マネジメントは不可避? デザイナーのキャリアの描き方とは

三瓶 亮

1983年東京生まれアメリカ育ち。ガラケー時代からモバイルコンテンツの企画・デザインなどに従事。現在はUX MILK編集長/プロデューサーとしてメディア、イベント、関連サービスなどの企画やデザインをしている。パンクロックとゲームが好き。Facebookはこちら

「マネージャーになりたくない」
「できるなら現場でデザインを続けたい」

デザイナーの方と話すと、こういった声を聞くことがよくあります。しかし、現実問題として多くの人がマネジメントを求められる場面に直面します。

今回は「デザイナーがマネージャーになることは避けられないのか」というテーマで、クリーク・アンド・リバー社の木村さんに話を聞いてきました。

登場人物
株式会社クリーク・アンド・リバー社 木村 香利 氏

マネジメントは避けられない

三瓶:まず最近のマネージャー事情のようなことを聞きたいと思います。マネージャーや管理職に求められることの最近の変化はありますか?

木村:社会全体の流れとして大きく2つあると思います。まず、以前よりも早い段階でマネジメントを求められるようになってきている点。次に、人手不足ということもあり、マネジメントだけでなく実際に作業もできるプレイングマネージャーが求められるという点です。

三瓶:若い人でもマネジメントが求められつつありますよね。マネージャーというと30歳前後のイメージがあるのですが、実際のところどうですか?

木村:20代後半でマネジメントやってる人はちらほらいますね。それこそ、早い人だと新卒で入社して2年目あたりでリーダー職に就いてる方もいます。マネージャーの若年化は確実に起こっています。

三瓶:一方で、周りのデザイナーに話を聞くと「できたらマネージャーになりたくない」という人が多い印象があります。

木村:デザイナー職に限らず、マネージャーになりたくない人は増えていると思います。事業に対する責任やプレッシャー、メンバーのマネジメントなどに対するマイナスのイメージが大きいのが理由ですね。人の管理と数字の管理をするという印象を持っている人が多いのかもしれません。

三瓶:マネージャーになりたくないからスペシャリストになるという人もいますよね。そういった「スペシャリストかマネージャーか」みたいな議論はよくあると思うのですが、スペシャリストになるというキャリアは実際どうですか?

木村:尖ったスキルがある方であれば良いかもしれないですが、基本的にはスペシャリストはおすすめしにくいですね。ロールモデルとなる人も少ないですし、スキルだけでなく、運やタイミング、コネクションなどさまざまな要素が必要です。

また、多くの企業はそういった尖ったスキルを持つ人をあまり求めていないという実情もあります。

三瓶:基本的にはスペシャリストのキャリアパスは難しいということですよね。

木村:そうですね。加えて年収アップや組織でのキャリアアップを目指すのであれば、やはりマネジメント能力が必要になりますね。

三瓶:マネジメントラインに乗ったほうが年収は上がっていくイメージですか?

木村:そう考えて良いと思います。スペシャリストであっても組織でキャリアアップするには、人をマネジメントすることは避けて通れないと思います。

プロダクトマネージャーというキャリア

三瓶:マネジメントは不可避ということでしたが、やっぱり現場に関わっていたいというデザイナーの方は多いですよね。

木村:そうですね。純粋にクリエイティブが好きという理由もありますが、トレンドや技術の流れが早いので現場から離れるとキャッチアップができなくなるという理由もあると思います。現場から離れるとデザインの勘が鈍るので現場にいたいという人は多いです。

三瓶:「マネージャーでもモノを作っていないとリスペクトが得られない」みたいな話は聞いたことありますね。知り合いのデザイナーには、仕事がマネジメントだけになってしまったので、副業でUIデザインをしてる人もいますね。実際、マネージャーになると現場からは多少遠ざかることになりますよね?

木村:プロダクトとの関わり方は変わりますね。そもそも、マネージャーと言っても求められることが違います。デザイナーに求められるマネジメント能力は、プロダクトマネジメントピープルマネジメントの2つに大きく分けられます。プロダクトマネジメントに求められるのは、企画や戦略、設計などの上流工程から現場までの全体をカバーできること。ピープルマネジメントには、社内外の人とコミュニケーションをし、リーダーシップを発揮することが求められています。

三瓶:プロダクトと人間関係のマネジメントですね。どちらのマネジメントのほうが求められているのですか?

木村:マネージャーになる上では、どちらのマネジメントも必要ですね。より現場に近いことを希望する方には、プロダクトの上流から関わるプロダクトマネージャーのようなポジションを提案することもあります。

世の中に新しいサービスが増えているので、それに比例してプロダクト全体のマネジメントをして欲しいというニーズも増えています。そのため、プロダクトマネジメントの需要は今後さらに高まっていくでしょう。

マネジメントという言葉にネガティブな人でも、プロダクトマネジメントのような仕事もあると説明すると、「やってみようかな」となることもあります。

マネージャーという肩書きが重要ではない

三瓶:マネジメントに苦手意識を持っている人も多いと思うのですが、そういった人にはどのようにアドバイスしていますか?

木村:「そんなに身構える必要はないです」とアドバイスしています。デザイナーであれば案件を進めるときに、スケジュール管理や工数管理などをしていると思うのですが、それらもすべてマネジメントと言えます。つまり、いままでやってきたことを外にも向けてやるだけです。

三瓶:確かにそうですね。もちろん、セルフマネジメントとチームに対するマネジメントでは違いはあると思うのですが、そこまで身構える必要はないってことですよね。

木村:そうです。あと、肩書きはマネージャーではないけれど、マネジメントをしている方もいます。「マネジメント経験ありますか?」と聞くと、「マネージャーだったことはありません」と言う人がいるのですが、詳しく話を聞くとチームメンバーをまとめていたりして実質マネージャーのような役割をしているケースがよくあります。

三瓶:確かに肩書きで判断してしまうことはありそうです。自分では気づけない点も多いのかもしれないですね。

木村:そうですね。ポートフォリオを見ればデザイナーとしてのスキルはわかるのですが、マネジメント能力はうまく伝えることが難しいものだと思います。そのため、その方の経験やスキルをうまく聞き出して、自分でも気づかない武器を見つけてあげるのが私たちエージェントの役割かなと思います。

三瓶:そうかもしれないですね。あとはマネジメントの経験も資質もあるけれど、自信がないからマネージャーにならないという人もいますね。

木村:自分の技術に自信がないので、まだマネージャーにはなれませんって人はいますね。よく言われることですが、一流プレイヤーだった人が必ず一流監督になれるわけではないですし、選手時代はパッとしなかった人が名監督になることもあります。これはデザイナーも同じで、現場のデザイナーとして優秀でないとマネージャーになれないということはありません。そもそも、マネージャーに求められる素養は、スペシャリストに求められるものとは違います。

三瓶:そこの可能性を示せたら良いですよね。実際、人をまとめるのがうまいとか、みんなに好かれるとかが大事だと思います。

木村:みんなに好かれるのは大事ですね。ただ、優しすぎるのもダメですね。マネージャーはさまざまな人との調整が必要な役職なので、相手の立場や気持ちを尊重しすぎると物事が進まなくなってしまい結果としてみんなが不幸になります。これは意識するだけでも変わるので、そういうタイプの方は意識して直したほうがいいと思います。

マネージャーの醍醐味とは

三瓶:今回のメッセージとしては、マネージャーになるのは避けられないという話ですが、マネージャーになる醍醐味や面白さみたいなものはありますか?

木村:x最前線で活躍している方は、スキルを磨いて新しいことにどんどん挑戦していきたいという方が多いのですが、マネージャーになることで、より規模の大きなことに挑戦できるようになります。さまざまな人を巻き込み、大きいものを作ることに挑戦するという意味では、マネジメントも面白いと思います

三瓶:サービス全体のデザインといったより規模が大きなデザインやデザイン組織の立ち上げといった経営面に関われるようになってきますよね。最近だとCDOやCXOといったマネージャーのさらに先のポジションも増えてきましたよね。

木村:最近、増えてきましたね。実際、企業からの相談もあります。急成長しているスタートアップが、クリエイティブの基準やデザイン組織を作るためにCDOやCXOを募集するといったことはよくあります。

三瓶:ただ、インターネット上にある求人ではあまりCDO、CXO案件って見かけない気がしますよね。

木村:そうかもしれないです。CDO、CXOなどの求人は非公開にしている企業が多い印象があります。そもそもCDO、CXOというポジション自体が少ないのもありますが、非公開求人が多いためインターネット上ではあまり見かけないかもしれません。

三瓶:そういった非公開求人こそ、エージェントさんに紹介していただかないとお目にかかれないということですね。

木村:そうですね。あとは、企業によってマネージャーに求められるものが違うので、その人が一番活躍できる環境を提案できます。片っ端から応募するのではなくエージェントに相談するほうが、結果的に応募する企業も絞れて、転職にかける労力も減らせるかなと思います。

三瓶:求人票を探しても「マネージャー」と書いてあるだけで、実際の業務内容もマネジメントする規模感も不透明なことが多いですよね。

木村:お会いして話をしてみないとわからない情報があるので、そういうことを踏まえて提案させていただけたらと思います。あとは、マネージャーにチャレンジできる環境であるならば、キャリアアップにも繋がるのでチャレンジしてみてほしいです。

三瓶:本日はありがとうございました。

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企画制作:UX MILK編集部