Webサイトの特徴とWebサイトの利点、どちらを訴求するのがよいでしょうか? これらはオンラインにおけるコピーライティングのアプローチのあり方について興味深い議論をもたらしています。
マーケティングやセールスでは、プロダクトの特徴よりもプロダクトがもたらす利点を訴求すべきだというのが定説です。しかし、これは常に正しいのでしょうか? 特に、あなたのWebサイトにそれは当てはまりますか?
利点の訴求がもたらす問題
少し前のSkypeのWebサイトを見てみましょう。ご覧の通り、彼らはSkypeが人々をつなぐという利点を大いに強調しています。彼らは、Skypeが単なるテクノロジーではなく、人と人とをつなぐものなのだということを効果的に表しているのです。これはよくできた表現です。
しかし、Skypeとは何なのか知らなかったときのことを想像してみてください。その場合、このページを見たあなたは、「これはソーシャルネットワークなのか? もしかしてeカードを送るためのものだろうか。それともデートアプリ?」と、すっかり混乱してしまうでしょう。
もちろん私たちはSkypeが何なのか知っているので、そんな問題は起こりません。ですが、こちらの会社はどうでしょう。この会社が何をしているのかわかりますか?
私たちにどのように利点をもたらそうとしているのかについてはわかるかもしれませんが、彼らがそれをどうやって実現するのかはほとんどわかりません。
利点を強調すると、間違った思い込みが生まれる
この利点中心の考え方がどこから来ているのかを思い出すことが重要です。これは元々、Webの時代よりも前の、プッシュ型マーケティングの世界から来ているものなのです。
世界がデジタル化する前は、テレビや看板、広告のようなマーケティングチャネルは消費者の注意を引く必要がありました。そのためには、利点を強調することが最適な方法でした。さきほどの会社の例で言えば、「マーケティング管理ソフトウェアを提供しています」というよりも、「もっと多くの成功をもたらします(Deliver more wins.)」と言った方がはるかに注意を引きます。
しかし、Webサイトはプッシュ型マーケティングのチャネルではありません。注意を引くために存在しているわけではないのです。あなたのWebサイトを訪れる人はすでに、長い購買プロセスの途中にあります。
- ニーズを確認する
- そのニーズを満たしたいという興味を示す
- そのニーズを満たし得るソリューションを探す
言い換えると、あなたのサイトを訪れる人の大多数は、自分が何を求めているのかだいたいわかっています。彼らを納得させる必要はなく、私たちはただ彼らの問いに答えればいいのです。
彼らがより関心があるのは、自分が見ているWebサイトが自分の問いに答えてくれるのかどうかであり、あなたのプロダクトやサービスが自分のニーズを満たしてくれるかどうかです。つまり、彼らはあなたのプロダクトの特徴について知りたがっているのです。
利点と特徴のバランスをとるべきである
利点はどうでもいいと言っているわけではないので、誤解しないでください。もちろんユーザーには、あなたのプロダクトやサービスに投資することで見返りを得られるという安心が必要です。彼らはまた、その見返りがどのようなものなのかについても知りたがっています。
むしろ、私たちはWebサイトにおいて利点と特徴のバランスをとる必要があります。かつてAppleは素晴らしい仕事をしました。
このシンプルな小見出しは利点に焦点をあてつつ、長持ちするバッテリーという特徴も訴求できています。これによって、利点と特徴が1つのストーリーに融合しているのです。
もちろん、利点と特徴を1つの小見出しにまとめることがいつでも簡単にできるわけではありません。大抵は、言わなければならないことが多すぎます。では、ユーザーに最初に紹介するものを決めるためにはどうしたら良いのでしょうか。利点と特徴、どちらから始めればよいのでしょうか?
利点と特徴はどちらが先か
この疑問に答えるためには1歩下がり、ユーザーが知りたがっていることは何か、また、ユーザーがWebサイトにたどり着いたとき、これらの疑問がどんな順番で頭に浮かぶのかを特定する必要があります。
これは私の経験の中ではほとんど起こらない課題です。とにかく多くの会社が、「自分のサイトで言いたいこと」ばかり考えて、「ユーザーが知りたいこと」を考えていないのです。
しかし、1歩下がって考えてみれば(あるいはその考えを捨てて、ユーザーに尋ねてみれば)、利点か特徴かという疑問に対する答えは明らかです。
サイトもオーディエンスもそれぞれ違いますが、大抵ユーザーの思考は次のように進みます。
1. このサイトで合っているのだろうか。
2. この人たちは何をしてくれるのだろうか。
3. どうやって私の力になってくれるのだろうか。
4. この人たちは私が一緒に仕事をしたい人たちだろうか。
この文脈では、明らかに利点よりも特徴が先に来ます。どのように役に立つかを説明する前に、何を提供するかを説明する必要があるのです。
サイトのコンテンツは、書くべき人が書いていますか?
私にとって、この議論から得られる主なことは特徴にも利点にも関係がなく、むしろ、そもそもWebサイトのコンテンツを書くべきでない人が書いているということです。Webコンテンツは、Webコピーライターによって書かれるべきです。それ以外の人は、プッシュ型マーケティングの方法論に囚われがちなマーケターと同じく、どのように書こうかというバイアスを持ち込んでしまうからです。