Fitbitから学ぶ、ゲーミフィケーションで大事な10のポイント

Neil Turner

Neilは、イギリスのデザイナー兼リサーチャーであり、ユーザー重視のデザインに注力しています。現在、Redgate softwareにて製品デザイナーとして働いています。

この記事はUX for the Massesからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How Fitbit have nailed gamification & 10 lessons you can learn from them

ガジェットに目がなく、フィットネスや体を動かすことが大好きなわたしは、数か月前、普段のフィットネス活動の記録方法を従来の古いやり方から、動きをすべて追跡して記録する流行りのスマートウォッチに新しく替えることにしました。今では、Fitbit Charge 2(上記写真)の購入に満足しており、かなりお気に入りです。

Fitbitはフィットネスや日々の運動を記録するガジェットを多数販売しています。Charge 2は心拍数を継続的に測定できるという、ほかのスマートウォッチよりもさらに進化した機能が搭載されています。まるで、小さな看護師がずっと脈拍を測っているようです。Fitbitは膨大な量のデータを収集して、1日に歩いた距離、消費したカロリー、歩数、運動した時間、安静時心拍数、睡眠時間や睡眠の質(装着して寝た場合)までも表示できます。

自分の運動量を記録するのにFitbitが役立つのはもちろんですが、Fitbitの真のメリットは「もう少し運動しよう」と促されることにあります。まるで、手首にいる小さなコーチが、エレベーターではなく階段を使うよう指示しているように感じで、ランニングやサイクリングをするときも、距離を少し伸ばしてみたり、ランチタイムに机でのんびりするのではなく、ウォーキングしてみようと促されます。

これは、ゲーミフィケーションの効果が発揮されているからです。スコア、競争、チャレンジなどゲームの仕組みを応用し、モチベーションを高め行動を促すことを指します。Fitbitはゲーミフィケーションを上手く取り入れており、成功例からたくさん学ぶことができるでしょう。以下に、Fitbitから学ぶ10のレッスンを紹介します。

1. ゲーミフィケーションは「適切な分野で」効果を発揮する

ゲーミフィケーションに対しては少し懐疑的でしたが、Fitbitを実際に使用して、ゲーミフィケーションがユーザーの行動に影響を及ぼすことが身をもって実証できました。しかし、必ずしもすべての分野でゲーミフィケーションが有効的だとは思いません。エクササイズやフィットネスは楽しくてゲームのようであるため、ゲームの要素を取り入れることはさほど難しくないでしょう。

しかし、経費報告書の作成や書類に記入といった一般的な作業に対しては同じ効果が出るとは限りません。ゲーミフィケーションは確実に効果が出る手法と思われがちですが、そうではないのです。確かに、上手く導入すればゲーミフィケーションの効果が発揮されますが、理にかなう分野でのみ実現するでしょう。

2. ゲームのルールを説明する

ゲーミフィケーションの要素を取り入れるなら、ゲームのルールを明確にする必要があります。ユーザーが頭を悩まさなくても、すんなりゲームに入れるようにしましょう。最初は基本的なことを説明し、ユーザーが慣れてきたころに、よりコンセプトや仕組みを取り入れていきましょう。

Fitbitはゲームのルールをとても上手に解説しています。基本機能とコンセプトについて説明が書かれたマニュアルがデバイスと一緒に入っており、すぐに使い始めることができます。携帯アプリ内ではセットアップ方法の一連を紹介しており、定期的に送られるメールは、入門レベルの内容から、時間が経つにつれ、徐々にユーザーに考えさせる内容にレベルアップしていきます。

Fitbitはメール、ウォークスルー、ユーザーマニュアルでゲームのルールを展開していきます

3. シンプルにする

サッカーが世界でもっとも人気なスポーツである理由にルールのシンプルさが挙げられます。ラグビー、アメリカンフットボール、クリケットなどほかのスポーツに比べて、ルールがとてもシンプルで分かりやすいです(オフサイドのルールは少し難しいかもしれませんが)。

Fitbitもサッカーのように、ゲームのルールがとてもシンプルです。チャレンジは、1日1万歩以上を歩く(想像するより難しいです)、もしくは、友達と歩数を競うなどルールがシンプルになっています。Fitbitのように、ゲーミフィケーションの要素は、シンプルで分かりやすくするよう心がけましょう。

4. チャレンジは適度な難易度にする

難易度が高すぎて、最初のステージをクリアするのがやっとというゲームの経験はありませんか? 辛抱強く遊び続けずに、さっさと諦めて違うゲームに移ったのではないでしょうか。ゲームやゲーミフィケーションでのチャレンジは、簡単すぎるのはもちろん、難しすぎてもいけません。

Fitbitでは、毎日8000歩や15分のエクササイズという現実的なチャレンジから始めることができ、適度な難易度を保っています。この目標を達成し続けたときにのみ、Fitbitは運動量の目標値を増やしてみるようアドバイスしてくれます。

5. 競争の要素を取り入れる

競争はゲームの動機付けになり、ゲーミフィケーションの成功例すべてにも当てはまります。相手より高い得点を取る、タスクを達成するなど、健全な競争を少し取り入れることでユーザーのモチベーションを高めることができます。

Fitbitは、友達、家族などのグループ内で競い合う機能があり、たとえば、1か月で一番多く歩いた人、仮想トレイル上で最初に目的地へ到達できた人などが表示されます。そして、ユーザーはほかの人と記録を比較してリーダーボードの順位争いができます。

Fitbitでは友達や家族と競い合うことができます

6. 交流の要素を取り入れる

ゲームは友達と遊んだ方が楽しいという仕組みをFitbitでも取り入れています。Fitbitを所有している友達や家族とグループを作って、チャットや競争をすることができます。ゲーミフィケーションを導入する際は、ユーザー間で交流できる機能をサポートすることが重要です。

Fitbitはユーザーがグループを作成して参加できる機能があります

7. うるさくない程度に、促す

ユーザーに行動を起こすようそっと促すことがゲーミフィケーションの重要ポイントです。たとえば、定期的に送られる歩くことを促す通知や、競争相手がリーダーボードの首位を奪ったことを知らせる通知などが挙げられます。しかし、促しの程度がユーザーにとってちょうどいいかうるさく感じるかは紙一重です。ガミガミ言う親のように言われたことをやらないユーザーにうるさく言うことはせず、ユーザーをそっと促し、気づかせ、仕向けることができる方法を考えましょう。

Fitbitは、1時間毎に目標歩数を歩くよう促す通知や、1日の目標歩数に到達しそうなときに達成を促す通知など、短い通知を送りユーザーを促します。

Fitbitは1日の目標に達成するよう促す通知を送ります

8. 進捗状況が確認できる

ユーザーが目標を設定したとき、達成状況が確認できる機能があることは重要です。Fitbitは歩いた歩数、消費したカロリーなどを画面に表示し、また、日ごとや週ごとのダッシュボードやレポートを提供して、ユーザーが達成状況を確認できるようになっています。

Fitbitでは、ユーザーがダッシュボードやレポートで簡単に達成状況が確認できます

9. 報酬を与える

子どもが良い行いをしたら親が褒めるように、ユーザーが目標に到達したり、課題の達成に成功したら評価するべきでしょう。どんな人でも褒められると嬉しいですし、報酬は本質的な価値をもっていなくても、「よくできました」だけで十分効果があります。アクティビティ目標に達成したときにFitbitから送信されるメールが特にいい例でしょう。ユーザーは嬉しいメッセージが受け取れるほか、ソーシャルメディアで達成したことを友達や家族にシェアすることができます。

Fitbitは努力を評価し、ユーザーは達成したことを簡単にシェアできます

10. 面白さを取り入れる

当たり前ですが、ゲームは面白くないといけません。面白さのないゲームは、ゲームとは言えないですよね? ゲーミフィケーションにおいても同じです。

Fitbitは、街を歩きながらのバーチャルウォークや、上記のメールにあるようなセンスのいい言葉選びなど、ユニークなチャレンジや競争の中に面白さの要素を取り入れています。

Fitbitはユーザーに面白いチャレンジをたくさん提供しています

最後に

Fitbitはゲーミフィケーションの効果を疑っていた私の考え方を根本から覆しました。効果が発揮できていないゲーミフィケーションには、本記事で述べた10のレッスンを適用することで、ユーザーに行動を起こすよう促すことができるでしょう。

それでは、今日の目標達成までにまだ896歩残っていますので、そろそろ失礼させて頂きます…。


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