ほとんどのWebサイトはユーザーを説得し行動を促すとき、キャッチコピーに頼っています。それにもかかわらず、多くの会社はキャッチコピーに投資したがりません。
あなたの会社が成功するために、Webサイトはどれほど重要でしょうか? ビジネスで利益を上げるために、どれほどWebサイトに頼っているでしょうか?
現在では、Webサイトはビジネスに必要不可欠です。私たちはWebサイトを頼りにして、ユーザーに商品を買ってもらったり、コンタクトを取ったりしています。しかしWebサイトのほとんどのキャッチコピーは、コピーライターが書いたものではありません。私たちは自分たちだけでキャッチコピーが書けると信じて、結局すべてを自作しています。しかしながら、仕事でプレスリリースやドキュメントを書いているからといって、優れたWebコピーが書けるとは限りません。
私たちはキャッチコピーやデザインが美しく見えるように、コンテンツマネジメントシステム(CMS)に資金を投入しています。しかし、キャッチコピーそのものにはお金を払おうとしません。この選択はまったくの間違いです。
優秀なコピーライターは、どうすれば魅力的で説得力のある文章を作ることができるかを理解しています。キャッチコピーを通して、ユーザーにただブランドの情報を伝えるだけでなく、ブランドの製品を「欲しい」と思わせることができるのです。
それでもコピーライターを雇うことに賛成できず、自らキャッチコピーを考案したいと考える人もいるでしょう。そこで素晴らしいWebコピーライターになるために習得しなくてはならない、7つのポイントをお伝えします。
人間味を失わない
私たちのほとんどは、座って文章を書くとロボットのようになります。人間味のあるキャッチコピーを書くのをやめて、一企業の社員として魂のないキャッチコピーを書き始めてしまうのです。機械的に書けばそれらしい専門的なキャッチコピーが作れるように思えますが、これでは単にユーザーとの距離が離れてしまうだけです。
ある大学のWebサイトのキャッチコピーを例に説明しましょう。
Essex大学では、学術研究を通して、学生がポテンシャルを最大限に引き出せるだけでなく、多様な居住施設や飲食施設、活発な学生自治会、スポーツやアートといった、学生のあらゆるニーズに応じた環境を提供しています。
1文で書かれていることを除いても、このキャッチコピーは人間味に欠けています。読み手の気持ちを考えずに、ただ学生について書いているだけです。客観的に自分たちの大学について言及しているだけで、読み手のことは何も書いていません。
軽く書き直すだけでも、次のような見違えるキャッチコピーになります。
学生生活とは、ただ勉強することだけではありません。居住施設や飲食施設から、活発な学生組合、素晴らしいスポーツ設備や魅力的なアートプログラムまで、私たちはあなたが求めているすべてをサポートします。
こちらのキャッチコピーであれば、人間同士の会話のように聞こえるでしょう。私が改善したかったのはその点だけです。プロのコピーライターなら、おそらくもっと素晴らしいものが書けるでしょう。
わかりやすさと賢さのバランス
優秀なコピーライターは、文章を書く中で紙一重のバランスを取ることができます。彼らは、キャッチコピーが魅力的でなければならないことを理解しています。キャッチコピーは賢く、ウィットに富み、注意を惹くものでなければいけません。しかし同時に意味がはっきりと伝わる必要もあります。
マーケターは、この点を勘違いしていることが多いです。彼らは放送によるマーケティングに慣れているので、注目を集めることがすべてだと考えてしまいます。巧みなキャッチコピーを作ろうとしすぎるあまり、注意を引く際に、読み手をからかってしまうのです。
以前にも述べたように、Webサイトは伝統的なマーケティングチャネルではありません。優れたWebコピーライターはそのことを知っています。言葉遊びばかりだと、ユーザーはうんざりしてしまいます。ユーザーは情報をなるべく早く手に入れたいと考えているからです。
優秀なコピーライターは、Web上では要点がまとまった流し読みしやすい文章でなければいけないことを知っています。人々が文章を細部まで読まないという、Webメディアの性質を理解しているのです。
引き際をわきまえている
優れたコピーライターが対応できる、アマチュアとの紙一重の違いはもう1つあります。それは、ユーザーに製品を買ってもらうのがいかに難しいかということです。私たちはキャッチコピーを書くとき、事実を誇張して書いてしまう傾向にあります。しかし誇張表現は、次のような事態を招きます。
- 文章が長くてくどくなる
- 必死さが透けて見えてしまう
- 繰り返し自分たちのことを述べてしまう
優秀なコピーライターは、いつユーザーへの説得をやめるべきか把握しています。説得力のある説明をしたのちに、すぐに口説くのをやめるのです。彼らはどのくらい詳細に情報を伝えれば十分なのかを理解しているため、決して必要以上に同じ内容を繰り返し説明しません。
コピーライターは必死にセルフプロモーションをするのではなく、ユーザーの疑問に答えることに集中すべきです。
ユーザーの疑問から始める
ほとんどの人は、自分がWebサイトで何を伝えたいのかに固執していますが、優秀なコピーライターは別のことを前提にしています。それは、ユーザーがなにを知りたいかということです。
Webサイトを訪れるとき、ユーザーはなにか疑問を持っています。しかし私たちは、自分たちの製品やサービスがどれほど素晴らしいか伝えることに時間を割いています。ユーザーの疑問に答えられない結果、彼らはほかのWebサイトを探して移動してしまうのです。
よくある質問(FAQ)ページでは、この問題がハッキリと現れています。ページの内容は、名前に見合っていないことがほとんどです。マーケティング部門がユーザーに聞いて欲しい質問にしか回答していません。たとえば、「なぜこれほど低価格で、素晴らしい製品を提供することができるのですか?」といったものです。
ユーザーが回答に不満をもつことを恐れて、できる限りユーザーの質問を避けようとする質問ページが多いです。配送料を隠したり、値段を記載しなかったり、小さな文字で書き読み飛ばされやすいようにしたりします。聞きたくないことから逃げたり、ユーザーの気を散らせたりしようとするのです。優秀なコピーライターであれば、ユーザーが受け入れられるようなやり方で、これらの問題に対処できるでしょう。
機能ではなくメリットに焦点をあてる
私たちは製品の機能について述べるのが大好きです。Drupal(ブログなどで使用されるCMS)について説明するWebデザイン代理店や、技術的仕様にフォーカスした電子機器販売店など、数えるときりがありません。そのような会社はほとんどすべての業種に存在しています。
優秀なコピーライターは、ほとんどの人が製品の機能を気にしていないことを知っています。ユーザーが意識しているのは、機能自体ではなくそれらの機能がもたらすメリットです。
ユーザーは、Drupalを使って開発されたものかどうかを気にしていません。そのサイトが速くてアップデートしやすいかどうかを意識しています。あるいはインターネットの接続速度ではなく、途切れることなくSkypeで友達と会話できるかを心配しているのです。
優秀なコピーライターはただメリットを羅列するだけではなく、説得力のあるストーリーの中にメリットを上手く織り交ぜています。
ストーリーを伝える
誰もが素敵なストーリーを好みます。優れたストーリーは私たちを魅了し、引き込みます。物語を聞くと、人間の脳はまるでそれが真実であるかのように反応することが、調査で明らかにされています。まるで自分がその物語を体験しているかのように反応するのです。
ストーリーは強力です。優秀なコピーライターは、ストーリーをどのように活かすべきかを理解しています。製品やサービスのポジティブなストーリーを共有するのです。なぜなら、ユーザーがそのストーリーを体験している自分を想像するためです。
優れたコピーライターは、単にストーリーを伝えるだけではありません。彼らはストーリーを使って、読み手の注意と興味を引き続けようとします。顧客や従業員、会社そのもののストーリーまでもを伝えようとするのです。言葉を駆使して、製品やサービスを利用したらどうなるのかを語ります。このような手法は、コピーライターにしかできません。
人間の心理を理解している
優れたコピーライターは、心理学も理解しています。彼らは希少性の原理や社会的証明、フレーミング効果といった技術を活用します。それらの技術を使うことで、望んだ結果にユーザーが近づくよう働きかけるのです。
優秀なコピーライターは、もっとも基礎的な人間の欲求を、ストーリーに織り交ぜる方法を知っています。自分の製品が1人かそれ以上の人間の欲求を満たすように構成するのです。その方法を身につけるためには、心理学の理論をしっかり把握しなければいけません。
キャッチコピーが書けるふりをしない
誤解しないでください、私もキャッチコピーを書けません。私は以前自分の運営するWebサイトのキャッチコピーを書きましたが、それがきっかけで自分をだますことをやめました。実際には違うにもかかわらず、まるで自分がコピーライティングの専門家であるかのようにふるまうのをやめたのです。キャッチコピーがビジネスで決定的に重要ならば、自分のコピーが「十分優れている」と取り繕ってはいけません。
キャッチコピーについては2つの選択肢が存在します。1つは時間とお金を投じて、コピーライティングのスキルを磨くことです。私たち全員が検討するべき、価値のある目標です。しかしそこに割く時間がないのなら、もう1つはコピーライターを雇うことを考えることでしょう。