私がBT Business(英国の通信業者)で経験した最悪な体験は、調子のよいセールス文句やマーケティング体験だけではコンバージョンにつながらないということを証明しました。BT Businessのブロードバンドも携帯電話サービスもおすすめしない、というのがいま私が友達や家族と共有しているメッセージです。皮肉にもBT Businessはまだ連絡してきていません。
すべては、4軒先に住んでいる無鉄砲な人から始まりました。彼は道を掘り、通りすべての電話線を切ってしまったのです。翌月からが地獄で、混乱を解決するために通信業者のOpenreachが地元の自治体と交渉して道路を掘り起こす許可を得るまでの間、高価な4G回線を用いてビジネスを行わなければなりませんでした。
私は必死になって別の方法を探し、BT Businessのブロードバンドプランを発見しました。そのプランは現在のプロバイダより安い上に、4G保証と呼ばれる魅力的な特典がついていました。4G保証とは、ブロードバンドがダウンした場合に、無制限で超高速4Gを使用できるというものです。「明日にでもブロードバンドと同じくらいのスピードが出せると思います」と営業担当者は私に約束しました。その上、BTの全国Wifiネットワークにもアクセスできるのです。
さらに営業担当者は、携帯電話とブロードバンドパッケージとセットにした場合の魅力的なプランについても提案してきました。私は舞い上がっていました。
実際にその通り、翌日にはBT Businessハブが起動し、4Gに接続しました。約束された速度からは程遠かったですが、少なくとも安定していて、大したお金はかかりませんでした。
では、なぜ私はBT Businessを教訓として取り上げているのでしょうか? なぜ私はBT Businessブロードバンドを避けるように他の人に警告しているのでしょうか? BT Businessはどのようにしてサービスの提供期間を満了する前に顧客を失ったのでしょうか?
答えは、私が契約書にサインしたときにBT Businessから提供された悲惨な顧客体験にあります。ぎりぎりのところで勝利を逃してしまったのです。
それでは、まだ顧客が完全に契約を果たせていないこの重要なオンボーディングの時期に、一体なにが起こったのかを分析してみましょう。
まずは彼らの残念なコミュニケーションから振り返っていきましょう。
明確で簡潔なコミュニケーションを優先する
販売サイクルの行動後段階では、明確で率直なコミュニケーションが重要です。購入者が契約したサービスの提供を待っている間、購買者の不安は高くなります。またこのとき、購入者はほぼ確実に質問を抱えています。
その不安感は、コミットメントのレベルに比例します。たとえば、私のように会社との2年間の契約にサインしたあと、BTに対応してもらわなければいけないいくつかの懸念が生じました。
この販売期間中に、すべての質問に驚くほど効率的に答えてくれた担当者が1人いました。ライブチャット、電話、メールを駆使してスムーズにやりとりを行いました。しかし、私が契約した直後に事態は変わりました。
担当者は私とのコミュニケーションを完全に遮断し、BT内のさまざまな部署から届く混乱したメールに悩まされることになりました。私が契約したパッケージを引き継ぎ、ばらばらの部署から私宛てに個別の連絡を取ってきたのです。
ルーターを派遣する人、モバイルを設定する人、BTエンジニアを手配する人、クラウドボイスサービスを設定する人からメールを受け取りました。
多くの場合、メールには詳細が記載されていたり、なにかをするように指示されていました。私はそのどちらに対しても質問がありましたが、オンライン上でその質問について十分に説明されることは滅多にありませんでした。
さらに、質問用のチケットシステムがありませんでした。ライブチャットは存在しましたが、機能しないこともあり、時々BTから提供されたたくさんの注文番号の1つを入力しなければいけませんでしたが、入力した数字はすべて間違っているようでした!
私は普段コールセンターに電話しないようにしていますが、結局あきらめて会社に電話しました。しかし、本当にひどい待ち時間で事態がさらに悪化しました。ある1回の電話で、1時間以上待ちました。とある誰かと話をしたとき、待ち時間が3時間以上になることが割とあることを担当者は認めていました。
最悪なのは、やっと誰かと話ができたとしても、その担当者が役に立ったことはほとんどありませんでした。BTは厳格に個々の部署に分けられていたため、決まって私は他の誰かにたらい回しにされました。
BT Businessが私たちに教えてくれる教訓
それでは、BT Businessからなにを学べるのでしょうか?
まず初めに、さまざまな部門にわたる顧客とのコミュニケーションを見直す必要があります。あまりにも多くの人からの過剰な連絡で顧客を圧倒していませんか?
次に、これらのコミュニケーションがお客様の懸念や質問に確実に答えになっていなければいけません。たとえば、元々あった計画を変更する必要がある場合、その理由をきちんと説明し、次になにが起こるかを明確に伝えるのです。
最後に、顧客にさまざまな異なるコミュニケーションチャネルを提供し、ユーザーが選択したチャネルでタイムリーな応答を受け取れるようにすることです。現在の市場では、ユーザーを電話で待たせる、あるいは顧客を待たせて電話を取ってもらうことを期待することは受け入れられません。
チーム間でスムーズな体験を提供する
BTエンジニアが予定通りに現れなかったとき(事前連絡も日付変更も無く)、私はもう1度電話することを余儀なくされました。私が話しているそれぞれの担当者には権限がなかったために助けにはならず、合計5回も別の担当者に変わってもらわなければいけませんでした。
BTには部署間の障壁があり、その部署間で顧客をたらい回しにしていることがみてすぐわかりました。BT Businessは私に単一のパッケージを売ったのですが、実際には別々の部署からさまざまな製品を購入していたのです。BTが私に組織の複雑さを隠し通せていればそれで良かったのですが、そうではありませんでした。
私はあるチームから別のチームに担当を変わられただけでなく、新しい人と話すたびにセキュリティチェックも通過しなければなりませんでした。それにはこういった情報が含まれていました:
名前
会社名
会社の住所
電話番号
そのあと、本人確認するために認証番号を電話に送ってきました。私は最近、銀行から26,000ポンドのローンを借りたのですが、それですらここまでのセキュリティーチェックは必要ありませんでした!
もちろん、私を絶えずたらい回しにすることは、私が間違った番号に電話をかけ続けたという可能性もあります。しかし、問い合わせ内容に応じて、とんでもない数の番号があり、単純にどこに電話をしたらいいのかわかりませんでした。以前契約していたプロバイダは1つの番号しかありませんでしたが、私はこの選択肢の数に圧倒されました。
どのような大企業にも多くの従業員がいることはわかっています。ただし、きちんとシステムが設計されていれば、顧客を適切な担当者につなげることができます。残念ながら、BTの電話対応はうまく設計されていませんでした。
BT Businessが私たちに教えてくれる教訓
もう1度繰り返します。BT Businessでの私の経験から学ぶことができる教訓があります。
たとえ部署間を超える必要があったとしても、担当者は顧客をサポートする権限と自主性をもたなければなりません。
もっとも重要なのは、組織の複雑さをユーザーから隠す必要があることです。つまり、個別の部署とプロセスを統合しながら、顧客に単一の窓口を提供するということです。
提供しているテクノロジーはあくまでも人間中心であることを理解すること
BTに電話をかけると、電話内容について自分の言葉で説明するように求める自動メッセージで応対されます。多くの電話では、私の言いたいことを理解してくれることはほとんどなく、適切な担当者につないでくれることはありませんでした。一度もです。
あれはテクノロジーのためのテクノロジーでした。理論的には素晴らしく聞こえ、より自然な顧客体験を提供することは間違いないですが、現実は最悪でした。
ただし、この電話システムは技術的な欠点のほんの一例です。すでに述べたように、ライブチャットはたまにしか機能せず、セキュリティのため、新しい人と話すたびに再認証する必要がありました。
また、BTはあるシステムまたはその他のサインインを指示するメールを私に送ってきました。試してみたところ、アカウントがまだアクティブではなかったため、アクセスできないことがわかりました。さらにそのあとの電話で数日待たないといけないと言われました。だったらそもそもなぜ私はメールを受け取ったのでしょうか?
最後に、BT Businessアプリというひどいアプリがありました。アプリのひどいUIを別にしても、単純に使えませんでした。
画面にはつねに「エラーが発生しました」と出ており、注文内容以外のものが表示されませんでした。この内容には、納品予定などの必要な情報が不足していました! ヘルプをクリックすると、ライブチャットに推移し、アプリに既に入っていて自動的に表示できるであろうデータの再入力を要求されました。
BT Businessが私たちに教えてくれる教訓
この技術的な大惨事からなにが学べるでしょうか?
まず、テクノロジーをローンチしてそのまま立ち去ることはできません。電話システムやアプリのようなものは、問題を特定して顧客体験を最適化するために、ローンチ後のモニタリングを必要とします。
次に、企業は新しくてキラキラしているからという理由だけで、テクノロジーに投資するのをやめないといけません。多くの場合、組織はユーザーのニーズではなくテクノロジーから始めようとします。そうするとそれが役に立つよりも、イライラする非効率的なアプリや電話システムのようになるからです。
最後に、ユーザーがデータを再入力する必要がないように、これらの技術プラットフォームを統合することが不可欠です。
ミスの代償
この投稿がBT Businessの出費に対する怒りのように聞こえることをわかっています。そうでないふりはしません。しかし、これはただ単に私が一番最初の問題について不満を述べているのではないのです。BT Businessでの酷い経験は私を苛立たせているだけではなく、実際に対応のためのコストが生じているのです。
私がBT Businessに電話をかけるたびに、おそらく約3ポンドかかります。さらに、私がいまや支払いを拒否しているルーターやその他の機器を送ってもらうのにも費用がかかります。
そもそも、契約のキャンセルに関するさまざまな管理コストも発生します。言うまでもなく最初に契約するときにもです。
最後に、BT Businessの評判への影響があります。私たちはいま、不満を抱えている1人の顧客がブランドに大きな影響を与えられる世界に住んでいます。このような投稿(および関連するソーシャルメディアの更新)により、人々がBT Businessの契約をしなくなり、販売コストが増加し、競争力が損なわれる可能性があります。
要するに、ひどい顧客体験は、ユーザーにとって苛立たしいだけではありません。良くない顧客体験も企業に損害を与えます。これにより、小規模でより機敏で顧客に優しい企業に取って代わられる可能性が高まるでしょう。