プロダクトをより良い方向へと導くための2つの問い

Neil Turner

Neilは、イギリスのAstraZenecaで働くUXデザイナーです。現在さまざまなUXデザインのプロジェクトを率いています。

この記事はUX for the Massesからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How 2 simple questions can help shape your product roadmap

最小限の機能を持つミュージックプレーヤーであるiPodシャッフルの生産中止をAppleが決定したニュースを読んで私は少し悲しくなりました。誰もがデジタルミュージックプレーヤーをスマートフォンの形で持ち運ぶ現代では、驚くべきニュースではありません。しかしiPodシャッフルは、ありえないほど素晴らしいデザインのプロダクトなので本当に残念だと思います。この製品の素晴らしさは驚くべきことに、出来ることではなくて、出来ないことにあるのです。説明させてください。

私は長年愛用してきた、ボロボロのiPodシャッフルを日常的に使っています。ジムでiPodシャッフルを使うのは、大切なiPhoneに傷をつけたくないからです。とても軽量で風雨にも耐えるので、ジョギング時にも使っています。また音楽データで貴重なiPhoneのメモリを埋めたくないので、外出時にもiPodシャッフルを使っています(microSDカードでiPhoneにメモリを追加するオプションをAppleが提供してくれるという願いはもう諦めました)。

長年連れ添った小さなiPodシャッフル

私はこの小さなiPodシャッフルを本当に気に入っています。信じられないほど軽くて持ち運び可能で、ヘッドフォンワイヤーを留めておくためにクリップで服に付けることができるので、予期しないタイミングで突然イヤホンが引っ張られるリスクは最小限になります。充電しなくても1週間連続で稼働し、気分転換に十分なだけの音楽を入れておくことができます。

こうしたことが出来るのは、iPodシャッフルにはあるものがないからなのです。それは、スマートフォンを含むほとんどすべての他のデジタル音楽プレーヤーにある液晶画面です。液晶画面が存在しないことでたしかに特定のトラック、プレイリストやアルバムの選択は非常に面倒になりますが、だからといってそれがiPodシャッフルの本当の特徴というわけではありません。

お気に入りの楽曲をプレイリストに詰め込み、小さな相棒に再生する楽曲の選択を任せてみましょう。液晶画面がないことによって、非常に安価で持ち運びしやすくバッテリーの持ち時間が長くなっただけではなく、いくつかの点でユーザー体験の向上にも繋がっています。信頼できる小さなiPodシャッフルに選曲させることによって、アクセス可能なすべての楽曲から選択しなくてはならないことに対するトラウマ、すなわち恐ろしい選択のパラドックスを避けることができるのです。

プロダクトやサービスが提供すべきではないものは何かを考えることは、ロードマップ作成に役立つ素晴らしい方法です。あまりに多くのプロダクトチームが「新しい要素にユーザーがどう反応するか」に憑りつかれていますが、より良い問いかけは「この機能がなかったらユーザーはどのように感じるか」ではないでしょうか。

デジタルミュージックプレーヤーをデザインするとき、おそらく液晶画面は機能リストの上位にくるでしょう。しかしiPodシャッフルのプロダクトチームは、液晶画面が必ずしも必要ではないことを正しく認識していました。実際、液晶画面を持たないことで、多くの点で人々が惹かれずにはいられない製品となったのです。

新しいアイデアや機能に「いいえ」と答える心構えをしていると、不快や対立を感じることがあります。しかし重要なのは、プロダクトやサービスの持つアイデアや機能が、ユーザーにとってもっとも重要なものに焦点が当たっているかどうかです。かつてジョブズがこう言ったように。

「ノー」ということで、はじめて本当に大切なことに集中できる ―スティーブ・ジョブズ

ある機能があったらユーザーはどう感じるかではなく、ある機能がなかったらユーザーはどう感じるかをチームに考えてもらうことが、それがどれだけ重要であるかを考えるための良い指標になることを私は知りました。そこにない機能についてユーザーが気にしなかったり、使わないのであればそれは必要ない機能ということです。シンプルな話です。

狩野モデル

狩野モデルは、ある機能があることに対して、あるいはもっと重要なことですが、ある機能がないことに対してユーザーがどのように反応するかをチームに考えてもらうための素晴らしい方法です。狩野モデルを用いて、有望と考えられるプロダクトの機能について2つの質問をします。

  • その機能があるとき、ユーザーはどのように感じますか? 
  • その機能がないとき、ユーザーはどのように感じますか? 

この問いにはリッカート尺度を用いて5段階で回答します。

  1. 好ましい
  2. 期待する
  3. どちらでもない
  4. 我慢できる
  5. 好ましくない

そしてその回答結果を次の表を使用してマッピングします。

この表によって、それぞれの機能は次のいずれかのカテゴリに分類されます。(狩野モデル分類名には多くの異なる呼び方が存在することに注意してください)。

  • 基本的な機能(Basic):すべてのユーザーが期待する機能だが、特別に興味をそそるものではないもの。フロントガラスワイパー、ステアリングホイールなど。
  • パフォーマンス機能(Performance):実装することで満足度を向上させる機能。ガソリン1ガロンあたりの走行距離、または収納スペースのサイズなど。
  • 感動する機能(Excitement):必ずしもなくてならないわけではないが、あったらとても嬉しい機能。サラウンド対応のカーオーディオや、キーレスエントリーなど。
  • どうでもよい機能(Indifferent):ユーザーに何の感情も引き起こさないもの。取り除くことも残すこともできます。
  • 有害な機能(Detrimental):あると不満を引き起こす機能。手動ハンドブレーキを好むようなドライバーに提供される自動ハンドブレーキなど。 

狩野モデルの適用

狩野モデルは、プロダクトチーム内のディスカッションツールとしても、また調査で直接ユーザーに質問するのにも使えます。上記の表を使用した結果の分類はあくまで目安にするのがよいですが、この両方の質問に対する答えは常に示唆に満ちています。

狩野モデルは、ユーザーからもっとも重要であると考えられる機能を見つけ出し、その機能がユーザー体験に与えるインパクトをチームに考えてもらうための素晴らしい方法です。プロダクトロードマップ作成に役立つこの素晴らしい方法についてもっと知りたい方のために、以下に狩野モデルに関するいくつかの記事をリストアップしています。

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