Webサイトプロジェクトのスタート時には、ローンチを成功させるために、プロジェクトのゴールを理解し、ユーザーと顧客について学ぶ発見フェーズが必要です。さらに、発見フェーズを進めるためのキックオフミーティングも同じように重要です。
受託制作と自社サービスのどちらの場合でも、キックオフミーティングと発見フェーズにおいてチームが協力し合うことで、組織の目的を共有することができます。これらの段階は、プロジェクトを上手く協力しながら進めるために、チームを立ち上げる段階でもあります。
いつキックオフミーティングをすべきか
理想的にはキックオフミーティングは、プロジェクトへの期待を共有するために、プロジェクトの開始前にチームメンバーと協力者を集めて実施するべきです。
最低限必要な時間は半日です。この3~4時間を使ってプロジェクトの目標や発見フェーズのタスク、調査について話し合い、クライアントに質問し、クライアントやチームの要求を明確にし、プロジェクトの前提をクリアにします。午前や午後のすべてをミーティングに割くのが現実的でない場合は、2時間のミーティングを2回行い、それぞれのテーマについて議論しましょう。
誰を呼ぶべきか
適切な人々をミーティングに同席させることで、その後の工程がずっと楽になります。すべてのステークホルダーと協力者を招待するようにしましょう。
キックオフミーティングは、皆で集まってプロジェクトに期待することを共有し、それぞれの目的や優先順位の違いを明確にする機会です。また、誰が意思決定者かを明確にできるので、スコープクリープ(編注:プロジェクトの進行とともにプロジェクトが肥大化すること)のリスクが軽減されるでしょう。
ミーティングには、以下の人々に出席してもらう必要があります。
- 発見フェーズを率いてリードする優れたまとめ役
- プロジェクトに参加するクリエイティブチームの主要メンバー
- 関係する各事業の代表者
- 主要なステークホルダーと意思決定者
全員が一度に参加するのは実践的でないとしても、できるだけ多くの人を呼ぶようにしましょう。そして、欠席した人々にはフォローアップインタビューを実施してください。全員がプロジェクトに参加し、チームの一部であると実感する必要があります。
なぜキックオフが重要なのか
キックオフミーティングと発見フェーズは、ただ事務的に実行すれば良いというものではありません。きちんと計画して効果的に実施すれば、プロジェクトにおいてチームが一緒に過ごす時間の中でもっとも貴重な時間の1つになるでしょう。発見フェーズでは次のことを実施してください。
- プロジェクトを成功に導く絶好の機会なので、プロジェクトに関わる人々と計画を固めましょう。
- 正確なタイムライン、期限、予算を設定しましょう。
- プロジェクトの協力者に、時間がかかる理由や特定の予算が必要な理由について説明する機会を与えましょう。
- クライアントやチームがアイデアをどのように見ているのかを明らかにし、全員が幸せになるビジョンを設定する機会を設けましょう。
- アイデアを1つの共通目標に統合しましょう。
- グループとしての合意を得て、個々人の責任、期限、ワークフローのプロセスを設定しましょう。
発見フェーズの前に何をすべきか
キックオフと発見フェーズに何を期待するのかあらかじめ決めておくのは非常に重要です。すべての出席者に、なぜ一堂に集まってもらったのかを伝えましょう。たとえば、顧客やプロジェクトの目的、必要なコンテンツ、物流、役割などについてできるだけ多くの情報を知ってもらうため、計画を正式に決定するためといった理由があるかもしれません。
セッションの前に、次のことを実施しましょう。
- 日付や時間、場所を設定し、参加する必要があるすべての人を招待しましょう。もし誰を招待すべきかわからないなら、組織図で関係する部署の責任者を確認しましょう。
- 出席者が参照できるように、ブランディングのガイドラインを見直した上で印刷してください。
- サイト開発のためにチームが提供できることのリストと簡単な過去のプロジェクト事例を印刷してください。たとえば、以前のプロジェクトのURLやスクリーンショットを提示することで、チームの能力を証明できるでしょう。
- デザインしたWebサイトのスクリーンショットを印刷し、出席者がWebサイトの現状を把握できるようにしましょう。これによって、Webサイトのなにを変更し、なにを残し、なにをデザインすべきかを考えられます。
- 関連市場への理解を示すために、必要に応じてポジショニングや競合調査を実施しましょう。
- キックオフミーティングの議題について準備できるように、アジェンダを共有しましょう。
アジェンダには何を含めるべきか
Ellen de Vries氏は著書『Collaborate: Bring people together around digital projects』で、キックオフと発見フェーズでは次のことを実施すべきだと述べています。
- すでに存在している要素を収集する
- プロジェクトの範囲に含まれる可能性がある分野を分析する
- 役割やタスクなどに、グループの共通言語を設定する
- プロジェクトに形を与え、先のタスクを決定する
GatherContentのBecky Taylor氏は、発見セッションのアジェンダは4つのパートに分けられるべきだと提案しています。
パート1:Q&A
クライアントやプロジェクトチームに、彼らの事業や、Webサイトのプロジェクトで達成したいことについてたくさん質問をしましょう。次の情報について確認してください。
- ビジネス(事業の構造、簡単な沿革など)
- 製品やサービス
- ターゲットの消費者は誰か、現在彼らにどのように接触しているか
- ソーシャルメディアを含む既存のマーケティング戦略とコミュニケーション戦略
- 既存のWebサイトとそのコンテンツについて、成功した部分と失敗した部分など
- どのような製品やプロジェクトにしたいか
パート2:カスタマージャーニー
次に、クライアントやチームがどのように消費者や顧客と接触しているかを調べてください。製品やサービスを認知する段階から購買やリテンションの段階まで、一般的な顧客のカスタマージャーニーのさまざまな段階について話し合いましょう。そして、新しいWebサイトがそのジャーニーを支えられる機会を見つけてください。
パート3:消費者の識別
すべての顧客と消費者のセグメントをチームでリストアップし、各グループのデモグラフィクスや態度、ニーズに注意を向けましょう。これによって、顧客の動機を理解し、ターゲットの消費者を特定しやすくなります。
パート4:トーンを決める
会社の雰囲気を言い表す5つの単語やフレーズを各人に書いてもらいましょう。次に、それを全員で共有し、企業をもっとも表せている5つの単語をグループで決定します。そこで決まった特性を、トーンのガイドラインを作るための基礎として使用しましょう。
次の段階
発見フェーズのあと、ミーティングの議事録を送る前に少し見直す時間を取りましょう。次に、いくつかの議事録をまとめて、招待されたすべての人に共有してください。報告書には以下の事項を含めましょう。
- 議論されたすべての内容の要約
- 合意を得たあらゆる成果、行動、成果物
- 今後決断を下す必要があるもの
- 明確にした事業目標とWebサイトの目標
- 新しいWebサイトが目指すターゲットの消費者
- たとえ些細なものでも行動計画上の注意事項を記載する
セッション後の共有とコミュニケーションは、セッションが実行されたことの確認や復習として重要です。キックオフミーティングと発見フェーズはあくまで始まりに過ぎず、将来的により多くの協力と挑戦が必要になります。しかし、これらのプロセスによって、チームを軌道に乗せて、Webサイトのプロジェクトが成功する可能性を高めることができるのです。