憶測で失敗しないためのパーソナライズ戦略

Jennifer Leigh Brown

Jenniferは20年近く、UXやデジタル戦略、リサーチ、コンテンツやデザインに関する努力をリードしています。複雑なものをシンプルにすることを専門としてます。

この記事はThe UX Boothからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Website Personalization Planning (2018/4/3)

ユーザーがWebサイトのコンテンツを閲覧するとき、その期待値というものは往々にして高いものですが、その関心が持続する時間は非常に短いです。ユーザーの欲しいものに直結するメッセージやコンテンツ、機能が表示されない場合、ほかのサイトに去ってしまいます。そのため運良くユーザーを獲得することができたなら、企業はサイトやコンテンツに彼らを留めるために持てる力をすべて使うべきです。

Webサイトのパーソナライズは、ユーザーの関心をより効果的に集めることができる方法です。ユーザーにとってより良い体験を提供できるだけでなく、コンバージョン率を高め、より売上を伸ばし、ブランドに親近感を持ってもらうことができます。体験をパーソナライズできていない場合、売上や既存顧客の継続率、ブランドロイヤリティを高める機会を失っているのです。

パーソナライズとは何か? なぜ重要なのか?

Webサイトのパーソナライズとは、個々のユーザーのニーズに合わせて適切な体験を提供することです。具体的には、ユーザーの性格や属性、行動などに基づき、より適切で役に立つものを動的に表示します。どのようなユーザーで、なにをしたいかという情報に基づいたより価値のある体験を提供するために、既存・新規の区別なくユーザーに合わせてパーソナライズが行われます。

パーソナライズはカスタマイズとは異なります。カスタマイズとは、ユーザーが自分の欲しいものを選択することです。一方、パーソナライズではユーザーの欲しいものを予測します。カスタマイズはインターフェイスを通じてユーザーが管理するものですが、パーソナライズはインターフェイスの裏側にあるものです。データと技術を使ってリアルタイムで体験を修正する、予測的で規範的なものです。

Amazonでは過去の購入や最近の閲覧行為に基づいて製品をおすすめします。

企業や組織の目標がユーザーエンゲージメントの向上であろうと、コンバージョン率の改善やリード顧客の獲得であろうと、パーソナライズはWebサイトの成功の指標に大きな影響を与えます。結果として以下のような利益が見込めます。

  • 高いコンバージョン率
  • エンゲージメントの向上(閲覧するページの数、セッションごとのインタラクション、ページスクロール量の増加、再訪率など)
  • 直帰率の減少
  • 顧客定着率の改善
  • ブランドの認知や親近感、ロイヤリティの強化
  • リード顧客の獲得、利益の増加
  • クロスセルやアップセルによって注文数・売上が増加する

NetflixとAmazonは、適切なパーソナライズが行われている事例です。この2社の素晴らしい業績が、パーソナライズが適切に行われていることを証明しているでしょう。メニューを何度も操作したり、検索結果をブラウジングしたりしなくても、ユーザーが欲している情報や好きかもしれない情報を自動で表示するため、高いコンバージョン率や売上に繋がっています。高度にターゲティングされたAmazonのパーソナライズの技術は、ユーザーごとに543ドルの収益に結びついています。これはオンラインの小売業者の中で最高です。

どのような種類のサイトもパーソナライズの恩恵を受けられますが、中でもECサイトはパーソナライズが必要不可欠で、ユーザーもそれを期待しています。ある調査では、パーソナライズされたおすすめを閲覧した顧客の40%がより多くのものを購入し、クリック率も14%改善しました。ECサイトにとって、パーソナライズは不可欠なのです。

パーソナライズの概念に納得したら、パーソナライズを可能にするツールを導入してみましょう。しかし、まだ何から始めるべきかわからないのなら、読み進めてください。

パーソナライズの戦略を作成する

パーソナライズの質が低いと、企業やブランドに対するユーザー認知に悪い影響を与えかねません。高度にパーソナライズされた体験は、綿密な計画を丁寧に実施に、テストを行い、継続的に最適化した結果得られるものです。パーソナライズを考える手助けになるよう、ブレインストーミングとして以下の質問に答えてみてください。

ターゲットの消費者は誰か?

これは、Webサイトの体験をパーソナライズする際にターゲットとなる消費者についての問いです。デモグラフィックやセグメント、興味、性質、行動、カスタマージャーニーの段階、購入プロセスなどに応じて、彼らを分類しましょう。

なぜ体験をパーソナライズするのか?

マーケティングや営業、ビジネスの視点から達成しようとしているものは何ですか? それは、見込み顧客の獲得や売上の増加、ブランド好感度の向上、顧客の維持などでしょうか? 目標や指標を設定することで、パーソナライズにおいてある消費者にターゲットを絞る理由や、目標を達成するのに必要な努力を定めましょう。

何がパーソナライズされるのか?

ユーザーのプロフィールや態度に基づき、Webサイトのどの要素が変更されるのでしょうか? 変更は、トップページの見出しや画像、異なるレイアウトの提示のようにシンプルなものでしょう。たくさんのオプションについては、のちほど検証します。

Twitterはパーソナライズによって、ユーザーに関連する現在のトピックを提供しエンゲージメントをうながしています。

サイトのどこをパーソナライズするのか?

トップページは1つの選択肢です(ただ、Mozはトップページをパーソナライズしてはいけないと主張しています)。しかし、検索結果を通じてユーザーが下位のページに到着した場合はどうでしょうか? その場合、ほかのトラフィックの高いページやランディングポイント、典型的なユーザーフローや道すじのパターンなどを考慮しましょう。

体験をパーソナライズする方法

すべてのサイトに当てはまるパーソナライズの正しい方法や唯一の方法はありません。パーソナライズの方法は目的や目標によって左右されます。そのため、明確に定まった戦略に準ずることが、実装の流れを決める助けになるでしょう。ターゲティングの選択肢は、位置情報のような基本的なもの(現地時間や最寄りのオフィスを表示するなど)から、ユーザーの購入履歴を基に新製品の購入を勧めるものまで多岐にわたるでしょう。以下にパーソナライズの手がかりになる情報の種類をリストアップしました。

  • デモグラフィック(性別、年齢、配偶者の有無、教育など)
  • 会社や産業、規模(企業特性を表す変数
  • 地理情報(場所、季節、時間、言語)
  • デバイス
  • ブラウザ
  • 参照サイトやリンク(トラフィックソース)
  • 検索時間
  • サイト上での時間
  • ナビゲーションの利用
  • 訪問回数や訪問ごとの閲覧数
  • 閲覧したコンテンツの種類
  • ユーザーのセグメントやペルソナ
  • 購入行動、購入履歴

これらの態度や行動の内の1つ、あるいは複数を組み合わせることで、体験は改善されるでしょう。たとえば、次のような組み合わせが考えられます。

トラフィックソース+デバイス:訪問者の参照元と利用しているデバイスによって、どのようにコンテンツが変更されるでしょうか?

時間+場所:月曜の午前8時にAustinで、ゲストアカウントから検索している訪問者にどんなメッセージを提示すべきでしょうか? それに対して木曜の午後10時にBostonで検索している人にはどうすべきでしょうか?

過去+現在の行動:ある人が過去にサイトで何をしてきたのかと、現在何をしているのかによって、オファーはどのように異なるでしょうか? もしある顧客が訪問した5ページの内1つが価格設定のページであれば、その顧客には購入意思があります。ユーザーを説得して現在のセッションで購入してもらうためには、なにを表示できるでしょうか?

次に、Webサイトのどの要素を変更するのか考えましょう。コンテンツや画像、機能など、あらゆるものをパーソナライズすることができます。

  • あいさつ文や見出し
  • CTA(コールトゥアクション)
  • インフォメーションバーやコールアウト
  • プロモーションやオファー
  • ポップアップメッセージ
  • アンケートの質問
  • 問い合わせ先やアクセス情報
  • 口コミやケーススタディ
  • 動画や電子書籍などの、ダウンロード可能なコンテンツ
  • イベント
  • ロゴ
  • 画像
  • 完全に別のトップページやデザイン

Starbucksのアプリでは、滞在している店舗で流れている音楽が表示されます。

覚えておくべきこと

やり過ぎたり、憶測で行動したりしてはいけません。パーソナライズによって選択肢を絞り、その結果、訪問者にとって必要な重要情報も排除してしまうことは避けなければなりません。Amazonではユーザーの過去の行動に基いて製品を紹介していますが、ユーザーが新しい製品にアクセスすることを制限してはいません。ユーザーのニーズはその時々で異なります。そのため、憶測で行動してはいけないのです。

パーソナライズを修正できるようにする。ユーザーがパーソナライズの設定を上書きできるようにすべきです。データに基づいていても、間違いは起きるものです。そのため、ユーザーがパーソナライズを修正できるような選択肢を提供する必要があります。パーソナライズされた情報をユーザーに提供する一方で、その情報を修正できるようにしましょう。たとえば、ニュースサイトや天気サイトであれば、ユーザーの現在地に基づいてパーソナライズをする一方、ユーザー自身が設定を変えたり、ほかの場所を検索できたりするようにする必要があります。

モニタリングとテストをしましょう。定期的にパフォーマンスを調べ、パーソナライズの効果について見直しましょう。仮説が正しいか間違っているかを実証する十分なデータが得られるまで、異なる要素をパーソナライズして検証を続けて、結果への影響を調べましょう。

技術的に可能だからという理由だけで実行に移してはいけません。パーソナライズは、ユーザーにとって価値のあるものを作成するためにあります。マーケティングや営業チームのためにあるのではありません。パーソナライズの価値を決定して、最終的な目標と結びついた努力をしましょう。ビジネスやブランド、ユーザー体験に影響がある投資をするべきです。


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