誰かのデザインの引き継ぎでも私が値引きをしない理由

Eric Karkovack

Ericは、20年以上の経験を持つWebデザイナー。

この記事はSpeckyboy Design Magazineからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Why I Charge the Same for Building Websites Designed by Someone Else

Webデザイナーとして私が手がける新しいプロジェクトのほとんどは1から作り上げたオリジナルのものです。モックアップを作成し、クライアントが満足するまで修正を加えたあと、Webサイトの構築に移ります(通常WordPressなどで)。

しかし、別のデザイナーからモックアップを受け取って、それに合わせてカスタムWordPressテーマを作成することもあります。これは私のビジネスの中では比較的小さな部分ですが、私は毎年このようなサイトを6つほど作っています。

通常はこの場合、後者の方が前者よりも大幅にコストが低いと思うことでしょう。しかし、実際はそうではありません。現実は、誰がモックアップを作成したかに関係なく、ほぼ同じ料金を請求する傾向があります。

それは実際この作業に含まれる挑戦などを詳しく見ていけば、その理由がわかります。

結局かかる時間は同じ

私たちはそれぞれに個性があって、自分に合った仕事をしています。とはいえ、他人の見ているものを実際具現化するのは難しいものです。PSDやSketchのモックアップを利用して、ブラウザやデバイスをまたいでピクセル単位で完璧な再現をしなければならない開発者に一度聞いてみてください。

元のデザイナーが組織のメンバーではない場合、これは特に困難です。このような場合、たとえば、PhotoshopのPSDファイルの命名規則や、特定のレイアウトシステム内に適合するようにデザイン要素の配置規則なども決まっていないことがほとんどです。

その結果、画面に表示される文書の内容を把握するために多くの時間が費やされることになります。デザイナーがメモを入れてくれていると、とても助かります。しかし、それでも追跡すべき詳細があります。

確かに、一部のデザイナーは他のデザイナーよりも整理整頓ができているかもしれません。より明確なラベリングやフォントリストなどの用意があれば、Webサイトの構築プロセスは容易になります。

しかし、自分で1からデザインする方がスムーズ(少なくとも、そうあるべき)ですし。そして、実際にデザイン作業に費やす時間と、他人の作業を解読する時間の差は、無視できるものではありません。

もし費やした時間がほぼ同じなら、かかる費用もその事実に反映しなければなりません。

より多くの人に気を遣わなければならない

誰かの作業を引き継ぐことは、他人の作品を解釈することの複雑さだけではなく、さらに監視の目が増えるということを意味します。このシナリオでは、クライアントを満足させるだけでなく、元のデザイナーにも気を遣う必要があります。

元のデザイナーがどの程度Webに精通しているか(あるいは開発者がどの程度優秀か)にもよりますが、作業の工程ではいくつものリビジョンや問題が発生する可能性があります。要素や項目の配置が不適切で、古いブラウザーとの互換性がないといった問題によく遭遇します。また、期待される機能性とアクセシビリティに関しても、こちらの思惑と相違がある可能性があります。

たとえこれらを遠回りをしても、最終的にクライアントは彼らの要望を携え待っています。クライアントと一緒に仕事をしているWebプロフェッショナルなら誰でも言うことですが、最初にすべて承認されたからといって、そのあとに対処すべき大きな修正リストが無いわけではありません。

クライアントと1対1で作業するのは難しいかもしれませんが、そうするほうがクライアントのニーズを把握できる可能性は高くなります。利害関係者が多ければ多いほど、全員を満足させ、同じ目線でいることは難しくなります。

私達の仕事は見た目だけではない

重要なのは、提供されたデザインの見栄えが良くても、必ず何かしら予想外の穴があるということです。それらを解決していくのにかなりの時間がかかり、コストに直接影響してきます。

こちらのプライシングに対して苦笑いする顧客もいるかも知れませんが、他の人が作ったデザインを持ってきて、それを完全に機能するWebサイトに変えるというプロセスは、自分のデザインを1から作るのと同じくらい大変な作業です。

私の意図は、自分でデザインを作ることの価値を低く見ようとしているのではありません。デザインを1から作るということは、ベストプラクティスを深く理解しつつも、クリエイティビティを発揮しなければなりません。

ただ、他のデザイナーの作品を受け継いで作るという作業は、それはそれで独自の才能が必要なのです。私にはこれがより難しい仕事だと感じることが多くあったのです。

したがって、モックアップを渡してきて大幅な割引を期待しているクライアントに直面しても、妥協しないでください。作業を適切に行うために必要な課題と時間を説明することが大事です。そうすることで最終的には、金銭的な報酬以上のものを得ることになります。


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