代理店やデジタルプロジェクトの管理者が直面している大きな問題の1つは、マイクロマネジメントを望むクライアントたちです。
しかし、なぜこのようなマイクロマネジメントが行われるのかを理解すれば、この問題は容易に回避できるのです。
皆さんは、マイクロマネジメントを試みる人々とのやり取りを経験したことでしょう。社内チームの雰囲気を台無しにする企業経営者やその他のステークホルダーたちも存在します。もしあなたが代理店の一員として働いていれば、当然ながらクライアントに対処するための苦痛の日々が待っているでしょう。
デザイナーからプロジェクトマネージャーまで、役割が何であれ、他の人たちからの干渉と戦わなくてはならないことがあります。
幸いなことに、マイクロマネジメントを防ぐ方法はあります。しかし、それはクライアントがそもそもなぜそれを望むのかという理由を理解できることが大前提にあります。
クライアントがマイクロマネジメントを望む理由
マイクロマネジメントが性格上の問題だと考える方は多いでしょう。各ステークホルダーやクライアントの性格に刷り込まれた何か、ということです。このようにマイクロマネジメントに対して否定的な固定観念を抱きがちですが、実はこれは誰もが陥りやすい落とし穴でもあるのです。
それはマイクロマネジメントが行動的な特徴ではなく、ある種の症状だと言えるからです。それは一般的に、コントロールができなくなるという感覚から生まれる不安によって引き起こされます。
人々は皆、コントロールが出来ている状態を好むので、コントロールができているという感覚を得るためにマイクロマネジメントを行おうとします。しかし、そもそも人々はなぜそんなに無力と感じてしまうのでしょうか。
ほとんどの場合、このような統制の欠如感は、何が起きているのか理解できていなかったり、またその理由がわからないときに起こります。 デジタルプロジェクトは特殊で複雑なので、これはデジタルプロジェクトでは一般的です。
さらに悪いことに、デジタルプロジェクトは組織全体の成功にとってますます重要なものになりつつあります。それは失敗した場合、コストが高いことを意味します。 このようなリスクの高い賭けは不安を引き起こし、よりコントロールしたいという強い欲求が生まれるのです。
私たちはどのようにしてクライアントやステークホルダーにコントロールができているという感覚を与えればいいのでしょうか? さらに、信頼をさらに深めながらそれを実現することにはどうすればいいのでしょう?
私たちはやるべきことをこなしていて、人々がそれを信頼してくれることを望みますが、それは理不尽と言えるかもしれません。ステークホルダーやクライアントと深く理解し合っていない場合は特にそうです。そのような理由から、クライアントとの付き合いが長ければ長いほど、マイクロマネジメントは起こらない傾向があります。
ここで問題が起こります。 私たちはどのようにしてクライアントやステークホルダーに統制が取れているという感覚を与えられるでしょうか。さらに、信頼をさらに深めながらそれを実現することは可能でしょうか?
コントロールできているという感覚を生み出すには
当然ながら、最終的に私たちが望むことはクライアントとステークホルダーが実際にプロジェクトをコントロールすることです。しかし実際には、彼らの考えは違います。彼らが望むのは物事がコントロールされているという感覚、そしてプロジェクトの成功を確信することです。 私たちはパワーを引き渡すのではなく、安心させることを目指すべきなのです。
この目的を達成するには、3つの方法があります。
- あなたが実践しているプロセスをクライアントに可視化する
- 彼ら自身で、状況の進展を確認できるよう、その権限を与える
- プロセス全体を通じて、クライアントに逐次情報を提供する
もう少し深く掘り下げてみましょう。
明確なプロセスを開示する
デジタルに関連する多くのチームは外側から見るとブラックボックスのように感じます。 クライアントから見ると、簡単な要件定義を提示したらどこからかWebサイトの完成形が降って湧いてくるようなものです。それは彼らの望むものであることもあるし、そうでないこともあります。
多くのクライアントにとって、開発のような技術関連の話題はとても難解なものです。一方で、デザインは創造性を気取ったようなものに見えがちです。どちらの面においても、クライアントの理解を得るには難しいものがあります。
その代わりとして、プロジェクトを開始する時点で、これから進められるプロセスをクライアントに明確に提示する必要があるのです。どのような順序でプロジェクトが進むのか、なぜ各ステップが必要であり、決定はどのように行われるのか、といったことなどです。
初期段階からプロセスを開示し、そのプロセスが有用であることを主張することは、クライアントの安心感につながります。また、何を期待すべきかを事前に知らせることで、クライアントの動揺を回避します。謎めいていたり、不確かだと感じる部分を取り除くことができるのです。
しかしながら、プロセスを持つだけでは不十分です。 プロセスがスケジュールどおりに進んでいるということもまた、クライアントに確信させる必要があります。
進捗についての透明性
プロジェクト計画はあくまでも計画です。現実には物事は変化するものであり、私たちがそれらの変化についてもコントロールができているということを、クライアントに知らせて安心させる必要があります。さらに、クライアントはその確信を得るためにプロセスの進捗を実際に見たいと思うでしょう。
プロジェクト計画はあくまでも計画です。現実には物事は変化するものであり、私たちがそれらの変化についてもコントロールができているということを、クライアントに知らせて安心させる必要があります。
ここが、プロジェクト管理のプラットフォームを選択するタイミングです。クライアントがプロジェクトに関連する情報を見ることができるよう、アクセス権を与えましょう。彼らはタイムラインへのアクセス、進行中の作業およびプロジェクトとのコミュニケーション方法を持つべきです。クライアントからブラックボックスに見えている部分へのアクセス権を与えるのです。
Hiveのようなツールはこの点で非常に貴重です。 Hiveは、高度な分析機能を使用して、チームがスケジュールを体系化し、管理するのに役立つだけでなく、今起きていることをクライアントが直接確認することができるのです。
Hiveのようなツールを公開することで、すべてのことが管理下にあるという安心感をクライアントに与え、その透明性によってクライアントとの信頼感を築くことができるのです。
ここであなたは思うでしょう。クライアントがすべての情報にアクセスすることには抵抗があると。それを鑑みたうえでも、進捗についての不安感を拭うに充分な価値があると私は考えます。
ちなみにHiveのようなツールでは、アクセスできるものを制限できるため、すべてをオープンにするというわけではありません。
しかしながら、アクセスを許可するだけでは充分でありません。多くのクライアントやステークホルダーは多忙な人々であり、何が起こっているのかをいちいち確認する時間がないのです。コミュニケーションが重要となるのはこのためです。
頻繁で定期的なコミュニケーション
私がかつてロンドンからダラスを経由し、テキサスのオースティンに飛行機で向かったときのことです。ダラスでの乗り継ぎを待っている間に雪が降り始め、すべてのフライトはキャンセルされました。待っている間、私はアメリカン航空とブリティッシュエアウェイズのインフォメーションデスクの反対側に座っていました。
ブリティッシュエアウェイズのカウンターの向こう側では、何人かの人々が最新のアップデートに辛抱強く耳を傾けていたのに対し、アメリカン航空のデスクの向こう側には、たくさんの怒った乗客がいました。
その違いはコミュニケーションにありました。 アメリカン航空の担当者は、より多くの最新情報が得られた時点で案内すると乗客に伝えたのに対し、ブリティッシュエアウェイズの担当者は最新の情報更新の如何に関わらず、10分ごとに乗客の元に出向いていたのです。
ブリティッシュエアウェイズの担当者からの定期的な連絡により、乗客は権限を与えられたと感じたのです。もちろん実際には、彼らはアメリカン航空以上の情報を持ち合わせてはいませんでした。しかし、彼らはそれを得たように感じたのです。
Webデザイナーとしての立場から、私たちはある事柄についてクライアントに知らせたり、また彼らから何かを聞き出す必要があるときにのみ、対話をしがちです。クライアントの側からすると、特に私たちが別のプロジェクトに取り組んでいる場合などは、ときに何週間もデザイナー側からのアップデートがないまま、待たされることになるのです。
ここでクライアントの不安感が生じます。プロジェクトが軌道に乗って進んでいるのかどうか、またそれが予定通りに完成するのかどうか、不安に感じるのです。
クライアントとのコミュニケーションは私たちの仕事の基本的な部分でもあります。私たちはサービスを提供する立場であり、コミュニケーションは優れたカスタマーサービスの1つでもあります。
メールや電話は面倒なものではありますが、クライアントとのコミュニケーションは私たちの仕事の基本的な部分でもあります。私たちはサービスを提供する立場であり、コミュニケーションは優れたカスタマーサービスの1つでもあります。最終的な完成物だけではないのです。レストランで客を不快な気持ちにさせるウェイターによって、おいしい料理が台無しになるのと同じです。
繰り返しになりますが、プロジェクト管理ソフトはこのようなコミュニケーションのツールとして役立ちます。定期的なコミュニケーションを促すために利用しましょう。同時に、Hiveのようなツールには通信機能も統合されています。これはクライアントが、度重なるメールのやりとりによって要点を見失うといった混乱を防ぐ役割も果たします。
受容可能なマイクロマネジメントとは
ここで得るべき教訓は、あなた次第でマイクロマネジメントは増えもしますし、減りもするということです。あなたがクライアントに対するコミュニケーションに手間を惜しまないのであれば、クライアントがあなたに対してマイクロマネジメントをする理由はないのです。しかし、充分なコミュニケーションを取らず、クライアントの懸念を無視した場合、クライアントは積極的にマイクロマネジメントをしだすでしょう。