プロトタイピングで陥りがちな6つの落とし穴

Nick Babich

Nickはロシアのセントピーターズバーグ出身のソフトウェアデベロッパー/ブロガーです。彼による他の記事はこちらをご参照ください。

この記事はNick Babichからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

6 Common Pitfalls When Prototyping (2018/7/2)

プロトタイピングやテストを使わないで、現代のプロダクトデザインを想像することは難しくなっています。次の技を駆使することで、想像力を補うことができます。

説明するな、見せろ

今日では多くのプロダクト開発チームが、営業やアイデアの検証にプロトタイプを使用しています。同時に、開発チームはプロトタイプの効果を減少させてしまうような罠によくはまっています。

以下がよくある6つの落とし穴です。

1. 目的のないプロトタイピング

「まず最初に何かを作りましょう。後からそれをどうするか考えます。」このアプローチで作業を行うと、プロダクト開発チームは多くの時間を価値のないことに費やしてしまう可能性があります。具体的な目的を考えずにプロトタイプを作成してしまうと、多くの場合時間を無駄にすることになります。

プロトタイプは目的をもって作成されるべきです。それは、特定のアイデアの説明や仮説を立証するためのものかもしれません。プロダクト開発チームがプロトタイプが作成される理由を知っていれば、目的に沿ったものを組み立てる助けになります。

プロトタイプを作成する前に、デザイナーは「このプロトタイプを作成し、なにを解決しようとしているのか?」を自身に問いかけるべきです。この問いに対する明確な答えを探すことで、プロトタイピングを目的に対して焦点の合ったものにし、潜在的な経費削減にもつながります。

2. 実用性のあるものを作ろうとする

プロダクト開発チームはプロトタイピングのゴールを、実用性のあるものを作成することだと考えています。そのためチームはプロトタイプが失敗に終わると、落胆してしまいます。このようなネガティブな考え方はデザインプロセス全体の妨げになってしまいます。生産性を上げるためには、デザイナーはプロトタイピングにおいて失敗は当たり前であると認識しなければいけません。

プロトタイプは仮説を検証するためのもので、すべての仮説が有効であるとは限らないものです。そのためプロトタイプ作りが、プロトタイピングのもっとも重要なアウトプットになってはいけないのです。もっとも大切なアウトプットは、新しい知見であるべきです。誤った仮説検証したプロトタイプを失敗ではなく、そこから学ぶものとして捉えましょう。成功と失敗どちらのプロトタイプからも、学びが得られるのです。

失敗して作り上げる。失敗を成功への踏み石にするのです。(Johnny Cash氏)

3. 初めに思いついた良いアイデアに固執する

プロダクト開発チームはしばしば、初期に選択した、問題解決につながると思われるアイデアに固執します。そうすることが作業時間短縮になると考えるためです。

その結果、初期のアイデアのプロトタイプ作りとブラッシュアップに多くの時間を費やします。しかしこれを検証する段階で、初期のユーザビリティテストの結果に失望するでしょう。デザイナーは固執していた初期のアイデアが十分ではなかったことに気がつくのです。

経験あるチームは、幅広い異なるアイデアをテストし、その後にもっとも良い結果を出したアイデアに注力することが不可欠だと知っています。より多くの時間をアイデア出しに使うことで、チームは問題箇所や解決策についてより多くのことを学べるでしょう。

4. 自分のプロトタイプに惚れこむ

プロトタイプの製作者は、よくプロトタイプづくりに時間をかけすぎてしまいます。この問題は「投資バイアス」として知られています。費やした時間が多いほど、それが自分にとって価値あるものに変わってしまうのです。自分にとって価値あるものが、他人にとっても価値があるとは限らないことに気づいてください。

デザイナーにとってプロトタイプが大切なものになりすぎると、その欠点を見落としてしまう可能性があります。たとえアイデアそのものに問題があると気づいても、デザイナーはチームメンバーからの批評も無視するようになってしまいます。

プロトタイプがあなたにとって大切なものになってはいけません

プロトタイプ作りに時間をかけすぎると、フィードバックを得るという本来の目的から逸脱してしまいます。プロトタイプがテストのために必要なレベルと比べて、過不足ないものになっているかを常に確かめましょう。

プロトタイプは芸術作品ではありません、答えを導きだすための道具です。

デザインに力を入れすぎてしまう傾向があるのなら、実行可能な最低限のプロトタイプを作ることに焦点を当て、タスク完了に必要な要素だけを加えてください。プロトタイプは廃棄可能なものだと考えると良いでしょう。各プロトタイプには特定の目的があり、その目的を達成できたときには、より良いプロトタイプに置き換える準備をしてください。

5. スケッチを軽視する

「なぜ強力なプロトタイピングツールを持っているのに、ペンと紙を使わなければならないのか?」

デザイナーはスケッチ作業を省略して、デジタルプロトタイプを作成するために、いきなりコンピューターに向かいます。デジタルプロトタイピングが時間の短縮になると考えているためです。しかし、実際にはスケッチの方がずっと速く作成できます。

ペーパースケッチ。 イメージ: Sockyung Hong氏

問題解決のためのアイデアをいくつか持っていて、どれがベストの方法かわからないときは、スケッチを描きましょう。すべてのパターンをスケッチし、それらを壁に並べてください。技術やビジネス的な観点からどれが可能で不可能かをチームで議論しましょう。

イメージ: Venturebeat

6. 誤った忠実度のプロトタイプを選んでしまう

忠実度という用語は、どれだけ詳細に本物を再現しているかを意味します。プロトタイプは低忠実度のペーパープロトタイプから、実際のプロダクトと同じような見た目と動作を持つ非常にリアルな高忠実度のデジタルファイルまであらゆるものを指します。最終的なデザインに近い見た目のプロトタイプに早急に取り掛かることは魅力的に感じるかもしれません。しかし、その誘惑は振り切るべきです。以下を念頭に置いておくと良いでしょう。

あなたの今作るべきプロトタイプの忠実度は、今頭の中にあるアイデアと同等であるべきです。

これはデザインプロセスのどこにいるかに基づいて、デザイナーはプロトタイプの忠実度を選択する必要があるという意味です。デザイナーがこれを破ると、多くの場合悪い結果につながります。たとえば、デザインプロセス初期のプロトタイプを高忠実度で作成すると、「投資バイアス」が生じ、そのプロトタイプに必要以上の愛着を持ってしまう可能性があります。

  • ペンと紙で作ったスケッチのような低忠実度のプロトタイプは、チームで多くのアイデアを試す必要のあるデザインの初期段階での使用に優れています。

低忠実度のペーパープロトタイプ。イメージ:UX Playground

  • デジタルプロトタイプのような高忠実度のプロトタイプは、実際のユーザーと共にアイデアを検証する必要がある場合に適しています。ユーザビリティテストに高忠実度のプロトタイプを使うと、より具体的なフィードバックが得られます。高忠実度のプロトタイプは、ステークホルダーへのプレゼンテーションにも役立ちます。彼らはプロトタイプを実際に使用し、提案されている内容をより良く理解することができます。

Adobe XDにより作成された高忠実度のプロトタイプ

最適な忠実度のプロトタイプを決めるためには、最終的な目標や、実際に費やせる時間を考慮する必要があります。また、プロジェクトの早い段階からスコープについて合意をしておき、各人の期待値もコントロールしましょう。

まとめ

どのデザインプロジェクトにおいても、プロトタイピングは極めて重要です。プロトタイピングは正しく使えば、実際にプロダクトを構築して検討する手間を省いてくれます。