駆け出しデザイナーにおくるキャリアアドバイス

Angelica Valentine

オークランド出身でProto.ioのコンテンツエディターであるAngelicaは音楽や食文化、ベイエリアを中心として開かれるカルチャーイベントに参加するのが大好きです。Twitterでフォロー。

この記事はProto.ioからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Best Career Advice for Junior Designers

夏の就職シーズンには、多くの新人デザイナーがキャリアの最初の一歩を踏み出します。そしていくつかの試行錯誤を経て、着々とその業界で生き残るコツを学ぶことでしょう。その過程で、周りの経験あるデザイナーたちの助言はいつのときも役に立つものです。彼らは、さまざまな困難の中で学び、業界の事情を理解した、経験豊富なデザイナーたちです。

若手デザイナーを支援する目的で世界中のエキスパートに会い、駆け出しのデザイナーがキャリアを積んでいくうえでためになるアドバイスを伺いました。そのアドバイスをここでご紹介しようと思います。

デザインの師と仰ぐ人をみつける

運がよければ、上司やチームの中で、デザイン業界で活動する中であなたが尊敬できる人物、つまりあなたをリードし、教えてくれる人物と出会うことができるでしょう。デザインのキャリアを積むにあたって、尊敬に値する誰かをLinkedInやTwitterで検索することもできるのです。ガイダンス、アドバイス、トレーニングを受けている限り、適切なデザインの指導者に出会ったということができるでしょう。

あなたをリードしてくれる人が社内にいる場合、作業で行き詰ったときにその人物が素晴らしい助言を与えてくれるでしょう。建築家でもあり、インテリアデザイナーでもあるLeslie Saul氏は、駆け出しのデザイナーたちに次のようなメッセージを送っています。

「助けを求めることは恥ずかしいことではありません。すべてをわかっている必要はないのです。自分自身ですべてをやり遂げることと、すべてにおいて誰かに助けを求めることの、バランスを保つべきです。」

師匠として優れた人物は、直接指導に当たること以外にも、トレーニングの提案や確認作業を通して、あなたに正しい方向性を提示してくれるでしょう。また、あなたがより早く自立できるよう、ときには引き戻したり、励ましたりしながら、あなた自身が特定のスキルを身につけられるように導いてくれる存在です。

さらに、このような優れた指導者はプロジェクトに関するフィードバックを返してくれたり、今後習得すべき新しいテクノロジーに関するアドバイスを提供し、ときには次に請け負うデザインの仕事を探し出すことにも力になってくれるでしょう。(当然、同じ企業内にいる場合は除きますが)

駆け出しのデザイナーたちへのキャリアアドバイスとしては、あなたのそばにいる経験豊富なデザイナーから得られるパワーとアドバンテージを軽くみないことです。

ホワイトボードを使ってのやり取りは、経験豊富なデザイナーとアイデアについて話し合うことを、はるかに楽しいものにしてくれます。

時間管理が成功へのカギ

アプリ、ソフトウェア、Webサイト、なんであろうと、なにをデザインする場合であっても駆け出しのデザイナーにとって重要なことは、時間を効果的に管理する方法を学ぶことです。これは、クライアントまたは同僚からプロジェクトを任され、作業のすべてを委ねられ、「それで、いつまでに完成できますか?」と聞かれる状況においては特に重要です。このプロジェクトが、デザインスクールを卒業して初めて請け負う仕事だということは、言い訳にはなりません。デザインスクールを卒業して初めて請け負う仕事であったとしても、あなたはあなた自身とクライアントのために合理的な答えを用意する必要があるのです。

RocLogic Marketingの創設者であるDavid LaVine氏は、駆け出しのデザイナーがキャリアを積むうえでもっとも重要だと考えることについて、次のようにアドバイスしています。

「デザイナーとしてのキャリアの最初の段階で、できるだけ早く学ぶべきことの一つにタスクにかかる時間をどのように見積もるか、というものがあります。なぜなら、それを知ることによってチームリーダーやプロジェクトマネージャーは、より高度なレベルで進行中の残りのプロジェクトについてどのように対応するべきかを判断できるからです。

最初のうちは、必要な時間を過小に見積もりがちです。これは、プロジェクト全体の進行と予算を台無しにする可能性があるだけでなく、同僚たちの作業を急かし、夜遅くまでの作業を強いることにもつながるのです。このような状況を避けるためには、作業全体の期間を一括で見積もるのではなく、設計、実装、ユニットテスト、統合/システムテスト、予測不能な事案、プロジェクト管理、会議、文書化など、より詳細なセクションに分けて見積もるべきでしょう。」

はじめからすべてを完璧にこなすことは素晴らしいことですが、それがつねにできるとは限りません。LaVine氏は次のように述べています。

「デザインにかかる実際の時間について振り返ってみましょう。最終的に自分が想定した見積もりと、実際にかかった時間を比較し、その時間の誤差の原因を考えてみましょう。それにより、そこで得たものを今後の作業に活用することができるのです。」

新しい技術を習得するのと同じように、時間の見積もりと管理には練習が必要なのです。また、クライアントや社内のステークホルダーに提示する期限を計りかねる場合は、充分な時間をかけてよりよいデザインを完成させるためにも、上司や管理者などに必ず相談するようにしましょう。

ステークホルダーが望むものを提供する

よいものをつくり出すためのデザインは素晴らしいことですが、多くの場合、ステークホルダーによって決められたデザイン上の制約があるものです。

駆け出しのデザイナーにとって、プロデュースが可能な作品とクライアントのニーズの両方を取り入れることは重要なスキルです。

Caveni Digital Solutionsの共同創立者兼クリエイティブディレクターであるRaffi Jafari氏は、駆け出しのデザイナーたちに、キャリアに関して次のようにアドバイスしています。

「デザインに関してもっとも難しいスキルは、あなたからみてもっともよいと思うものを捨てて、クライアントのために機能的なビジョンを作成することに集中することです。販売とマーケティングの両方の現実を考慮に入れる必要があり、どんなにすばらしいデザインであってもクライアントの目的を果たしていない場合は、そのデザインが使われることはないという現実を理解すべきです。多くのデザイナーは、これ以上はないほどのすばらしいデザインであっても受け入れられないという現実にがっかりするでしょう。しかし、いくつかの点で意見が食い違ったとしても、最終的にクライアントのニーズに対応する能力は、長期的に非常に役に立つスキルとなるのです。」

Jafari氏の視点を分析してみましょう。まず彼は、古くからあるフォームと機能について語っています。個人的なプロジェクトの場合は美しいなにかを作ることに重点を置きますが、ステークホルダーはうまく機能するアプリや製品を求めます。これに対応するには、クライアントが本当に必要としていることを心から理解し、早い段階でフィードバックを集め、ユーザーのニーズにマッチしていることをつねに確認することなど、初めてデザイナーとしてなにかをデザインするときにもっとも多く学ぶスキルが必要となります。

Leslie Saul氏はさらに一歩進んで、キャリアに関して次のように述べています。

「自身のポートフォリオよりもクライアントを大切にしましょう。」

私たち、Proto.ioにとって、この駆け出しのデザイナー向けのキャリアアドバイスは、自身が作成したいものをいったん脇に置き、その代わりにクライアントのニーズと要件に合ったアセットを提供することを意味します。あなたのポートフォリオを締めくくる、情熱にあふれたプロジェクトを作成するためには夜間と週末を利用し、クライアントのために作成するなにかについて考えているときには彼らのニーズを最優先するようにしましょう。

デザインツールを使いこなす

学校やインターンシップで大きなデザイン企画に参加することは多いと思いますが、いったん、フルタイムの仕事やクライアントを獲得したら、ツールをマスターすることは必須です。

Sonder Digital MarketingのデザインリーダーであるAlex Litzow氏は次のように述べています。

「Sonder社のデザインチームのリーダーとして多くの若手デザイナーやインターンたちを、みてきましたが、彼らはデザインに対して非常に高い審美眼を持ち合わせている反面、PhotoshopやIllustratorの使い方を知りません。企業やエージェントの仕事をする場合、Adobe Suiteのソフトを使いこなすことは必須と言えます。さらに、これらのソフトを自在に使いこなせるようになれば、そこから別のソフトウェアに切り替えるのも難しいことではなくなります。他にアドバイスはないかって? ショートカットを覚えましょう。細かいことが効率化につながります。」

駆け出しのデザイナーが時間を節約するためのアドバイスは大歓迎ですね!

さまざまなツールを使いこなすことで、はるかに容易に高品質の作品を作り出すことができるのです。

デザインに関して直感を持つのはよいことですが、優れたデザイナーは戦術的な側面も考慮するものです。そして、現代のモダンなデザインの世界では、現在または将来の雇用主の技術スタックを知ることは、あなたに有利に働くでしょう。雇用主はあなたにプロジェクトを任せられるか、そしてあなたが実行できるのかを知りたがっています。それもできるだけ早くです。

もちろん、ツールは日々、変化を遂げているので、多少の勉強のし直しは必要ですが、プロジェクトを進め、さらに他の同僚の教育ができるぐらいの知識を持ち合わせているとしたら、チームの貴重なメンバーの一員として迎え入れられることでしょう。

インスピレーションを与えてくれるものを見極める

駆け出しのデザイナーとして、初の大きなプロジェクトに取り組み、組織やクライアントに多大な貢献をすることで大きなやりがいを感じている方は多いと思います。しかし、締め切りが迫っている中、パソコンのモニターをみつめるだけで、頭には新しいアイデアがまったく思い浮かばない日々はどうでしょうか? デザインのインスピレーションを見つけるための私たちのお気に入りの方法について、私たちは言葉通り、山の頂上から叫んだことがあります。

そして、デザイナーでありマーケティング担当者でもあるStacy Caprio氏が駆け出しのデザイナーに向けた「基本に戻る」というキャリアアドバイスに、私たちは全面的に賛成します。

「駆け出しのデザイナーたちへの私からのアドバイスは、インスピレーションにこだわるなら、外に出て自然の中を歩いたり、自然を楽しむことができる場所ならどこへでも出かけたりしなさいということです。自然に囲まれているとき、デザインや新しい思考がより簡単に浮かび上がるだけでなく、自然の美しさはいつでも表現の手本になるからです。」

電子の世界から離れることで得られるメリットはいくつもあります。創造性はそのひとつでもあります。

つねにオープンマインドで

夢と現実はつねに隣りあわせとは限りません。駆け出しのデザイナーのためのキャリアアドバイスは、誰にでもあてはまることですが、目も、耳も心も、つねに開いておくということです。初めてのデザインプロジェクトをビジュアル化することにすでに成功したかもしれませんが、あなたのすべてがつねにバラ色のメガネを通して見られるわけではないのです。そしてそれは当然ともいえることです。学び、成長する。それを忘れない限り、あなたは正しい道に沿って成長しているといえるでしょう。

逆にいえば、あなたに挑んでくるプロジェクトにもオープンになるべきでしょう。自分が思っていたよりも簡単には習熟することができないということは、単に任せられたデザインが、いままでにやったことのないデザインであるというだけのことなのです。私たちはそれをストレスだと言うわけにはいきません。挑戦して、また挑戦して、さらに挑戦あるのみなのです。そのスキルが今後のあなた自身のキャリアにおいてどのように役に立つかは誰にもわからないことなのです。


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