多くのデザイナーがブランドを印象づけるためにWebサイトのロゴを中央や右に配置します。しかしこれは、ブランドの印象づけに繋がらないことが調査によりわかっています。
実際、左に配置したロゴがブランドの印象を弱めたり、ナビゲーションを難しくすることはありません。
右配置のロゴはブランドリコールが弱い
Nielsen Norman Groupの研究によると、ブランドロゴが右側よりも左側に置かれているときの方がユーザーはブランドをよく覚えているそうです。ロゴが左側にある場合、ブランドリコール(編注:ブランドを思い出すこと)の平均は89%になっています。
ユーザーがWebサイトを見るとき、彼らの視線は左を向いています。そのため右側に配置されたロゴにはユーザーはあまり視線を向けず、ブランドリコールが弱くなります。左側に配置されたロゴには多くの視線が集まり、ブランドリコールに繋がります。
中央配置のロゴはサイトトップへのナビゲージョンを邪魔する
Nielsen Norman Groupは中央配置のロゴについても研究を行いました。調査によると、ロゴが左と中央のどちらに配置されるかでブランドリコールに違いはありませんでした。位置よりもロゴのコントラストや読みやすさのようなデザイン的な違いがブランドリコールに影響していました。
それだけではなく、中央配置のロゴはユーザーがサイトトップへ遷移するのを邪魔していました。左配置のロゴを比べると、中央配置のほうがユーザーが1回のクリックでサイトトップへ戻ることを失敗する割合が「6倍近く高い」ことがわかりました。
ユーザーは、左端の要素をクリックしてサイトトップにアクセスする習慣があります。クリックするものが、ロゴではなくリンクであっても同じです。ロゴを中央に配置することで起こるナビゲーションエラーは、ユーザーがサイトトップに戻る方法を発見するまで、いくつもの間違ったページを閲覧することに繋がります。
ナビゲーションエラーを防ぐ方法のひとつは「HOME」リンクをナビゲーションバーの左端に置くことです。左端に置くと、ユーザーははじめからサイトトップへ遷移する正しいリンクをみつけます。
ロゴは左側の配置がベスト
もしブランドリコールやサイトトップへのナビゲーションが重要であれば、ロゴは左に置いてください。ユーザーはページの左上から右下にかけて読み進めます。そのためユーザーは中央や右に置かれたロゴよりも左に置かれたロゴにより注目するでしょう。
ロゴがユーザーの視界に入る機会が多いほど、ブランドはより思い出されやすくなります。またロゴを左側に配置することは、ユーザーが一番左の要素をクリックしてサイトトップにアクセスする習慣を強めます。
文化による違い
世界中の多くの言語は左から右に向かって書かれています。しかし、いくつかの言語は右から左に向かって書かれています。そのような言語圏(ヘブライ語、アラビア語、ペルシャ語、ウルドゥー語など)では、ブランドリコールを高めたり、サイトトップへのナビゲーションをわかりやすくするためにロゴを右側に配置する方がより良いかもしれません。
言語圏による効果的なロゴの配置場所の違いに関する調査は、いまはまだ行われていませんが将来的には行うべきでしょう。ユーザーの視線が注がれる側にロゴを配置するという良い学びになります。
ロゴは左側に配置しよう
ロゴはユーザーにとって、企業の第一印象に繋がる重要なものです。もしそれが印象的でなければ、ユーザーがサイトを再び訪れる可能性はとても低くなります。ヘッダー上のロゴの配置はブランドリコールを決定づける重要な役割を占めています。
ユーザーにとって、左側に配置したロゴこそがもっとも見慣れたものなのです。別の場所にロゴを配置することで、ブランドがより印象に残ることはないでしょう。
ロゴを配置するときは、ユーザーの注意やナビゲーションの習慣に従うべきです。奇をてらったことをせず、左側にロゴを配置してください。それがブランドを目立たせる一番良い方法です。