オンボーディングはWebサイトやアプリ、サービスなどをユーザーに「登録して利用してもらう」プロセスを表します。オンボーディングが成功すると新規ユーザーが定着する可能性が高まります。
この記事では、クリエイティブなモバイルオンボーディングのコンセプトを4つの視点から探っていきたいと思います。
1. ストーリーを語る
モバイルアプリは、初めて起動したときにスワイプ形式のチュートリアルかアプリの価値を伝えるスライドを表示することがよくあります。多くの場合、これらのオンボーディングはあまりユーザーにとって有益ではありません。最悪の場合、ユーザーの操作の邪魔になってしまうかもしれません。ユーザーはアプリを使い始めるために、この段階をできるだけ早くスワイプして終わらせようとするでしょう。
しかしそのような退屈なオンボーディングを、ユーザーにとって本当に価値のあるものに変えることができます。下に紹介する配達サービスのオンボーディングのコンセプトを見てみましょう。このオンボーディングは、ささやかなアニメーション効果を使ってサービスに関するストーリーを手短かに語る方法の優れた例です。箱が旅するストーリー仕立てにすることでユーザーが情報を理解しやすくなっています。
2. ユーザーの好みにカスタマイズする
何にでもフィットするフリーサイズのような体験はありません。ユーザーそれぞれで好みは異なります。現在、アプリ開発者のあいだでカスタマイズやパーソナライズが人気なのはそのためです。ユーザーに選択の自由があれば、彼らはアプリからより恩恵を得ることができるでしょう。
Reutersのオンボーディングでは、ユーザーは自分が読みたいニュースを選ぶことができます。このようなオンボーディングは自分向けにカスタマイズされたサービスだとユーザーが感じる体験を作り出します。
3. デバイスの機能を使ってデータ入力を簡単にする
オンボーディングのときにユーザーデータの提供を求めるアプリは多くあります。通常ユーザーは求められた情報をフォームに入力しなければいけません。しかしモバイル画面での入力には重大な問題があります。モバイルでの文字入力はあまり楽しいものではありません。事実、小さなモバイル画面での入力は間違いやすい傾向があります。
モバイルデバイスの機能を使って入力の手続きを簡単にすることができます。たとえばデザイナーは、車のモデルを選択するプロセスをデバイスの機能を使って考えなおすことができます。下の図にあるCarLensのコンセプトでは、ユーザーがモバイルデバイスのカメラで撮影した写真を使い、機械学習アルゴリズムに適用して車種を特定しています。
4. ハードウェアの設定手順を視覚的に見せる
アプリの中には、オンボーディングにハードウェアの設定についての説明が含まれているものがあります。ハードウェアの設定は通常デジタル上ではなくオフラインで物理的におこなうので、説明の明瞭さが結果に直結します。説明がわかりにくいほど失敗する可能性は高くなってしまいます。
デザイナーは情報を視覚的に見せることで、ユーザーが設定時に感じる問題解決の手助けができます。下に紹介しているのはCobblestoneシステムのオンボーディングコンセプトです。Cobblestoneはスピーカー用のWi-Fiオーディオシステムです。Wi-Fi経由でスマートフォンからどのようなスピーカーでもコントロールしながら音楽が聴けます。スマートフォン用アプリを使うには、いくつかユーザーが設定する必要があります。ユーザーはLANケーブルをアダプターに接続しなければいけません。しかし、このアプリはユーザーがしなければならないことを視覚的に見せてくれるので、作業がとても簡単になっています。