私たちの多くは、Webサイトの構築はしても、そのコンテンツはクライアントに依存しています。っそれなのに、質の高いコピーを作成する方法などのアドバイスはほとんど提供していません。
デジタルプロフェッショナルとしての私たちは、クライアントや同僚がネット上で披露しているコピーの出来具合について難癖を付けることが趣味のようになっています。クライアント側でコピーを書くための専門家を雇うのが理想であり、そうした専門家ならだれもがまともなコピーを書くことができると考えていますが、優れたコピーライターにできることはそれだけではありません。だからこそ、クライアントに紹介できるような腕の良いコピーライターを常に持っておくべきなのです。
しかし、私たちがどれだけ骨を折ったとしても、クライアントは自分で「やってみる」ことを決めてしまうことがよくあります。そのような状況でやってはいけないのが、その愚行ゆえにクライアントを見捨ててしまうことです。そんなことをすれば品質が低下するだけでなく、Webコンテンツを書くことの難しさをクライアントが思い知ることによって、コンテンツの配信が遅くなる可能性が非常に高くなります。
そうではなくて、クライアントが作るものの品質を向上させるのに役立つような、簡単なガイドラインを示してあげましょう。
このような状況において、私がクライアントに対してよく伝えるアドバイスを次に紹介します。
質問と反対意見にフォーカスする
クライアントがWeb上のコピーを作成する場合、そもそもの前提が誤っていることが多いです。彼らはユーザーが知りたいことではなく、自分が言いたいことを自問することから始めてしまうのです。
その結果、コピーには自社の歴史についてのディープな情報が詰め込まれるだけで、ユーザーがまず抱くであろう基本的な質問にも全然答えられないものが出来上がってしまいます。
クライアントにはまず、Webサイトにアクセスしたときにユーザーが抱く可能性のある疑問や反論のリストを作成してもらいましょう。そしてそのリストを、コピーを考える出発点にしてもらいます。
クライアントはそれらの疑問に対する答えを箇条書きにして書き出し、分類することができます。その作業をこなすことで、最終的なコピーを作成するための合理的な基盤が整うのです。
これにより、コンテンツの関連性が確保されるだけでなく、しばしば配信の遅れの原因となる例の、「空白ページ症候群」を克服するのにも役立ちます。
話し言葉で書く
プロのWebサイトのコピーライターではない人々によくある間違いのもう1つは、あまりに形式的に書いてしまうということです。
そうするとコピーは、専門用語を並べただけの、人間味の薄いものになってしまいます。ライターは自分の組織に対して、また読者に対して3人称で言及します。
たとえば、私が書き直す前のUniversity of EssexのWebサイトのコピーを見てみましょう。
University of Essexは、学生が学業を通じて存分に能力を発揮できるようにすることはもちろん、さまざまな宿泊施設や食事、アクティブな学生組合、それにスポーツと芸術などの機会を提供します。
「私たち」ではなく「University of Essex」、「あなた」ではなく「学生」と言っていることに気がついたでしょう。
クライアントには、読者に対して温かく親しみのこもった、くだけた口調で話しかけるように勧めましょう。何なら、その内容を友人や同僚に対して声に出して言ってもらってもいいです。友人たちが、それを自然な会話の中で言われるようなことのように感じるのであれば、クライアントが進んでいる方向は間違っていないということになります。
では、先ほどの例を手直ししてみます。
私たちは、勉強が学生生活のすべてだとは思っていません。宿泊施設やケータリングからアクティブな学生組合、優れたスポーツ施設、魅力的なアートプログラムまで、あなたが求めるもののすべてが、ここにあります。
スキャナブルなコンテンツを作る
最後に、クライアントにはスキャナブルな(見やすい)コンテンツを作ってもらうようにすることをお勧めします。
Nielsen Norman Groupによると、ユーザーは一般的にWebページの28%しか読んでいません。これは、ユーザーが自分に関係のあるコンテンツを見つけるために、全体をざっとしか見ていないからです。
だからこそ、クライアントはコピーを考えたり、多くの写真やタイトル、リスト、引用符を使ったりする際にはスキャナビリティを考慮する必要があるのです。
また、コピー自体をどう書くかについても注意を払う必要があります。そのようなことを念頭において、私は次のようなアドバイスをすることが多いです。
- シンプルな言葉、日常会話で使うような言葉を使う
- 数字は「one」「two」のような表記ではなく、「1」「2」のような表記にする
- 1文を短くし、1文には1つのアイデアだけを入れるようにする
- 能動態を使う(たとえば、「MaryはJohnに愛されている」ではなく、「JohnはMaryを愛している」)
- ピリオド(句点)は良いが、読点は最小限にする
- 複雑な情報は箇条書きにしてわかりやすくする(ただし各要素はシンプルに)
- 小難しい専門用語を使わない
- 短縮形を使わない(「don't」ではなく「do not」と書く)
- 書き過ぎない。ユーザーが本当に知りたいことは何かを考える
私は彼らに、自分のコンテンツの優先順位を考えるように言っています。ページとセクションの始めには、ユーザーが知りたいと思っている内容を置くべきであり、追加的な情報はその後です。また、タイトルとサブタイトルが後に続くセクションを要約しているようにします。
どこから始めるか
ここでは3つのアドバイスだけを紹介しましたが、良いコピーを書くためのヒントはまだまだたくさんあります。
ですが、もしクライアントにこの3つのルールを守らせることができたら、あなたが受け取るコピーの質は著しく向上し、Webサイト自体も上手く行く見通しが高くなるでしょう。