クライアントにサードパーティへの依頼を勧めるべき3つの状況

Eric Karkovack

Eric Karkovack氏は20年以上の経験を持つWebデザイナーです。”Your Guide to Becoming a Freelance Web Designer“の著者。

この記事はSpeckyboy Design Magazineからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

When to Point Web Design Clients Towards Third-Party Services

フリーランスのWebデザイナーは、クライアントからさまざまなサービスを求められます。たとえばデザインやカスタム開発、モバイルアプリ、SEO、ソーシャルメディア管理など、思い浮かぶありとあらゆるものです。依頼される仕事をすべてこなそうとするデザイナーもいますが、すべてを習得することは難しいでしょう。それぞれの仕事内容は奥深く、細分化され、専門分野に分かれています。

デザイナーは、クライアントが求めているコードのいくつかを書けるかもしれません。しかしデザイナーが専門以外の仕事をしてコードを書くよりも、クライアントにより効率的なサービスを提供するサードパーティ(第三者)があるかもしれません。

ではどういう場合に、クライアントにサードパーティへの依頼を勧めるべきでしょうか。適切なシチュエーションをいくつか見てみましょう。

普段提供していないサービスを依頼された

サードパーティをクライアントに勧めるわかりやすいケースは、デザイナーが普段提供していない業務を求められたときでしょう。たとえばSEOはデザイナーの仕事に関連しているため、サービスとして提供できるとよく誤解されます。しかし受注しないと判断した仕事であれば、サードパーティへの依頼を勧めても問題ないでしょう。

とはいえ顧客にサードパーティへの依頼を勧めることは、言うほど簡単ではありません。得意先に「ノー」というのは難しく、専門外ではあっても今回だけは例外的に請け負っても大丈夫だろうと考えたくなります。しかしこの種の要求をサードパーティにゆだねるべき理由があります。

1つ目は、1度例外を認めてしまうと、次にまた他のクライアントが例外的に扱ったサービスを依頼するきっかけを与えてしまうためです。特に最初に例外を認めたクライアントが、その仕事内容について知人に広めてしまうと、例外的に扱ったサービスの依頼が続いてしまいます。すでにサービスを提供しているので、あれこれやってくれるものだと新しく依頼してくるクライアントも期待してしまうのです。

2つ目は、デザイナーは特定のサービスのために長期間拘束されることを望まないためです。クライアントを特別扱いしたときは、その仕事を正式に受けたのだと心得てください。抱えた責任から逃れるのはそんなに簡単ではありません。

心構えができていない限り、例外的なサービスは提供しないのが良いでしょう。

高度な機能を必要とするサービスである

クライアントが仕事内容として、デザイナーの能力よりも高度な機能を求めるときがあります。これに対処し、サポートも含めた完全なソリューションを提供するのに適したサービスは、サードパーティの中に見つかるかもしれません。

代表的な例はメーリングリストです。多くのプロバイダのホスティングサービスには基本的なメーリングリストが含まれていますし、Webサイトから直接メーリングリストに送れるWordPressのプラグインもあります。しかし、元ある機能ですべてをまかなえるとは限りません。

より良い仕事をする専用サービスはいくつもあります。またそれらは製品のサポートもしてくれます。つまり、なにか不具合が生じてもデザイナーがただちに窮地におちいることはありません。サードパーティの専用サービスを利用することで、見逃すには惜しい多くの利便性が得られます。

メーリングリストだけではありません。ネット予約や、ユーザーの個人情報の収集、サーバー依存度の高いストリーミングメディアなどの機能についても同様です。このようなサービスは、スムーズな動作と安全性を維持するためにインフラレベルの設備投資をしているのです。サードパーティの専用サービスに依頼することは関係者全員にとってプラスになります。

クライアントはサードパーティの専門業者やサービスを使う必要性があるのか、疑問を持つかもしれません。しかしサードパーティに任せるメリットと、長い目でみてコスト削減に繋がることを説明すれば、おそらく依頼に賛成してくれるでしょう。

作業に時間がかかり過ぎる

業務の中にはSEOなど、極めて膨大なものがあります。これらの業務は一定レベルの戦略と保守を必要とするため、その分野に特化したエキスパートが存在するのです。

チームの一員として働いているのでなければ、このタイプのサービス業務に没頭する時間はないでしょう。確かに収入を得られる一方で、手を広げ過ぎて最善の結果をクライアントに提供できなくなる危険があります。

本業と関係のない仕事に時間を裂きすぎると、デザイナー本来の強みを弱めてしまう恐れがあります。自分は得意なことに集中し、それ以外はその分野に精通したサードパーティに任せるのが良いでしょう。デザイナーがデザインのエキスパートであるように、彼らはその分野のエキスパートなのですから。

ひとりで全部やる必要はない

Webデザインの黎明期、フリーランスがクライアントの求めるすべてのサービスを提供することは容認されていました。しかし今ではサービスがずっと複雑になり、様々な専門分野に細かく分かれています。

すべての分野で最新の技術情報についていくには1日の時間は限られています。そのぶん専門分野に特化し、新しいものを生み出す可能性は広がります。

デザイナーがメールマーケティングに精通している必要はありませんし、メールマーケターがSEOのすべてを知っている必要はありません。他のサービスの場合も同様です。もちろん基本的な知識は役に立ちますが、すべての分野のエキスパートでないからといって悩む必要はないのです。

専門外のサービスをクライアントが求めてきたら、関係者全員にとってなにがベストかを率直に話し合ってください。自分にできることや、やりたいことであればやってみましょう。そうでなければ、クライアントが必要とするサービスをきっちり提供できるサードパーティを勧めるのは恥ずかしいことではありません。


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