フリーランスと代理店が入札を競うのは公平と言えるか?

Eric Karkovack

Ericは、20年以上のキャリアを持つWebデザイナーです。電子書籍『Your Guide to Becoming a Freelance Web Designer』の著者でもあります。

この記事はSpeckyboy Design Magazineからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Freelancers vs. Design Agencies: A Fair Fight?

フリーランスとして働いていると、いくつかの競争相手とプロジェクトの入札を争う機会が必ずあります。その際には、ほかのフリーランスデザイナーだけでなく、社員が大勢いる代理店とも競わなければなりません。

その結果、クライアントには興味深い選択肢が差し出されます。クライアントは組織主体のアプローチと個人との取引の、どちらを選ぶべきでしょうか? 結論を出すのは決して簡単ではありません。どちらの選択にも特有の長所と短所があります。

しかしフリーランスにとっては、大きな企業と競争しなければならないとしたら、非常に不利な戦いのように感じられるでしょう。たとえ従業員が2人の代理店でさえも、個人のフリーランスと比べれば、少なくともマンパワーでは2倍の規模です。

それでは、旧約聖書のダビデとゴリアテのような、個人が強大な敵を倒さなければならない状況は、公平な戦いと言えるのでしょうか? フリーランスと代理店の特徴を比べて、どちらが有利か明らかにしてみましょう。

正直に言うと、私は長年のフリーランスデザイナーとしてこの記事を書いています。そのためこの記事にも、間違いなく私の人生経験が反映されています。ただ同時に、私は公正な立場で比較したいとも思っています。もし記事に不公平があれば、コメントで教えてください。 さて、私の立場を述べたところで、さっそく比較を始めましょう。

第1ラウンド:サービスの幅

どのような規模のものであれ、ビジネスでは提供するサービスについての意思決定が必要になります。フリーランスにとってその意思決定とは、自分がもっとも得意なことは何か、どのようなサービスを提供すれば自分の能力を発揮できるのかを判断することです。もしあるサービスが自分の得意分野ではなく、メイン事業の邪魔になるようであれば、そのサービスの提供は避けるべきでしょう。

代理店も同じような重要な意思決定をしますが、規模が大きいので、提供するサービスの取捨選択については余裕があります。代理店は一揃いすべての関連サービスまで広げて提供しようとします。必要なニーズにすべて対応してくれる相手を探している大規模なクライアントにとって、代理店はきわめて便利な存在だと受け取られるでしょう。

たとえば、フリーランスはSEOやメールマーケティングなどの「追加事項」を省こうとするかもしれませんが、代理店にはこれらのサービスを提供するリソースがあるかもしれません。適切な状況であれば、代理店は決定的なメリットを提供するでしょう。

フリーランスにとっての最善策は、自分より大きな競争相手に挑戦したり、勝とうとしたりすることではありません。そうではなく、自分の得意分野に集中し、専門知識を売るのです。あらゆるクライアントにとって価値ある人間になることはできません。あなたの個性を活かしてください。

代理店は提供できるサービスが広く深いという強みがあります。しかし、すべてのクライアントがすべてのサービスを必要とするわけではありません。ただ、豊富なリソースを提供できる1社と取引するほうが都合が良いというクライアントにとっては、選択の結果を尋ねるまでもないでしょう。

結果:代理店が有利

第2ラウンド:コスト

Webデザイン業界の価格構成はさまざまなため、同じプロジェクトでもコストの見積もりが大幅に異なることがあります。 高額な料金を請求するのは間違いなくフリーランスである一方で、同一条件で比較すれば、代理店がもっともコストがかかる選択肢になることが多いです。

その最大の理由の1つは、代理店は複数の人に対して給与を支払う必要があるからです。給与を払う必要のある人数が増えれば増えるほど、コストは高くなります。加えて、オフィススペースなどの利用にかかる間接費も考慮しなければなりません。もっとも、従業員がリモートで働く「分散型」の代理店では、それらの多くのコストを省けるでしょう。

また、提供するサービスの範囲によっても価格に差がつくことがあります。より多くのサービスを提供する代理店は、追加料金を全体のコストに上乗せする可能性もあります。クライアントが追加のサービスを要求すれば、サービス全体の価値に対する価格のことで議論にさえなるかもしれません。

個人のフリーランスは従業員の心配をする必要はありません。外部の請負業者に依頼するケースもありますが、たとえそうであっても、毎週、毎月、毎年安定した給与を支払う必要がないため、クライアントにかかる費用は低く収まるはずです。 また、自宅で作業をしている人であれば、さらにコストを大幅に節約できます。

結果:フリーランスが有利

第3ラウンド:サービス品質

品質は主観的なものであり、幅広い基準にまたがる可能性があります。ここでは、次の点から比較していきます。

  • 完成品の全体的な結果(たとえば、顧客のニーズとウォンツを満たしているか)
  • 製品を開発する中で代理店フリーランスと協力するクライアントの体験
  • 完成品が公開されたあとのアフターサービス

これらの要因は、プロジェクトに携わる人物に完全に依存します。フリーランスであっても代理店であっても、これらの要因を満たさないかもしれません。

しかしサービス全体の品質は、クライアントと構築する関係性に強く影響されると私は考えます。繰り返しますが、サービスの品質はどのようにもなり得ます。ただフリーランスの強みの1つは、クライアントがコンタクトを取る相手が1人しかいないということです。代理店にはクライアントとの関係で複数の担当がいることもあるので、そのぶんミスが起こる機会が多くなります。

もちろん逆にフリーランスの対応が悪く頑固だと、プロジェクトは失敗してしまうでしょう。少なくとも代理店は、自分の仕事を十分にこなせないチームメンバーの分をほかの人で補うことができるかもしれません。

結果:引き分け

まとめ

それでは、フリーランスが代理店と争って入札するのは、公平な競争だと言えるのでしょうか? 私の経験では、フリーランスはほとんどの状況で代理店と公平に戦うと思います。しかし、フリーランスに対してある種の烙印が存在することにも気づきました。単に大企業に属しておらず、巨大なオフィスビルで働いていないという理由だけで、デザイナーに能力がないと見なす人もいるのです。そのようなクライアントに対しては、なにもできることはありません。

しかしほとんどの場合、クライアントはニーズにもっとも合った会社を選ぶでしょう。どのようなサービスが提供され、どのくらいの費用がかかり、全体の目標にどのようにマッチするかを考えれば、フリーランスでも公平にシェアを勝ち取ることができます。

大企業と入札を競い合うと、新しいクライアントを獲得することができないかもしれないと恐れてしまうでしょう。しかし、私は次のようにアドバイスします。もしあなたがそのプロジェクトを望むなら、やってみてください。自分が予想以上のものを提供できることに気づくでしょう。


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