集中力を欠くWeb閲覧者に向けたライティングテクニック

Paul Boag

PaulはUXのデザイナーでありデジタルトランスフォーメーションの専門家です。彼はユーザーを促進するためのウェブやソーシャルメディア、モバイルの活用を、非営利やビジネスの分野で手助けしています。

この記事はboagworldからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How to Write for an Online Audience That Hates to Read

ユーザーがWebページをすべて読むことは滅多にありません。したがって、Webに文章を書く際には、少し違った書き方をする必要があります。つまり、集中力を欠いたユーザーに対応した書き方です。

もしかしたら、あなたもこの記事の大部分を読まないかもしれません。実際、ユーザーは平均的にWebページの約28%しか読まないのです。人々の記憶に残るような説得的な記事を作る余地はあまり多くありません。

人々の注意が向かないので、Webで文章を書くことは大変な作業です。『優れたWebのコピーライターが気をつけている7つのことという記事でも述べたように、どんなに優れたライターであっても、Web上で何かを伝えるのには苦労することがあります。

また、UK Government Digital Serviceが最近、コンテンツのアクセシビリティを向上する方法について素晴らしい動画を公開しました。

なぜWeb上でほとんど注意を払わないのか

人々がWeb上でほとんど注意を払わないのには多くの理由があります。たとえば、目が疲れるから、あまりにも多くの要素があるからといった理由が挙げられます。

しかし、行動喚起についての記事でも説明したように、もっとも大きな理由の1つは認知的負荷です。人々の周囲には、気を散らせるものが非常にたくさん存在します。ユーザーはPCで多くのアプリを立ち上げていることも多いですし、子供やペット、交通機関やオフィスの雑音といった要因にも囲まれてもいます。

認知的負荷が増えるほど、読むページの量は少なくなります。しかしそれよりも増して、人間は読んだ内容を覚えていられなくなります。言い換えれば、もし私たちが伝えたいことを人々に記憶してほしいのなら、彼らの認知的負荷を減らす必要あるのです。

文章の認知的負荷を減らす方法

私が書いた認知的負荷に関する記事の中で、デザインの認知的負荷を減らす方法は数多くまとめてきました。では、コピーを書く際はどうすればいいでしょうか。

Webでコピーを書く最善の方法は、読者が認知能力に障害を持っていると考えて取り組むことです。なぜなら、人々はWebで文字を読むとき、まるで認知能力に問題があるかのように振舞うからです。

Mencapは、学習機能に障害を持つ人を支援する慈善団体です。彼らは、認知能力に障害を抱えた人々に向けて文章を書くうえで、有意義なアドバイスを提供しています。Mencapのアドバイスは、Webでのライティングの読者が誰であっても適用できるものです。というのも、文章の内容がわかりやすくなるほど、より多くの人々がそれを読み、記憶できるようになるからです。

以下に、彼らが共有しているアドバイスの重要な部分をまとめました。Webで文章を書く人は、全員がこのアドバイスを参考にするべきだと私は考えます。

使っている言葉をよく見る

  • 日常会話で使うような、平易な言葉を使う。
  • 「一」、「二」のように数字を文字に書き換えず、「1」、「2」と書く。
  • 文を短くし、1つの文には1つの考えだけ含むようにする。
  • 能動態を使う。たとえば、「MaryはJohnに愛されている」ではなく、「JohnはMaryを愛している」と書く。
  • 読点はできる限り最小限に抑える。
  • 難解な情報は箇条書きに分けて書く。ただし、それぞれの項目はシンプルにする。
  • 専門用語を使わない。
  • 「Don’t」のような省略形を使わず、「Do not」のように書く。
  • たくさん書き過ぎない。読者が必ず知るべき内容は何か考える。

 言葉の配置について考える

コンテンツは、もっとも重要な情報からそうではない情報まで、階層化して整理しなければなりません。

  • Nielsen Norman Groupが提示しているように、まず要点をまとめる。ページとセクションは、読者が知る必要があることから始め、それから補助的な情報に移る。
  • 横方向に階層を分けないようにする。ユーザーはページを縦に進めるほうが読みやすい。
  • 1つのテーマに関する内容は、すべて1つのWebページにまとめる。

画像を使う

  • 文章に続いて写真を配置すれば、読者はその言葉の意味を理解しやすくなる。
  • 文章の中で同じことを言う場合には、同じ画像を使う。
  • 画像とテキストを同時に表示する場合には、必ず画像を左に、テキストを右に配置する。
  • 段落を画像で分断してはならない。
  • テキストを画像の上部に配置したり、画像をまたいで配置したりしない。
  • 画像はシンプルなものを使う。
  • 図表は理解するのが難しいので、なるべく使わないようにする。
  • コンテンツの理解を助ける画像だけを使う。見栄えのために表示される画像は認知的負荷を増やしてしまう。

読みやすさを考慮する

  • セリフ体よりも読みやすいので、Helveticaのようなサンセリフ体のフォントを使う。
  • テキストは可能な限り大きく表示し、できれば14ポイント以上にする。
  • 見出しは明確にし、文脈の切れ目を作る。
  • 文字は背景色に対して目立つ色にする。
  • 色のついた背景に白い文字を配置すると読みづらい。
  • 背景にオフホワイトを採用するとコピーが読みやすくなる。

読みやすさとその他の考慮事項のバランス

このMencapのアドバイスは、認知的負荷を減らすガイドラインとしてご覧ください。本当に認知に障害を抱えたユーザーに向けて書く場合のみ、順守すべき規則として扱ってください。

Mencapでさえ、自身のガイドラインをすべて順守しているわけではありません。しかし彼らのアドバイスを上手く活用すれば、あらゆる人の認知的負荷を軽減することができ、読者がより多くの情報を記憶できるでしょう。

たとえば、この記事もすべてのガイドラインに従っているわけではありません。ブランディングの観点から、フォントはセリフ体を使っています。一方で、コントラストをはっきりさせ、一分を短くするようにしています(編注:翻訳元のサイトはこちら)。

しかし、それでも要点は有効です。読者が認知能力に問題を抱えているかのように書くことで、すべてのユーザーがコンテンツから多くのことを学べるようになります。また、筆者が書いた内容をより記憶できるようになるでしょう。このガイドラインはコンバージョンやビジネスにとっても効果的です。


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