デザイナーやプロダクトマネージャーがUXハッカソンに参加すべき理由

Riri Nagao

Ririはニューヨークに住むUXデザイナー、ライターです。人間中心主義の原則をデザインプロセスに取り入れ、複雑で整理されていないアイデアを魅力的な体験に変えるサポートをしています。

この記事はThe UX Boothからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Why attend a UX Hackathon? (2017/8/1)

UXドリブンなハッカソンの登場により、UX教育の課題の1つである「作りながら学ぶ」機会を参加者に提供できるようになりました。

UXハッカソンは近年米国などでぐんぐんと知名度を上げてきています。ここでは同じ志を持つ情熱的なデザイナーと協力しながら、UXのワークフローを最初から最後まで体験できます。

私自身も、UXハッカソンがきっかけでデザインキャリアを始めた大勢の内の1人です。2016年8月、私はUX Lab Meetupグループが主催するEmpathy Jamに参加しました。それまで私は、UXハッカソンでプロダクトを作るためには、コーディング経験が必要だと考えていました。しかし参加してみてから、自分のアイデアを伝える最終成果物がプロトタイプであっても十分に認められることを知ったのです。

Empathy Jamで独特だったのは、ユーザーリサーチでのミニワークショップでした。ミニワークショップの課題は、技術を駆使して人々が相互に繋がる新しい方法をデザインすることで、都市生活をより良いものにするというもので、非常に有益でした。このUXハッカソンを通して、私はUXデザインのキャリアを始めたいと確かに思えるようになったのです。

Empathy Jamの成果として、私は大きなプロジェクトを終え、新しい人脈を得ることができました。そしてこれがUXハッカソンの真骨頂なのです。共感によるリサーチやプロトタイプ作成など、どのUXの分野に焦点を当てたものかに関係なく、UXハッカソンは自分のスキルとネットワークを広げる助けになることでしょう。

この記事では、UXハッカソンとはなにか、なぜ価値があるのか​​、UXハッカソンの経験を最大限に活用するにはどうすればいいのかについて説明します。

UXハッカソンとは

UXハッカソンは、人々が集まり、有意義で短いプロジェクトにおいて、協力して問題解決をするデザインのコンペです

  • タイムライン - ミニハッカソンと呼ばれる3時間程度のものから、72時間に及ぶものまでありますが、ほとんどは丸1日のコンペです。大多数のUXハッカソンは対面で行われますが、オンライン上で実施されることもあります。
  • 主催者 - 大企業や情熱的なデザイナーだけでなく、誰もが世界中のMeetupグループを通じてハッカソンを開催することができます。ただ、そのようなMeetupグループはサンフランシスコやニューヨークのようなスタートアップが多い都市に集中しています。
  • コスト - UXハッカソンではスポンサーを募るため、多くのハッカソンは無料で参加できます。仮に有料であったとしても安価でしょう。UXハッカソンの参加枠はすぐ売り切れてしまうので、事前にイベントを探して、早めに登録することをおすすめします。
  • 参加者 - 参加者は80名から300名が一般的です。ほとんどの人は3〜5人のグループで作業することになりますが、単独で行動する人もいます。さまざまな技術やレベルの人々と協力して効率的に作業を進めるのが理想的です。
  • 課題 - 主催者は通常​​、1つのテーマを設定し、参加者に取り組み方のガイドラインを示します。参加者はその課題に対しては自由に解釈してよく、それぞれリサーチなどを用いて最終的なプロダクトを作っていきます。

UXハッカソンに参加すべき人

端的に言えば、問題解決が好きで、他人と協力しながら新しい課題に取り組むのが好きな人です。

一般に、UXハッカソンは以下のような人々に向けて行われます。

  • デザインリサーチャー
  • UXデザイナー、UIデザイナー、プロダクトデザイナー
  • プロダクトマネージャー
  • データアナリスト
  • コピーライター
  • Web開発者
  • HCI(human-computer interaction)プログラムの学生

UXハッカソンはプロセスを学びネットワークを広げ、ポートフォリオを作るのに非常に効果的なので、HCIの学生や若いデザイナーはぜひ参加するべきです。一方でベテランのデザイナーは、新しい課題に挑戦することで、自分の技術を磨くことができます。

また、起業家や技術系以外の専門家にとっては、リサーチやデータ分析、ソリューションの構築を通してアイデアを形にするという問題解決のプロセスを最初から最後まで経験できるメリットがあります。

なぜUXハッカソンには価値があるのか

昨年、私は5つのUXハッカソンに参加しました。それぞれのハッカソンの内容は異なりましたが、すべてから得るものがありました。というのも、私が参加した5つのハッカソンには、次の共通するものがあったからです。

有意義な課題

UXハッカソンの課題は、データの透明性から環境保全に至るまで幅広くあります。これらの課題を考えることで、デザイナーはより革新的になり、より広い視野から問題の意味合いを考えられるようになるでしょう。UXハッカソンの課題は、そのままポートフォリオの優れたケーススタディになるのです。

初心者にやさしい環境

UXハッカソンの主催者はデザイナーたちの成功を望んでいるため、ほとんどのハッカソンでは参加者のワークフローの指針となるように、アジェンダに入門的なスキル構築ワークショップを組み込んでいます。参加者は、短時間の間にユーザーインタビューを実施し、プロトタイピングのベストプラクティスについて議論することを繰り返します。その際には、メンターが常にアドバイスを提供してくれるでしょう。

現実に起こる問題のシミュレーション

現実世界におけるUXの目的とは、ユーザーの目標とビジネスの目標を同調させることです。UXハッカソンは現実の問題のシミュレーションを目的としているので、参加者は収益の創出とスケールというビジネスの目標を、自分のワークフローに組み込む経験を得ることができます。

UXコミュニティへの参加

私はニューヨークのUXコミュニティを通して、人々はオープンであり、すすんで助けようとしてくれることを学びました。私は、そこで出会った多くのデザイナーと今も連絡を取り合っており、私の成長の手助けをしてくれています。UXハッカソンは、デザイナーのキャリアを前進させてくれる素晴らしい人々の宝庫なのです。

また、UXハッカソンの最大の特徴の1つは、おいしい食べものが常に用意されており、参加者が1日を通して効率的に活動できるようにコーヒーも準備されていることです。

UXハッカソンを最大限に活用するには

UXデザインキャリアを目指す学生や若手のデザイナーにとって、UXハッカソンは自分の興味を確かめる最適な方法です。ベテランのデザイナーにとっては、UXハッカソンはリフレッシュの場であり、新しい人々と仕事をする機会を得ることができます。

UXハッカソンで得た経験を最大限に活用する方法は次のとおりです。

入念な準備

若手のデザイナーは、デザインプロセスにまだ慣れていないなら勉強しておくべきです。まずはハッカソンイベントのスケジュールを見てみましょう。UXハッカソンでデザインプロセスのどの部分が実施されるのか、概要を把握することができます。またネットには、デザイン思考のプロセスやUXワークフローについて説明した記事が無数にあります。

参加者は、必要なツールを持参する必要があります。ノートパソコンは必須ですが、メモ帳やノートも便利です。事前に役に立ちそうなアプリをダウンロードしておくと有利になるでしょう。加えて、機能をマッピングするためのポストイットと油性マーカー、ワイヤーフレームをスケッチするための白紙もあると有用です。

効率的な作業

UXハッカソンの時間は非常に短いため、チームは効率的に連携する必要があります。大声でブレインストーミングをするのではなく、デザインスプリントと同じように、個人で静かにアイデア出しやスケッチを行ってからチームで共有しましょう。また、チーム内で作業を分担し、チームメイトがそれぞれ異なる作業をするべきです。たとえば、チームの半分は最終的なプロトタイプに専念し、残りの半分はプレゼンテーション準備に集中するというように分割できるかもしれません。

チームメイトと初めて会う際には、メンバーで自分の求めているもの、強みと弱みについて率直に話し合うことをおすすめします。このような議論は、これからチームがどのように課題に取り組むか、プロセスを進めるのかといった1日の雰囲気を決めるのに非常に重要です。

プロセスをドキュメントにまとめる

イベントで達成したことを記録し、そのプロセスを文書にまとめるのは、UXハッカソンの経験を昇華する素晴らしい方法です。また、ドキュメントにまとめることで、デザイナーはスキルを磨き、デザインプロセスを洗練することができます。つまり、経験したことをより客観的に振り返り、次の機会に向けて改善点を見つけることができるのです。

ハッカソンの期間中、デザイナーは活動の様子を積極的に撮影しましょう。ポストイットやユーザーインタビュー、ジャーニーマップ、ワイヤフレームなどの写真は、あとでプロセスを振り返る際に非常に役立ちます。また、1日を通して議論されたアイデアを文書にまとめるために、チーム内で記録係を決めるのもいいかもしれません。UXハッカソンで完成したプロジェクトは、自身のポートフォリオに含めるピースとしても最適です。ハッカソンでの考え方や積極的に新しい課題に挑戦したことを採用担当者に伝えることもできるでしょう。

得られる経験に注目する

どのようなUXハッカソンに参加するときも、新しいことを学ぶ意欲を持ち、同じ志を持つ人々と出会うことにワクワクしましょう。これこそが、UXハッカソンで持ち帰ることができる根源的な成果です。イベントのあらゆる瞬間を最大限に活用する意識が大切です。

また、デザイナーは自分のアイデアに固執してはいけません。コンペという形式は、そもそもハッカソンに来た理由を曇らせてしまいます。ハッカソンの目的は、楽しみながら、新しい何かを学ぶことです。ほとんどのUXハッカソンにはコンペの要素があり、もっとも優れたデザインには名誉ある賞が与えられます。しかし、競争によるインセンティブが、ハッカソンに参加する主目的になってはいけません。参加者は事前に目標を設定し、それに集中する必要があります。

連絡を取り続ける

最後に、ほかの参加者と連絡を取り続けることが、ハッカソンで得た経験を活用する最善の方法の1つです。メールアドレスを交換し、リソースを共有することで、デザイナーのネットワークを広げ、仕事や成長の機会を増やすことができます。しかし、単に情報を交換するだけでは十分ではありません。LinkedInでお互いをフォローし、連絡を取り合い、リソースを共有することで、関係を密に保ちましょう。

UXハッカソンに参加する方法

では実際に、ハッカソンに参加してみましょう。

  • Hackathon.comをチェックしましょう。
  • UXハッカソンイベントがないか、Googleで検索してみましょう。「UX Hackathon」で良い検索結果がない場合、検索ワードを工夫してみましょう。「design jam」または「UX competition」などの検索ワードも良いかもしれません。
  • Meetupグループに参加しましょう。過去のイベントリストを確認し、以前にUXハッカソンを開催していたなら、そのMeetupグループは再度同じイベントを開催するでしょう。
  • ソーシャルメディアで企業やデザインコミュニティ(XX + UX、IxDA、UXPA、ProtoHackなど)をフォローしましょう。彼らは頻繁にソーシャルメディア上でイベントをアナスンスします。
  • Eventbriteなどのイベントプロモーションプラットフォームで、UXハッカソンを探してみましょう。
  • 知人のUXデザイナーに直接聞いてみましょう。直近のUXハッカソンの情報を知っているかもしれません。