました。左側はいわゆる「LPっぽい」ページではあるのですが、こちら都合のメッセージが多く、ユーザーの心理には応えていないページだったんですね。

もちろん、この20%に至るまでは細かいクリエイティブのA/BテストをDLPOで細かく回しました。各セクションでクリエイティブを何通りか作り、無数ある組み合わせを自動的に検証し、最適なクリエティブの組み合わせに持っていきます。

このほかにも、ページ内を5セクションに分け、セクション毎に数通りのクリエイティブを作り、合計960通りの組み合わせをテストして最適なLPを作成しました。組み合わせの中から一番効果が高いパターンを探し出す手法を「多変量テスト」というのですが、手動だとこの960通りの組み合わせをテストするのは現実的ではないのですが、DLPOなら自動でテストを行うことができます。

パーソナライズでさらにCVRアップ

最適なクリエイティブの組み合わせを弊社では「チャンピオンのページ」と呼ぶのですが、これは必ずしもすべてのユーザーにとっての勝ちパターンではない可能性があります。セグメントによっては効果が変わってくる可能性があるんですよね。

そのようなときはDLPOのパーソナライズ機能を使って、セグメントごとにクリエイティブを出し分けて最適化をはかることができます。

全体ではAパターンのほうが成果出ていても、あるセグメントではBパターンが勝ることもあるということです。

TSUTAYAさんの事例では「平日の日中」と「平日夜+土日」でデータに差異が出ていたことから、「主婦層」とそれ以外の層がいるのではないかという仮説が生まれ、この仮説を基にページを出し分けてさらににCVRを16%(トータルで36%)改善できました。

事例2:神戸神奈川アイクリニック

― 逆に定性的なデータを扱った事例などはありますか?

弊社がお手伝いした神戸神奈川アイクリニックさんのLP改善の案件では、データからペルソナを作るのではなく、ユーザーテストからペルソナを作りました。

ユーザーテストをした結果、仮説・課題が7つほど見つかり、それに対して改善項目を用意しました。

具体例として、当初クライアントさんのLPでは「権威ある指導医の方がいる」ということを謳ってたのですが、ユーザーさんとしてはそのような情報よりも、「実際どんな人が執刀するのか」という情報の方が心配事として大きいことがわかりました。

そのため、「こんな先生が執刀します」という情報を載せるなどいくつかの改善を行ったところ、コンバージョンが大きく改善したという事例です。

事例3:ベルーナ

― LP以外の事例などはありますか?

ベルーナさんという通販サイトにおける購入CVRの改善例があります。ECサイトでは、
ユーザーに何度も購入してもらうためのマーケティングが必要になるのですが、このときはユーザーを購入頻度でセグメントして改善を実施しました。

たとえば「よく買っている」方には、もうプレゼントの訴求などは響きません。訪れる目的も決まっているので、逆にプレゼント情報など色々な情報を出さないほうがコンバージョンが高い傾向にあります。

最近ではサジェスト機能などもありますが、こういったユーザーさんの購入経験の有無や、接触の頻度などによって、結果が大きく変わることがありますので、そういった場合は弊社のDLPOのパーソナライズ機能で会員属性ごとに情報を出し分けてA/Bテストをしたりしています。

― 本日はありがとうございました!

・・・

今回は、LPOの具体的な進め方とケーススタディをお聞きしました。DLPOでは、基本的な「A/Bテスト」や「多変量テスト」のほかにも、最後に触れた「パーソナライズ」機能をサイトに組み込むことができます。ユーザー属性によって内容を出し分けて簡単に検証・変更が可能ですので、サイトの最適化に悩んでいる方はぜひチェックしてみてください。

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提供:DLPO株式会社
企画制作:UX MILK編集部


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