効果的にユーザー視点を知る、プロダクトリアクションカードとは

Neil Turner

Neilは、イギリスのAstraZenecaで働くUXデザイナーです。現在さまざまなUXデザインのプロジェクトを率いています。

この記事はUX for the Massesからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Capturing user feedback with Microsoft’s product reaction cards

「iPhone」と聞いて頭に浮かぶ単語はなんですか? 「最先端」、あるいは「魅力的」? 「Facebook」や「Uber」ならどうでしょうか? それらをどのような単語で表現しますか? 

単語はコミュニケーションにおける通貨のようなものです。人、場所、もの、アイデアに対する日々の経験と感情を、私たちは単語によって表現します。何かを見つけたときに「役に立った」、「つまらない」、「楽しい」のように表現するかもしれません。単語は多くのことを語り、感情や経験に深い洞察を与えることができます。

ユーザーにプロダクトを説明する単語を選んでもらい、なぜその単語を選択したのか説明を求めることは、ユーザーから見える世界を知る効果的な方法です。貴重なユーザーフィードバックを引き出しつつ、定量的、定性的データの両方を収集できます。これは私がMicrosoftのプロダクトリアクションカードを使い、過去何度も活用してきたテクニックです。ぜひ試してみてください。方法は次のとおりです。

プロダクトリアクションカードの仕組み

Microsoftのプロダクトリアクションカードは、プロダクトを表現する118個の単語リストです。リストには、「有益」や「魅力的」のような肯定的な単語と、「イライラする」や「役に立たない」などの否定的な単語が含まれています(記事の終わりに全単語リストと短縮版リストがあるので参照してください)。使用方法はユーザーにプロダクトを表現する単語を選んでもらい、なぜその単語を選んだかを尋ねるだけです。私はよく、ユーザーが選択できる単語の数を5つ以下に制限します。ユーザーのキーワード選択を助け、調査を素早く行うことができるためです。しかしながら、ユーザーが選択しうる全ての単語を把握したい場合は、選択可能な単語の数を増やすか、もしくは選択できる単語数に制限をかけないほうが良いでしょう。

ユーザーと直接対面する場合は、このプロダクトリアクションカード(PDF)のような選択リスト(たとえばチェックマークやサークル付のもの)をプリントアウトして使用しても良いでしょう。印刷するたびにリストをランダム化できるUserFocus Excelシートもあります。このシートは単語が表示される順序による選択の偏りを排除するために効果的です。

リモートでユーザーインタビューを実施する場合、またはアンケート調査を使って情報を収集する場合は、SurveyGizmoSurveyMonkeyGoogle Formsなどのツールがおすすめです。

SurveyGizmoなどの調査ツールを使用して、ユーザーがプロダクトをどのように感じているかを調べることができます

SurveyGizmoには、選択した単語を右側のリストにドラッグアンドドロップしたり、リストの順番を並び替えられる機能があります。このプロダクトリアクションカード調査の例を見てください。

どのタイミングで使うか

プロダクトリアクションカードは新プロダクトと既存プロダクトの両方に対して使用できます。このカードを使った調査はユーザビリティテストのあと、ユーザーインタビューの最中に特に有益であることを発見しました。プロダクトに対するユーザーの体験や気持ちを捉え、目に見えない改善点を特定するために最適です。たとえば、多くの人がプロダクトを「紛らわしい」または「理解しにくい」と表現した場合、そのプロダクトとインターフェイスをもっとシンプルにすることが重要だとわかります。

プロダクトリアクションカードの質問は調査に含めることができますが、私はいつも可能な限りインタビューやユーザビリティテストの中で質問します。ユーザーが選んだ単語自体ももちろん興味深いですが、真に見るべきものはその単語を選んだ理由です。なぜそのプロダクトは「押し付けがましい」または「魅力的」と表現されているのか? このような理由を調査で得るのは難しいでしょう。

どの単語を選択肢にいれるか

私は以前、選択肢のパラドックスについての記事を書いたことがあります。選択肢が多すぎるというトラウマに関する記事です。Microsoftのプロダクトリアクションカードは、プロダクトを表現する単語を極力カットし、118個に絞ることでこのトラウマを解消しました。しかし、ユーザーの一部はリストの全単語を細かくチェックすることを想定するならば、118個ではまだかなり多いかもしれません(ここにまたトラウマが存在します)。より短いリストが必要な場合に備え、私は64個まで単語をカットしたリストを作成しました(この縮小版リストについては記事の最後を参照してください)。似た意味の単語を極力削除しつつも、全単語リストと同等の範囲をカバーするようにしました。もちろん、リスト内の単語を追加、削除、変更することは自由です。ただし、ユーザーは予測不可能な存在であるため、削除や変更する単語には充分注意してください。解析ツールは必ずしも「楽しいもの」とは言えませんが、少しでも多くのユーザーに楽しんでもらえるようにしましょう!

フィードバック結果の分析とディスプレイ方法

選ばれた単語それ自体よりも、なぜその単語が選ばれたかが重要です。 この「なぜ」に焦点を当て、選ばれた単語に共通するテーマや単語のグループを特定しましょう。 たとえば、よく「楽しい」や「面白い」などの似た意味の単語が一緒に選ばれることがあります。Word cloudsは、選択された単語をディスプレイするのに最適な方法です。ユーザーによって選択される頻度が高い単語ほど、その単語の表示サイズも大きくなります。

Word cloudsは、選択された単語をディスプレイするのに非常に効果的です

プロダクトリアクションカードの回答結果をディスプレイするもう1つの良い方法は、選択された単語と頻度を示すシンプルなグラフを作成することです。グラフ上のネガティブな単語部分をハイライトするとそのプロダクトの弱みや改善領域がひと目で分かります。

グラフチャートは、そのプロダクトを言い表す単語をディスプレイするのに良い方法です

より良いプロダクトを作るためにもプロダクトリアクションカードを活用してみてください。きっとユーザーが選んだ単語に驚くことでしょう。

補足

Microsoftのツールは、個人用、学術用、商用目的で使用可能です。ただし、著作権で保護されているため、印刷物には以下のコピーライトを記載してください。「Developed by and © 2002 Microsoft Corporation. All rights reserved.」

ダウンロード

プロダクトリアクションカード 全単語リスト(118単語)

わかりやすい 魅力的 整理された
進歩的 面白い 威圧的
鬱陶しい 熱心な 圧倒的
好ましい 本質的 押し付けがましい
親しみやすい 優れた 個人的
見た目が良い 興奮する 低品質
つまらない よくある 力強い
ビジネスライク なじみのある ありきたりな
忙しい  早い プロフェッショナル
落ち着いた 柔軟 関連性
清潔な 壊れやすい 頼れる
明白な 新鮮な 反応が良い
協力的 フレンドリー 厳格な
心地よい イライラする 満足のいく
互換性 楽しい 安全な
説得力 邪魔な シンプル
複雑な 使いづらい おそい
わかりやすい 役に立つ 洗練された
自信ある 高品質  安定した
混乱する 匿名性  不毛な
繋がりやすい 印象的  刺激的
一貫性のある わかりにくい 明快な
操作しやすい 一貫性のない ストレス
便利な 効果の無い 時間のかかる
クリエイティブ 革新的 時間の節約
カスタマイズ可能 鼓舞させる 専門的すぎる
最先端 統合的 頼れる
時代遅れ 威嚇的 近寄りがたい
望ましい 直感的 見た目が悪い
難しい 感じの良い 扱いづらい
繋がりにくい 見当違い 型破りな
破壊的な 手のかからない 理解できる
気が散る 有意義 望ましくない
退屈な やる気の出る 予想外の
使いやすい 安全でない 野暮ったい
効果的 価値のない 使える
効率的 奇抜な 有益な
楽な 古い 価値ある
力づける 楽観的   
エネルギッシュ 一般的  

プロダクトリアクションカード 縮小版リスト(64単語)

進歩的 魅力的 個人的
鬱陶しい 面白い 低品質
親しみやすい 本質的 力強い
見た目が良い 優れた ありきたりな
忙しい 興奮する プロフェッショナル
清潔な なじみのある 関連性
協力的 早い 頼れる
心地よい 柔軟 厳格
複雑な フレンドリー 満足いく
わかりやすい 役に立つ シンプル
混乱する 高品質 明快な
一貫性のある 匿名性 ストレス
便利な 一貫性のない 時間のかかる
クリエイティブ 効果のない 信頼できる
最先端 革新的 見た目が悪い
時代遅れ 鼓舞させる 型破りな
望ましい 威嚇的 望ましくない
難しい 感じの良い 予想外の
退屈な 見当違い 野暮ったい
使いやすい 整理された 有益な
効果的 圧倒的   
効率的 押し付けがましい

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