新しいプロジェクトを開始するとき、あなたは誰のためにデザインをしていますか? お客様を満足させるため? それとも、あなたのポートフォリオを更に充実させるため?
ほとんどのデザイナーは、クライアントのニーズに全面的に集中するため、と言えるくらいの倫理観を持ち合わせていると思いたいところでしょう。
しかし、私たちも人間です。ときには無意識に、それとは別の意図でプロジェクトにあれこれと機能を追加してしまうこともあります。
結局のところ、構築の過程で私たちが下す、一つ一つの小さな判断に行き着くのです。それらは私たちのポートフォリオを充実させることはできても、クライアントにはほとんど何のメリットもありません。
「私はこんなことができます」
もしよろしければ、私の過去の数あるデザインの失敗事例のうちの1つをお話させてください。私はWeb上で流行しているクールなトレンドにしばしば魅了されます。そして、本当にワクワクする機能を目にしたとき、それをプロジェクトで使うのが待ち遠しくなるのです。
たとえば、今でもパララックススクロールを使っているWebサイトはまだまだたくさんありますが、私は当時、パララックスのように「私はこんなことができるぞ!」と見せびらかすことのできるような仕事をしたことがありませんでした。
ですがある日、この機能を追加できそうなプロジェクトに出会いました。そして、私は早速追加したのです。結果は、確かにうまく動作するものの、クライアントはそれほど興奮しておらず、むしろそのパララックス効果によって気が散るというフィードバックが来ました。
つまり私はサイトを使いづらくするものを実装していたのです。ユーザーが探しているものを素早く見つけるのに役立ちませんでした。振り返ってみると、私にとってはページ上で素敵なコードを実行できることを世界に示す手段となったのです。
これはWebデザイナーにとって、親の注意を引くためにあらゆる種類のいたずらをする子供に相当します。最終的にはうまくいくかもしれませんが、途中で誰かの迷惑にならないわけでもありません。
機能には目的が必要
ただし、これはクライアントのサイトに洗練された効果を追加できないという意味ではありません。重要なのは、実装するものが何であれ、何らかの方法で問題を解決するか、ユーザーエクスペリエンスを改善するかのいずれかを確実にすることです。
たとえば、マイクロインタラクションは、ユーザーが必要なタスクを完了する際のガイドに役立つ優れた方法です。また、アニメーションを使用すると、重要な情報に注意を促すことができます。それは、適切な時間と場所を選んで使用するようなものです。
問題は、私たちが彼らに何を達成してほしいのかを考えずに、あらゆる種類のエキストラな機能を加えるときです。Webデザインは他者のやっていることを模倣するのが当たり前ですし、エゴや収入を支えるためにそれらを使っていきます。
しかし、自分のプロジェクトでそれが本当に必要かと考えると、全てとまではいかないですが多くが含まれていないことに気づきます。ヒントとしては、最終プロダクトの段階で何の価値も付加できないような機能なら、そもそも入れてはいけません。
ポートフォリオではなくプロジェクトを設計する
より良いものを作るための素晴らしいデザインがあります。しかし、そこに到達するには多くのことを考える必要があり、ときには自分を見つめ直すことも必要です。
最終的には、目の前のタスクに適したソリューションを見つけることが重要です。本来、魅力的なポートフォリオを持つことは、私たち自身の成功にとっても大きな意味がありますし、クライアントの成功にとっても大きな意味があるはずなのです。
それを念頭におけば、あなたのポートフォリオに派手な特殊効果の例が欠けていても全く問題ありません。将来またそれを実装する機会はあるでしょう。
重要なことは、お客様が問題を解決し、目標を達成するためにどのように支援したかを示すことです。それは何よりもあなたの将来の成功の可能性を意味します。