Webデザイン分野の本を見ると、次世代のトレンドを語っている見出しを多く目にします。話題はツールのことかもしれませんし、プログラミング言語やフレームワークのことかもしれません。例えるなら、「チャンスを見過ごすことになる」と誘惑してくる、ネオンサインで溢れるラスベガスの繁華街を歩いているようです。それらの本は次のように主張します。「今これを始めれば、業界の最前線に立てますよ。」
そのような本を見ると、デザイナーは仲間外れになったように感じ、さらには置いていかれたように感じます。これは自然な反応でしょう。というのも、私たちは皆、自分の仕事を理解しており、クライアントに一流のものを届けられると信じているからです。上記のような見出しを見れば、誰もが頭の中で、あらゆることを知り尽くした想像上の人物を思い浮かべます。
しかし現実には、私たちが想像したような完璧なデベロッパーは存在しません。もっとも熱心で輝かしいWebの専門家でさえ、すべてを知っているわけではないのです。また、仮にすべてを知っていたとしても、その膨大な知識を実装する時間はどこにもないでしょう。したがって、そのような想像は記憶から消し去るべきです。
消し去れるように、学ぶ必要があるスキルを考える際には、バズワードがささやく誘惑を無視しましょう。代わりに、自分自身のことを真剣に観察する必要があります。そうすれば、進むべき正しい道が見えてくるでしょう。
自分のペインポイントを見つける
時間や資金といった限られた勉強へのリソースをどこに費やすべきか把握するにはまず、自己分析をすることです。幸いなことに、自己分析には専門家や自分自身による深い分析は必要ありません。
まずは、最近自分が手がけたプロジェクトについて少し考えてみましょう。どのようにプロジェクトは始まりましたか? 特定のタスクに苦労したことはありませんでしたか? 組み込みたかったのに組み込めなかった機能はありませんでしたか?
いくつもの過去の経験を見直せば、ある傾向に気づくでしょう。ひょっとしたらJavaScriptをカスタマイズするのに本当に苦労したかもしれませんし、CSSレイアウトを適正にするために骨を折ったかもしれません。こうしたことが繰り返し起こっていると判明したら、それこそが自分のペインポイントであり、学習を通して解消できる部分です。
これらのスキルを伸ばすために行動することは、自分自身の効率を上げることにつながります。もしCSSレイアウトの技術を習得したことでタスクをより素早くこなし、より良い結果を生み出せるようになったのなら、十分な価値があります。
結局のところ、私たちは全員、ワークフローの中にペインポイントを持っています。ペインポイントを特定して、行動を起こすかどうかが重要なのです。
補完的なスキルを考える
近頃もてはやされている技術の多くは素晴らしいものですが、必ずしも私たちの仕事に完璧に適合するわけではありません。たとえば、Reactは強力なJavaScriptのフレームワークです。しかし、普段のプロジェクトにReactが実現する機能が必要ないのであれば、Reactを学ぶのは賢い時間の使い方ではないでしょう。
例外として、自分の得意分野を変えることや、クライアントへの提供物にJavaScriptのインターフェイスを追加することに興味がある場合は異なります。このような場合は、新たなマーケットに進出するために、自分のスキルを上達させることになります。腰を据えて取り組む必要がありますが、もし本当に新しい方向に進みたいと考えているのなら努力する価値はあります。
重要なのは、毎日使っているスキルを把握することです。その上で、スキルの組み合わせに何を足すことができるか考えましょう。多くの場合、自分がすでにやっていることの延長線上にあるスキルに目が向くでしょう。進んでいる道から外れたくなることも少なくないでしょうが、結局は確立された土台に積み上げ続けるほうが合理的です。
先ほどの例ではReactを挙げましたが、今回はjQueryを幅広く使って仕事をしているとしましょう。jQueryは実績のあるフレームワークですから、これからも価値は続くでしょう。
しかし、ReactはWordPressのようなものにも組み込まれているため、仕事を広げる機会にもなります。新たなスキルのおかげで、成長しているセグメントに参入することができるかもしれません。すでにJavaScriptを知っているのですから、初心者ほど学習曲線が急峻ではないはずです。
これらの要因をすべて考慮すると、Reactは合理的に完璧に適合しているようです。新たなスキルを学ぶことでこのような成果が見込めるのであれば、自分に適したものを見つけたことになります。
自分自身とキャリアをより良くするか
世界にはノイズが溢れており、限界を越えて負荷に耐えられなくなることも多いでしょう。しかし、ただ美辞麗句が並べられているからと言って、必ずしも学ぶべきスキルではありません。
簡単なことではありませんが、過去のさまざまな仰々しい見出しを見直して、その内容について考えてみることが重要です。どのスキルが自分のキャリア、そして人生を肯定的に変えるのか判断しましょう。そのスキルは仕事を楽にしてくれるでしょうか? もっとお金を稼げるようになるでしょうか? 今までよりクライアントに評価されるようになるでしょうか?
スキルのレベルアップを考えるにあたって本当に重要なのは以上のようなことです。このような自己成長に焦点を据えることで、継続的に自分を成長させ続けられるでしょう。