プロダクトクリエーターは「人々がプロダクトを実際にどのように使っているのか」といった本質的な問いに答えなくてはなりません。
そのためには、ユーザーの視点からユーザー体験全体の本質を理解する必要があります。 ユーザージャーニーマップはユーザー視点に光を当てる素晴らしい取り組みです。
ユーザージャーニーマップとは?
ユーザージャーニーマップは、個人とプロダクトやブランドとの関係性をさまざまなチャネルを跨いで時間軸に沿って俯瞰的に把握できるようにビジュアル化したものです。
ユーザージャーニーマップはさまざまな形やフォーマットで表されますが、一般的にはユーザーとプロダクトの間のすべてのタッチポイントのタイムラインが表示されます。ここにはユーザーがプロダクトとインタラクションするために必要なすべてのチャネルに関する情報が含まれています。
何故ユーザージャーニーマップはデザインの改善に役立つのか
ユーザージャーニーマップは、UXデザイナーにとって優れたツールです。
なぜなら、ユーザーがプロダクトとどのようにインタラクションするかを視覚化し、デザイナーがユーザーの視点からプロダクトを見ることができるためです。
これによりユーザーを第一に考えたプロダクトデザインが促進され、最終的にユーザー体験の向上につながります。
ユーザージャーニーマップは、プロダクトチームが仮説を検証し答えを見つけるのを助けます。 またユーザージャーニーマップは企業がKPIを追う場面でも役に立つため、戦略的に何が好ましいのかを考えるための拠り所ともなり得るでしょう。
ユーザージャーニーマップ制作の8ステップ
ユーザージャーニーマップを作成する前にビジネスやサービスの目的を確認することが重要です。 これによってビジネスとユーザーの目的を一致させるのに役立つでしょう。
1. スコープを選択する
ユーザージャーニーマップのスコープは、初めから終わりまでの体験を示すハイレベルなものから、料金の支払いなど特定のインタラクションに焦点を当てたより詳細なものまでさまざまです。
2. ユーザーのペルソナを作成する
あなたのユーザーは誰でしょうか?
ユーザージャーニーマップは常に一連のユーザージャーニーを体験するペルソナの体験に焦点を合わせます。
ペルソナは必ず、ターゲットとなるオーディエンスの情報に基づいて作成しなくてはなりません。 そのためペルソナ作りは、ユーザーリサーチから始める必要があります。ユーザーについての正しい情報を持っていれば、誤った仮定を立てるのを防ぐことができます。
ターゲットとなるオーディエンスに関して入手可能なすべての情報を収集し分析しましょう。
- 実際の、または潜在的なユーザーにインタビューする
- コンテキストを調査する
- ユーザー調査の結果を分析する
3. シナリオとユーザーの期待を定義する
シナリオでは、ジャーニーマップが適用される状況を説明します。シナリオが説明する状況は、現実のものである場合も単なる予想である場合もあります。
またペルソナがインタラクションに対してどのような期待をしているのかを定義することも重要です。
たとえば「5分以内にタクシーに乗車したいので、モバイルアプリでタクシーを呼ぶ」といったシナリオが挙げられます。
4. タッチポイントのリストを作成する
タッチポイントとは、ユーザーとプロダクトやビジネスとの間に起こるアクションやインタラクションを指します。すべての主要なタッチポイントと、各タッチポイントに関連するすべてのチャネルを認識しておくことは極めて重要です。
たとえば「ギフトを購入する」というタッチポイントの場合、チャネルは「オンライン購入」か「店舗購入」となります。
5. ユーザーの意向について考慮する
ユーザーにプロダクトとのインタラクションを引き起こさせるものはなんでしょうか? ユーザーがプロダクトを使用することを決めた時、ユーザーはどのような問題を解決しようとしているのでしょうか? これらはどのセグメントのユーザーかによって異なっています
たとえばECサイトでは、ただ閲覧しているだけのユーザーと、特定のタスクを実行したい(特定のプロダクトを購入したい)ユーザーとの間には大きな違いが見られます。
それぞれのユーザージャーニーのために、以下を理解することが大切です。
- 動機。 ユーザーがその行動を起こす理由
- チャネル。インタラクションを行う場所
- アクション。ユーザーの実際の行動とそのステップ
- 問題点。ユーザーが直面している課題は何か
ヒント:ユーザーがすべてのチャネルにおいて、一貫した体験を得ているかを確認しておくこと。
6. ジャーニーを描く
すべての情報をまとめて、インタラクションごとにジャーニーを書きます。各ステップはペルソナがサービスやプロダクト、または他のユーザーとの間で得るであろう体験について表しています。
ここではユーザージャーニーマップを作成するうえで役立ついくつかのツールを紹介しています。
ヒント:ストーリーボードというツールを使えば、ユーザーがプロダクトとどのようにインタラクションできるかを確認できます。 ストーリーボードを使用することにより、各ステップで何が起きているのかを視覚的に示すことができます。
7. インタラクションの各ステップでユーザーの感情を考える
ユーザーはプロダクトとインタラクションしている時に、何を感じているのでしょうか?
私たちのデザインするプロダクトは、ユーザーの感情を反映する必要があります。ユーザーの感情の状態について考え、そこで得た知識はプロダクトデザイナーとユーザーとを人間的なレベルでつなげる手助けをします。そのためユーザージャーニーマップには、感情についての項目を追加することが重要だと考えられています。感情的な「浮き沈み」を視覚化することによって、ユーザー体験全体のうちのどのエリアを改善するべきなのかを示すことができるようになります。
ヒント:ユーザーの感情をより理解するために共感マップを作成する
8. ユーザージャーニーの検証と改良
ユーザージャーニーマップは、絵空事ではなく現実味のあるストーリーに帰着しなくてはなりません。ユーザージャーニーがユーザー調査に基づいている場合でも、それを検証することが大切です。ユーザビリティに関するテストやアプリの分析結果を用いて、 作成したユーザージャーニーが実際のユーザーの利用体験と近くなっているかを確認しましょう。
ユーザー情報を定期的に収集し分析しましょう。 たとえばユーザーからのフィードバックは、ユーザージャーニーに対する理解をさらに深めるのに役立つでしょう。