モバイルの情報設計で気にすべきこととは

Interaction Design Foundation

Interaction Design Foundationはグローバルにデザインレベルの向上を目指す、デンマーク発の非営利団体です。

この記事はInteraction Design Foundationからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

The Heart of the Matter, Information Architecture in the Mobile Age

多くのユーザー体験の中心となる要素はコンテンツです。では、モバイルのユーザー体験を考えるときにはどのように変えればよいでしょうか。プラットフォーム毎にコンテンツをリライトしますか? あるいは、どのようなプラットフォームにも通用するようなコンテンツをつくるためにまた別の戦略が必要なのでしょうか? モバイル上でコンテンツを扱うことは面倒な作業ではありませんが、きちんと計画を立てなくてはいけません。

大まかに言えば、モバイル環境向けの情報設計の方法は、デスクトップ向けの情報設計とよく似ています。事実、使うアプローチはほとんど同じですが、実際に行うときにはいくつか念頭に置くべき重要なことがあります。

  • モバイルプラットフォームにとって重要なことを盛り込む - つまり、スマートフォンを使っているユーザーにとって重要なことにフォーカスしなければならないということです。だからと言って、ユーザーが移動中に、あるいは路上であなたのアプリを使わなければならないというわけではありません。そうではなく、ユーザーにとって価値のあるコンテンツにフォーカスし、モバイルに表示するコンテンツのデータ量を削減しましょう。
  • コンテンツはモバイル向けにする - デスクトップの場合と比べて、より小さく、シンプルで、扱いやすくします。使えるスクリーンの面積が限られていることで、大きなモニターではなくモバイルで見る場合には大容量のコンテンツはもっとわかりにくくなります。
  • ナビゲーションをシンプルにする - つまり、メニューの選択肢の数を制限して、ユーザーにとって重要なものだけにするということです。

モバイル向けの情報設計で気にすべきこと

そのプロセスもシンプルなものになります。

クリックの手間を考える

あなたは情報設計の優先度を決めて、もっともポピュラーなコンテンツにたどり着くためのクリック回数を最小限にしたいと思うでしょう。比較的ポピュラーでないコンテンツはそういう意味でもっと遠くても構いませんが、遠すぎてはいけません。ユーザーはロード時間が長いせいでデスクトップ向けのWebサイトを見切ってしまうかもしれませんが、モバイル向けのWebサイトでも同じように、ユーザーがいちばんみたいコンテンツにたどり着くまでにいくつもの画面を読み込んで待たされてしまえば、やはり見切ってしまうのです。

タスクの中で起こるプロセスをはっきりと説明しておけば、ユーザーがクリックの手間によって覚えるフラストレーションの程度を抑えることができます。つまり、クリックの前に、クリックすることで起こることに対するユーザーの期待を限定しておくのです。

シンプルにしておく(KISSの法則) 

デザインの世界ではよく言われることですが、もちろんモバイル向けの情報設計も例外ではありません。個々のものがシンプルであればあるほど、体験全体における問題は少なくなります。

ですから、ユーザーの選択肢を限定しましょう。もしユーザーリサーチの結果、モバイルユーザーが興味をもたない部分がコンテンツの中にあることがわかっているなら、そのコンテンツを削除しましょう。そのコンテンツを本当にみたい人に対しては、モバイル上のデスクトップ表示でいつでもみせることができます。情報設計がシンプルであればあるほど、ユーザーがフラストレーションを感じることも少なくなります。

それから、アプリの情報設計を考えます。シンプルに掘り下げられるようにネスト構造にははっきりと、わかりやすくきちんと定義されたカテゴリを置きます。上のレベルの情報から下のレベルへの繋がりがわかるようにしてください。

そのためには、次のようなヒントが使えます。

  • 階層を最小限にする - 繰り返しますが、モバイルにおけるUXにとっては、要素はシンプルなほどよいのです。有用なデータを捨てろというわけではありませんが、目的の情報にたどり着くための掘り下げる道のりが長いほど、ユーザーは迷いやすくなるということを覚えておいてください。デスクトップの場合は5階層もあれば十分ですが、モバイルの場合はもっと少なくすべきでしょう。
  • コンテンツと階層を一致させる - 空白のページも、どこにも着かないリンクもあってはなりません。ユーザーがナビゲーションのアイテムをクリックしたら、何らかの関連するコンテンツにたどり着くようにすべきです。
  • リンクの数も必要最小限にする - 何十個もリンクを用意してユーザーを混乱させないように、表示するリンクは10個以下にします。
  • 人気によって優先順位をつける - ユーザー体験のシンプルさをコントロールするためには、「デッキ配置」が肝要です。アプリやWebサイト上の何かが人気があればあるほど、それにたどり着きやすくすることが重要になります。ですが、これは新しい機能やコンテンツの成功に影響を与える可能性があります。なぜなら、これはデッキの中の低い位置に置かれて、見つけにくくなってしまうからです。両者のバランスを注意深く保つ必要があります。
  • ナビゲーションアイテムの名前をわかりやすく、正確に付ける - これはリンクにも、メニューの選択肢にも当てはまります。非常に画面が小さい携帯電話においては非常に大事なことです。

入力デバイスのことを考える

タッチスクリーンではないスマートフォンもあります。あなたは、ナビゲーションアイテムを「タップしやすい」サイズ(最低30ピクセル)にすると同時に、タッチスクリーンを使っていないユーザーのための手軽な方法を用意しなければなりません。(ショートカットキーを用意するなら、1から10よりも0から9の方がよいです。それなら携帯電話の数字のキーと一致しますから)

作者/著作権者: Asim18. 著作権番号: CC BY 3.0

わかりやすいナビゲーションキューを用意する

モバイル端末におけるナビゲーションは、デスクトップの場合よりも複雑です。「パンくずメニュー」を目立たせましょう。もし「戻る」ボタンを使いたいなら、それを押したらどうなるかをユーザーに知らせるためにラベルを貼ります。ホームページのアイコンをわかりやすく目立たせて、ユーザーをインタラクションの始めに連れ戻せるようにしておきましょう。

結論

モバイルのための情報設計は、デスクトップのための場合と決定的に違うわけではありません。大事なことは、ユーザーのモバイル環境において何が便利なのかをリサーチすること、そして可能な限り要素をシンプルで管理しやすいものにすることです。これは、情報設計自体にも、情報設計内でユーザーを案内するためのナビゲーションにも言えることです。


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