キャンセルボタンに「キャンセル」と書いてはいけないとき

Anthony

AnthonyはUX Movementの創立者、ライター。ユーザーに優しいUXデザインのスキルを読者の方が上達できるよう、UX Movementのブログを始める。

この記事はUX Movementからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

When Cancel Buttons Should Not Say “Cancel”

キャンセルボタンには、さまざまなラベリングがされます。 「今はしない(Not now)」と「あとで(Maybe Later)」などは、その場しのぎのキャンセルボタンの例です。

しかし、ときにはキャンセルボタンが明確に「キャンセル」と書くことが難しかったり、その場しのぎすらもできないときがあります。このようなときにCTA(コールトゥアクション)が成り立たなくなります。

誤キャンセルの防止

たとえば、サブスクリプションサービスをキャンセルするための確認画面には「サブスクリプションのキャンセル」というラベルの付いた破壊的なCTAボタンがあります。このボタンをキャンセルボタンの横に配置するのは混乱しますし、この確認画面から離脱しようとキャンセルしようと思って誤ってサブスクリプションをキャンセルしてしまう恐れもあります。

「キャンセル」を「今はしない」や「あとで」などのその場しのぎなキャンセルラベルに置き換えることも混乱を招きます。これらのラベルは、ユーザーが今すぐはサブスクリプションをキャンセルしたくないが、のちには行うことを示しています。これは明確ではなく、安心して押せるボタンではありません。

左:紛らわしいキャンセルラベル|右:「プランを継続する」という明確なラベル

ユーザーが安心できるようにするには、キャンセルボタンにキャンセルとは全く反対の意味をもたせ、ユーザーがきちんと2つのボタンを区別できるようにします。この場合、キャンセルの反対はプランを継続することです。

「プランを継続する(Keep Plan)」というラベルは、押しても安全であることが明確に伝わります。ユーザーが初期登録をしたとき、彼らはサブスクリプションプランを選ばなければなりませんでしたし、その際に「プラン」という言葉には慣れ親しんでいるはずです。

ラベルは互いに競合してはいけない

キャンセルボタンとは反対のラベルについて考えるようとしたとき、真っ先に「取り消さない」と頭に浮かぶ方もいるかもしれません。しかし、このラベルは「キャンセル」という同じ単語を使用してもう片方と競合するため、適切な選択ではありません。

これは「サブスクリプションを継続する」も最良の選択ではない理由にもなります。両方のボタンラベルに同じ単語が使用されていると、ユーザーは片方のボタンをもう片方のボタンと間違える可能性があります。同じようなラベルはユーザーが注意深く読むことを要求しますが、彼らはいつもそうしません。

左:どちらのラベルもネガティブ|右:ラベルは反対になっている

それだけでなく、「キャンセルしない」が「キャンセル」の反対ではないということは、同じ否定的な意味を共有しているからです。両方のラベルに否定的な意味合いがあると、ユーザーはそれらを破壊的なアクションとして読み、混乱します。

この文脈における「キャンセル」という言葉は否定的な意味合いを持っています。両方のボタンでそれを見ると、ユーザーはどちらかのボタンを押すと何かを失う可能性があると感じます。

ユーザーに安心感を与えるのは、「プランを継続」など、キャンセルボタンに対してポジティブな表現をしたラベルです。こうすることにより、安全なアクションと破壊的なアクションのコントラストが表現できるので、使用するのに最適なラベルなのです。

Cancel Subscription Vs. Unsubscribe

【編注:英語特有のトピック】
「Subscription」「Subscribe」という単語は日本語では「サブスクリプション」「購読」と訳せますが、英語では必ずしも「購入する」という側面を含まないため、複数の文脈の解釈ができてしまいます。日本語においてはこれらを「サブスクリプション」と「登録」と使い分けることができるため、本パートはあまり英語固有の問題といえます。

「サブスクリプションをキャンセル(Cancel Subscription)」の代わりに「登録解除(Unsubscribe)」を使用する方が良いと思う人もいるかもしれませんが、これは間違いです。

「サブスクリプション(Subscription)」と「登録(Subscribe)」では、(同じ英単語がベースでも)文脈が異なるため、双方に互換性のあるラベルではありません。

「サブスクリプション(=サブスクリプション)」は主に購入されたコンテンツに対して使う言葉なので、同じSubscribeという単語でもWSJやYouTubeでは「登録」という文脈で使用されます(※編集部追記)

登録(Subscribe)は、ユーザーがフィードまたはチャンネルを通じてコン​​テンツを定期的に受け取る場合に適用されます。

たとえば、Wall Street JournalやYouTubeなどのオンラインマガジンやビデオチャンネルでは、ユーザーが自分のコンテンツを公開して定期的に配信しているため、他のユーザーにチャンネル登録などを依頼しています。

一方サブスクリプション(Subscription)は、企業などにライセンスされたコンテンツに対してユーザーがアクセスできるようにするサービスに適用されます。たとえば、SpotifyとNetflixは、ライセンスされた音楽、番組、映画に独占的にアクセスできるため、ユーザーに購読サービスを提供します。

サブスクリプションと登録の違いは英単語上では微妙に思えますが、微妙な点に注意を払うことでボタンが直感的にわかるようになります。

登録を解除するかどうかをユーザーにたずねる場合は、「登録したままにする(Stay Subscribed)」がこの文脈における正確なラベルです。ユーザーを混乱させないために、ラベルに「サブスクリプション(Subscription)」という言葉を「登録解除(Unsubscribe)」と一緒に使用しないでください。

アクションを明確にするために、アプリの文脈に合わせてボタンラベルを使用することが重要です。不適切なラベルは、ユーザーを混乱させ、決断を迷わせてしまいます。しかし、ラベルが文脈と一致している場合、ユーザーはボタンが何をするのかについてより明確であるため、より早く決断を下すことができます。

類似した表現を減らし、明瞭にする

ラベルの目的は、ユーザーがボタンを押したときにシステムが実行する動作を明確に伝えることです。ユーザーがラベルの内容に疑問がある場合は、アプリの信頼を失う、間違ったボタンを押されてしまう、あるいはボタンがまったく押されなくなることにつながってしまいます。

ラベルに同じような言葉や含みを持たせないようにし、常に文脈を念頭に置いてください。言葉の類似性が低いほど、明瞭さが増します。これは「キャンセル」ボタンだけでなく、グループ化されているボタンすべてに適用されます。


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