悪質なモバイル広告との戦い

Lior Levy

LiorはAppseeのインバウンド・マーケティング・マネジャー。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

The Good, The Bad, And The Ad: How To Deal With Bad Mobile Ads

モバイルでの広告は多くのアプリのマネタイズ戦略の一部となっています。しかし、モバイルにおける広告にはいいものもあれば悪いものもあります。あなたがもしアプリの提供者ならば、「広告がひどい」と文句をいっている次のようなレビューには出くわしたくないでしょう。

出典:Google Play Store

出典:Apple App Store

そもそも、このような「悪い」モバイル広告がどうしてアプリに入り込んでいるのでしょうか。問題は、あまりにも多くのアプリ提供者が、ユーザーのニーズよりも自分たちのビジネスニーズを優先するという罪を犯していることにあります。マネタイズ戦略がうまく行くのは、ユーザーがリピーターとなった場合のみです。アプリ全体のデザインは完璧であったとしても、「悪い」広告、あるいはあまりの広告の多さによってユーザーが離れていってしまうのです。

ユーザー離れについてのSOOMLAのレポートによれば、ある広告を1000回表示するたびに8人のユーザー離れがおこったといいます。たとえば次のレビューでは、ゲーム自体は「面白い」のですが、あまりに広告が多すぎるため、そのアプリを不名誉なニックネームで呼ぶことにしたといっています。

出典:Apple App Store

別の App Store のレビュアーは、最近リリースされたこれと似たゲームを、一言で次のように評しています。

出典:Apple App Store

さらに悪いことに、あなたのアプリが悪質な広告をユーザーにみせてしまったとしても、あなたはそれに気づくことさえできません。先ほどのようなレビューが掲載されて始めて知ることになるのです。

だからこそアプリの提供者は、あなたのモバイル広告の質や表示場所、内容を絶えず監視しておかなければなりません。これらは、アプリのUXはもちろん、ユーザーのエンゲージメントやリテンションにもダイレクトに影響を及ぼします。

そこであなたの使命となるのが、マネタイズというあなたのニーズと、あなたのアプリがユーザーに提供しているさまざまな価値についてのユーザーのニーズとの間で、健全なバランスを維持していくことです。

この記事では、ユーザーが求めている素晴らしい体験を提供しつつ、アプリからの収入をいかにしてしっかりと確保するかという点について議論していきたいと思います。広告の質と広告の量、および広告がアプリのUXに与える影響についてお話しします。それに加え、さまざまなタイプの悪質なモバイル広告を、ユーザーが目にするよりも前に、検知するための方法についてもいくつか紹介します。

そもそもなぜモバイル広告が必要なのか

売り上げ上位にあるほとんどのアプリを含め、今日(こんにち)のアプリの90%以上は無料アプリです。この無料アプリに費やすお金はどこからくるのでしょうか。そのためにアプリのマネタイズ戦略があるのです。

マネタイズに関しては、アプリ提供者はさまざまな方法があります。少し考えるだけでも、有料ダウンロードという方法や、フリーミアムという方法、それからもちろん、あの広大で素晴らしいモバイル広告という方法もあります。

多くのアプリ提供者にとってモバイル広告は魅力的な選択肢です。ユーザーには無料で提供しつつ、その一方で収入を短期間で得ることができるのですから。彼らは運用型広告と呼ばれる有名な、ときには悪名のこともありますが、アドテクノロジーを使っています。これは、メディア購入プロセスを自動化し、もっとも関連性の高い広告を、もっとも関連性の高いユーザーに対して、もっとも効果的なタイミングで表示するために蓄積されたユーザーデータを使います。

モバイルアプリの広告の仕組みはどうなっているのでしょうか? まずあなたは、アプリの提供者(あなた)と広告主を仲介する広告ネットワークを選びます。次に、どのような形で表示するかという広告フォーマットを選択します。そして、ユーザーのどのようなアクションに対して報酬が得られるのか、というプライシングモデルを選びます。たとえば、ユーザーが広告をみたら、ユーザーが広告をタップしたら、ユーザーが成約に至ったら、といったアクションが代表的です。

バナーから動画まで、さまざまなモバイル広告の形

モバイル広告はいくつかのタイプから選ぶことができ、業種によって違う種類が選ばれる傾向にあるようです。

  • バナー広告はアプリの各画面の端に表示されます。
  • インタースティシャル広告は画面全体に表示されます。多くの場合はユーザージャーニーの中の自然な画面移行の間に表示されます(たとえば、ゲームのレベルが上がったときなど)
  • 動画広告もユーザーの画面全体を覆います。広告をスキップするための「閉じる」ボタンがあることが多いです。
  • 報酬つきの動画広告も同じですが、動画をスキップせずに最後までみると、ユーザーはアプリ内の報酬がもらえます。

さまざまなモバイル広告の形式(出典:One Audience

なぜモバイル広告に見守りが必要なのか?

アプリ提供者が一切手を動かさなくても、運用型広告が勝手にその魔法を使ってくれるので簡単です。ただ残念ながら、広告ネットワークに参加することはマネタイズプロセスの第1歩にしか過ぎません。ネットワークにはあなたのように、ビジネスを成功させたいと思っている正直な広告主が多い一方で、中にはあなたやあなたのユーザーからてっとり早く儲けを得ようと企んでいるしている悪い人たちもいます。そのような人たちは広告ネットワークのオペレーターの目をすり抜け、質の低い、倫理的でない、あるいは不適切な広告をあなたのアプリにもち込みます。一連のプロセスの中でユーザーを失うことなく、モバイル広告の有効性を保っていくためには、モバイル広告をモニタリングし、必要に応じて修正をしていく必要があります。

アプリストアは、悪質なモバイル広告を排除しようと懸命に努力しています。2018年にはGoogleが150万個のアプリから悪質な広告を削除しました。ですが、彼らの努力によってこれらが撲滅されるには長い時間がかかるでしょう。結局、悪質な広告を排除する責任は、アプリ提供者であるあなたにあるのです。

アプリ提供者がアプリ上のモバイル広告の監視を怠れば、悪質な広告が入り込んできます。そうなればユーザー体験が悪化し、多くのユーザーを怒らせることになります。ユーザーが表示される広告に本当に我慢できなくなったら、アプリストアにかけこんで、手厳しいレビューを書き込んだり、競合のアプリをダウンロードするでしょう。このようなユーザーの反応を避けるために、あなたが戦うことになる悪質な広告をタイプ別にみてみましょう。

出典:Google Play Store

悪質なモバイル広告の4つのタイプを通して敵を知ろう

技術的な欠陥のある広告

出典:Appsee


技術的な欠陥のある広告とは、技術上の問題によってユーザー体験を損ない、典型的なところではユーザーにそのアプリを終了あるいは強制終了させることになります。技術的な欠陥のある広告の例として、「閉じる」ボタンがない広告は、ユーザージャーニーを完全に途中で途絶えさせてしまいます。また別の例では「閉じる」ボタンが機能しないことによって、ジェスチャに反応しなくなりユーザーをイライラさせることになります。

誤解させようとする広告

出典:Appsee


誤解させようとする広告は、技術的な欠陥のある広告のようにみえるかもしれません。たとえば「閉じる」ボタンが機能しない広告です。しかし今度は欠陥ではなく、機能としてそうなっているのです。こうした広告は意図的にユーザーを騙し、広告をタップさせようとしています。実際にはあるサービスに自動的に登録するボタンであるのに、スマートフォンがウィルスに感染しているというメッセージを表示したり、広告を閉じるボタンだと勘違いしそうな紛らわしいボタンを配置したりして、ユーザーがなにか別のことを行っているかのように思いこませて押させようとするのです。

低品質の広告

出典:Appsee


低品質の広告とは、たとえば解像度やサイズが不適切であるなど、ユーザーに正しく表示されない広告です。これはしばしばAndroidの画面サイズの細分化が原因であったり、あるいはユーザーが使用している画面の向きにも影響を受けるかもしれません。低品質の広告があるとユーザー体験が洗練されていないように感じられ、コンバージョン率にも影響を与える可能性があります。

不快な広告

出典:Appsee


不快な広告の場合、技術的な問題はありませんが、内容と表示される場所に問題があります。「不快」に感じるかどうかはユーザー次第です。ユーザーは、その人の個人的な要因によってあるコンテンツを不快に感じ、それを避けるためにすぐにアプリをアンインストールするでしょう。子ども向けのアプリであれば、たとえばアダルトコンテンツを含めるべきではありません。また、あなたが健康・フィットネスのアプリをもっているのであれば、ファストフード店の広告はブラックリストに入れたいと思うかも知れません。

アプリの中の悪質なモバイル広告という獲物を狩る方法

あなたのアプリに入り込む悪質な広告を発見し、悪いレビューが書かれる前に問題に対処するために、役に立つ手法のツールボックスを紹介します。

セッションの記録から、広告がユーザーにどう影響を与えているかを確認する

ユーザーセッション記録の例(出典:Appsee

ユーザーがどの広告をタップしたのか、広告が何回表示されたかについては簡単にデータを得ることができますが、その数字だけでは実際の広告についてのユーザー体験はまったくわからないでしょう。モバイル広告のUXを理解するためには、セッションの記録が必要なのです。ユーザーのセッションの記録を使うことによって、個別のユーザーのセッションを動画でリプレイし、1つ1つの操作を実況しながら分析することで、あなたのユーザーがみてインタラクションしたのと同じように、アプリをみることができます。このようにわかりやすいリアルタイムの可視化を行うことで、365Scoresのようなアプリ提供者が悪質な広告を積極的にみつけだすためのモニタリング可能になります。

セッションの記録を使って、どのような悪質な広告をみつけ出すことができるのでしょうか?

  • 場所やタイミングが悪質な広告。たとえば、ゲームのレベルの合間ではなく、ゲームの最中に表示されるインタースティシャル広告など、ユーザージャーニーを中断させる広告です。
  • ユーザーがゲームを止めてしまう広告。ユーザーが突然終了しているということは、不快な広告、誤解させようとする広告、あるいは技術的に問題のある広告の存在を示唆しているかもしれません。

タッチヒートマップを使って、悪質なモバイル広告をみつけだす

タッチヒートマップの例(出典:Appsee


先に述べたように、悪質なモバイル広告は低い解像度やおかしなサイジング、不適切なボタン配置やリンク切れなど、UIデザインによくみられる病を患っています。こうした問題を突き止めるのは簡単ではありません。タッチヒートマップを使えば、アプリのそれぞれの画面の上に、ひと目でわかるインタラクションのマップを重ね合わせることで、全画面表示される悪質な広告に対処することができます。特定のタイプのインタラクション(最初の動作、最後の動作、反応が起きなかった動作など)に絞ってヒートマップを表示すれば、悪質なモバイル広告を簡単に監視することができるでしょう。

タッチヒートマップを使うと、次のような広告をみつけ出すことができます。

  • 技術的な欠陥のある広告。ヒートマップに反応を示さない動作が多数みつかれば、ボタンが欠けていたり、不適切な場所に置かれていたり、壊れているリンクに誘導するような広告を簡単に特定することができます。
  • 低品質の広告。ヒートマップはユーザーがみている広告を正確に表示するので、解像度が低かったりサイズが不適切だったりというユーザーを解約に誘導してしまう問題を特定することができます。

広告詐欺コンソールを使って、悪質な広告のプロバイダーを排除する

詐欺検知ツールの例(出典:Kochava’s Fraud Console


広告詐欺は、マネタイズのためのモバイル広告を選んだアプリ提供者なら誰もが直面する問題です。そしてAdjustのレポートによれば、この問題は依然として改善がみられません。ありがたいことに、主要なマネタイズツールのほとんどには、詐欺防止機能が備えられています。広告詐欺防止ツールは、あなたのアプリにおける広告キャンペーンから得られたデータを分析し、高すぎる指標の値や匿名でのインストールなどの異常な活動を検知します。そうして、ユーザーの安全を脅かすような問題のある広告を排除するのです。

おまけのヒント。Better Ads Standardsに則っていい広告フォーマットを選ぶ


Coalition for Better Adsは、広告ブロッカーが広まっている流れの中で、広告のUXデザインの向上を目的として設立されました。Better Ads Standardsは彼らが実施した66,000もの消費者を対象としたリサーチの成果です。この基準に照らすことで、少なくともユーザーがどの広告フォーマットを好むのかわかります。BetterAds StandardsはデスクトップおよびモバイルのWebサイトにフォーカスしていますが、その知見はモバイルアプリにも適用できるでしょう。

多すぎるモバイル広告は、悪質なモバイル広告なのか?

出典:Apple App Store

広告の質を高く保つ方法についてみてきましたので、広告の量を低く維持することについて話しましょう。もちろん、アプリはあなたに収入を生み出さなければなりません。しかし上記のネガティブなレビューにもあるように、ユーザーが広告そのもの以上に嫌っているのは「多すぎる広告」なのです。次から次へと広告を積み重ねてしまうと、ユーザージャーニーを中断させ、ユーザー体験が悪化し、アプリは使われなくなってしまうのです。

ではどのくらいの量が適当なのでしょうか。これについては正解があるわけではないので、トライアンドエラーが必要です。Google AdMobによる記事では、インタスティシャル広告の表示頻度についてベストプラクティスを紹介しています。まずは少ないところから始めて、最適な量がみつかるまで注意深く頻度を上げてみましょう。どこで止めるべきはかは、そう、セッションの記録からわかるはずです。

まとめ

どの広告ネットワークやどの運用型広告プロバイダーを選んだとしても、悪質なモバイル広告はあなたのアプリに入り込んでくるでしょう。結局のところ、アプリは自分の子どものようなものです。子どもが散らかしたら、片づけるのは親です。悪質なモバイル広告が厄介なのは、いつでもすぐに気づけるものではないということであり、それと同時に、ユーザーが離れてしまったり、解約されたり、否定的なレビューを書かれてしまったりすることにつながるということです。

あなたに使えるのは、ユーザーセッション記録、タッチヒートマップ、詐欺防止ツールなど、悪質な広告と戦うためのいくつかのユーザビリティのツールだけです。しかし、その仕事には終わりが無いということを覚えておいてください。これらのツールを本当に役立てたいなら、日常的にこれらのツールを利用して、実際にユーザーへの影響が出る前に悪質な広告をみつけ出すことです。


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