メルマガの登録フォームを効果的にデザインする方法

Paul Boag

PaulはUXコンサルタントであり、デジタルトランスフォーメーションの専門家です。非営利団体や企業のWeb、ソーシャルメディア、モバイルを使ったユーザーとの結びつきを支援しています。

この記事はboagworldからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How to successfully encourage newsletter signup with good design

メルマガの登録フォームが非常に不快だという意見には私も同意します。以前、私はこのテーマについて記事を書いたことがあります。その後、さらにもう一記事を書きました。

私はメルマガの登録フォームはさらに改善できると考えています。実際、私のサイトの実績を元に登録フォームの効果を証明することができます。

私はメルマガの登録フォームにうんざりしています。企業は何としても私のメールアドレスを手に入れようと、あらゆる手段を講じてきます。無理矢理聞き出すために、あらゆる迷惑な技術を用いてくるのです。閉じることができない鬱陶しいポップアップや、登録をしつこく催促する巧みな話術など、枚挙に暇がありません。

このような技術が機能しないと断言できたら良いのですが、実際には機能してしまいます。困らせ続ければ、かなりの割合の人が企業の望み通りに動くでしょう。しかし、その代償は計り知れません。1人がメルマガに登録するごとに、ほかの10人から避けられるでしょう。このような事態は、ユーザーにとってもビジネスにとっても好ましくありません。

このようにポップアップとユーザーを騙す言葉遣いは、登録するユーザーより多くのユーザーを遠ざけてしまいます。

さらに、このような技術は余計でもあります。例として私のサイトのメーリングリストを挙げましょう。トラフィックの割合は比較的低いにもかかわらず、8,000人以上が登録するメーリングリストに成長させることができました。登録者は、1週間に40~50人ずつ増加しています。解約率が低いメーリングリストです。

これらの成果はすべて、優れたデザインや上手なコピー、そして少しの常識だけによって達成されました。加えて、これらは登録者のエンゲージメントにも結びついています。私のメルマガの開封率とクリック率は、比較対象より2倍も高い数値です。

ユーザーを不快にせずとも、簡単にメーリングリストを構築できることを証明するために、私は自分のアプローチを分析したいと思います。まずは非常に簡単な質問から始めましょう。

「私のメーリングリストはユーザーにどのような価値を提供しているでしょうか?」

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どのような価値を提供しているか

ユーザーは馬鹿ではありません。自分たちがメルマガを登録することによって、私たち運営者に何かしらの価値を与えることをわかっています。ユーザーは自分のメールアドレスに価値があることを把握しているのです。それでは、私たちはお返しに何を与えるべきでしょうか?

割引を提供することが、ユーザーが登録するインセンティブだと考えている人は多いです。しかしながら、実際に割引がインセンティブになることは滅多にありません。割引は割引として、購入を促進する手段であるとユーザーは認識します。割引は、それ自体では実質価値を提供しません。

また、割引は間違ったメッセージを伝えてしまいます。メルマガ自体には価値がないので、登録してもらうために賄賂を渡す必要があるのだと受け取られるかもしれません。たとえ割引のために登録してくれたとしても、ユーザーの解約率は高くなるでしょう。なぜなら、一度割引を受け取ってしまえば、加入し続ける理由はなくなるからです。

優れたメルマガは、長期的で継続的な価値を提供します。ユーザーのニーズを満たす必要があるのです。私のメルマガでのニーズとは、自分自身を改善したいという欲求です。心理学者はこれを自己実現と呼んでいます。自己実現は、マズローの欲求階層説の最上位にあるものです。私は人々がユーザー体験のエキスパートになるのを手助けしています。

どのようなニーズを満たしているのか自問してみましょう。購読しているユーザーに、どのような価値を提供していますか?

実際、ほとんどのメルマガは何らかの教育に焦点を当てるべきです。たとえば、ユーザーが最適な製品を選択するのを手助けしたり、ユーザーに新しい技術を教えたりできるでしょう。メルマガは、ただ売るだけでなく情報を伝えなければなりません。人々に登録をお願いする際には、この価値を反映させる必要があります。

特徴とメリットの両方を伝える

メルマガの登録フォームを見ると、コピーにメルマガを売り込むための要素が一切書かれていないことが多いです。大抵「メルマガに登録する」という文言以外には何も書かれていません。メルマガの内容について言及しているコピーも稀にありますが、内容に言及するだけでは不十分です。

人々にメルマガを購読してもらいたいのなら、メリットを明示するべきです。私のサイトでは、「メルマガに登録して、ユーザー体験のエキスパートになりましょう」という見出しを用いています。このコピーによって、メルマガが読者に何を提供するのかが明確になります。

しかし、注意してください。メリットに焦点を当てるだけでは不十分です。メルマガがどのようにメリットを届けるのかも、ユーザーは併せて知りたいと思うでしょう。言い換えれば、メルマガの機能も強調する必要があるのです。

私はタイトルの下に表示される段落において機能を説明しています。このパラグラフにおいて、ユーザーが「デジタル戦略の改善、Webのプレゼンスの強化、関係のできた消費者のニーズを満たす方法」に関するアドバイスを受けられることを伝えています。

私のメルマガの登録フォームに関するキャッチコピーは、ユーザーが得られるメリットと特徴をまとめています。

このコピーは、同時に次の役割も果たします。

ユーザーの懸念を払拭する

メルマガの登録には一定のリスクが伴います。ユーザーは、スパムを送信されるのではないか、解約が難しいのではないかと心配しています。メルマガに登録して欲しいのなら、これらの懸念を解消しなければなりません。

私のコピーは、これらの懸念に対応しています。私は、2週間に1度しかメールを送らないこと、1回のクリックで解約できることをコピーで説明しています。また、最後にメールアドレスを第三者に渡すことは決してないとを伝え、ユーザーを安心させています。

反論への対応(オブジェクションハンドリング)は、人々に何かの行動をさせる際に重要な要素です。何とかユーザーを説得してクリックしてもらう必要がある以上、決して省略してはいけません。

コピーを最適化できたら、次は適切なタイミングを計ることに注意を向けましょう。

タイミングを計る

登録してもらおうと躍起になるあまり、私たちはほとんどユーザーの気持ちを考えることがありません。ユーザーがWebサイトを訪れた瞬間、私たちは彼らに飛びかかり、ポップアップやギラギラしたCTAなどの気を散らすもので迎えています。

そうではなく、私たちはタイミングを見計らう必要があります。登録を求めるもっとも合理的な機会について考えなければなりません。たとえば、この記事を開いた瞬間に私のメルマガに登録するよう頼んだとしても、ほとんど意味はないでしょう。おそらく訪問者は私についてあまり知りませんし、メールアドレスを手渡す価値のあるアドバイスを私が提供しているのかどうかもわかりません。

代わりに私は、記事の一番下にメルマガの登録を設置しています。つまり、私の発言を読んで、私を判断する機会がユーザーにあるということです。

私はメルマガの登録フォームを各記事の一番下に置いています。なぜなら、ユーザージャーニーの観点からもっとも合理的だからです。

もちろん、すべてのユーザーが同じではないことはわかっています。私のコンテンツを以前に読んだことがあり、メルマガに登録するためにサイトを訪れた人もいるでしょう。そのため、私はメインナビゲーションにも登録リンクを用意しています。言ってみれば、私はこのようにリスクを分散しているのです。

また、登録フォームがWebサイトの各ページにあることに気が付いたでしょうか。私は自分のユーザーを理解しており、ほとんどがGoogleやソーシャルメディアを介して、それぞれのブログの記事を訪れることを知っています。つまり、私のユーザーは、サイトを1ページしか見ないのです。私には彼らがトップページを訪れ、メルマガの登録フォームを見る確証がありません。

CTAをトップページだけに配置しているサイトの多さには驚きを隠せません。検索やソーシャルで流入した訪問者は、ほとんどトップページを訪れないのです。実際、多くの人はCTAを一度も目にしないでしょう。アナリティクスを見て、メルマガの登録フォームを設置するのにもっとも適切な場所を見つけてください。私のサイトのように、すべてのページにフォームが必要だと結論づけられるかもしれません。私のように、フォームが重要なCTAになる場合、これは特に当てはまります。

アナリティクスを見て、メルマガの登録フォームをどこに置くべきかを確認しましょう。私のケースでは、直帰率が高いこと、1ページあたりのトラフィックがわずか8%しかないことから、すべてのページに置く必要があると言えます。

もちろん、すべての人がCTAを発見できるのであれば、すべてのページにCTAを置いても無意味です。

適切にデザインする

サイズがすべてではないと言われていますが、CTAにおいてはきわめて重要です。重要なCTAがナビゲーションやコンテンツに埋もれてしまうことはよくあります。究極的にはWebサイトは、人々に行動をうながすために存在します。メルマガの登録フォームは目立たせる必要があり、サイズはその1つの手法です。

そのため、私はリンクやボタンの遷移先にメルマガの登録フォームを隠しません。代わりに、フォームを大きくて大胆に作成します。美しくないと思われるかもしれませんが、実際に機能します。また、大きく作成するのには別の理由もあります。大きく作ることで、メルマガを宣伝するスペースが生まれるのです。もしリンクかボタンしか表示していない場合、CTAを説明することはできません。

しかし、注意してください。たくさんのスペースを使えるからと言って良い気になってはいけません。スペースがあると、余分な項目を追加したくなるでしょう。この欲望が物事を複雑にします。実は、私もこの罠に陥っていました。この記事を書いているうちに、私は登録フォームでユーザーの姓を尋ねていることに気が付きました。決して姓の情報を使用しないにもかかわらずです。では、なぜ私はそれをユーザーに要求していたのでしょうか? それは、私がMailchimpのフォーマットを盲目的にコピー&ペーストしたためです。ユーザーがその項目を記入する必要があるかどうか、私は立ち止まって考えませんでした。

私と同じ間違いをしないようにしましょう。実際に使用しないフィールドは追加しないでください。

メルマガの申し込みフォームに追加するすべての要素を疑う必要があります。フォームの項目だけでなく、使用する単語についても考えるべきです。できるだけシンプルでありながら、登録をうながすものでなければなりません。

しかし、クリックしたら何が起こるのかを考慮していないと、以上の苦労は何の役にも立ちません。

プロセス全体を見直す

私は人々がクリックした際に体験するプロセスについても、登録フォーム自体についてと同じだけ考え抜きました。ほとんどのCTAは、1つのインタラクションでは終わりません。ユーザーに複数のステップを完了するよう求めます。私の登録フォームの場合、ユーザーがメーリングリストに加えてほしいと思っているかどうかを確認する必要があります。

登録フォームの段階で、エラーが起こる可能性も考慮しなければなりません。私のケースでは、2つのことが起こる可能性があります。

第1に、ユーザーは自分のメールアドレスを確認しなければならないことに気づかないかもしれません。この問題を避けるために、私はフォーム送信した直後にユーザーに確認が必要な理由を表示しています。

登録プロセス全体ができるだけ楽なものになるよう、試行錯誤を繰り返しましょう。

第2に、何らかの理由で確認のメールが届かないかもしれません。そのため、メールを受け取れない場合は、私に連絡するよう登録後のページでうながしています。登録者を失うよりも、手動でメールアドレスを追加する手間をかけるほうが良いでしょう。

ただ、まだプロセスは終わりではありません。最後に重要な考慮事項が1つあります。私は自分が定めた約束を果たさなければなりません。ユーザーに登録してもらうために、私は人々がユーザー体験のエキスパートになるのを手伝うと言いました。私はこの約束を果たす必要があります。恥知らずな自己宣伝をするスパムメールに甘んじたり、アジェンダを押し通したりすることはできません。もしそうすれば、私は新しい人々に登録をうながしたそばから解約されてしまうでしょう。私の努力は何も生み出しません。

つまり、私たちは約束を守る必要があるのです。メーリングリストを増やす最善の方法は、登録者に価値を提供し続けることです。これによって人々が解約するのを防げるだけでなく、口コミの拡散にも繋がるでしょう。人々の注目を集めようとする時間を減らしましょう。代わりに、質の高いコンテンツを制作することに労力を注いでください。


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