デザイナーと仕事をする上で必要なこと

Robert Mayer

RobertはToptalのシニアプロダクトデザイナーです。

この記事はThe UX Boothからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Getting the Job Done: Working with Designers

デザイナーを管理(マネジメント)したことがある人、またはデザイナーをフリーランスのプロジェクトのために雇ったことがある人なら、すべてのプロジェクトがスムーズに進むわけではないことをご存知でしょう。これは、デザイナー側にスキルや経験が足りないことが原因ではなく、プロジェクトにおけるデザイナーの役割をきちんと管理していないことによって起こっていることが多いのです。デザイナーに対しては、スケジュールと期待される成果物を示すだけではダメなのです。問題の原因としてよくあるのは、タスクの理解不足です。つまり、マネージャー(またはクライアント)とデザイナーがシンプルに、お互いに相手に望むことをよくわかっていないということです。これは相互の不満足とまずいパフォーマンスにつながります。疑う余地のないことのように思えるでしょうが、期待するアウトプットとデザインのプロセスをあなたがはっきりと理解すれば、デザイナーにタスクを任せることはずっと簡単になるのです。

デザイナーの興味と専門性を理解する

あなたが一緒に働いているデザイナーは、どのような分野に興味をもっているのでしょうか? 彼らの最高のプロジェクト、作品はどのようなものですか? その中に必ず、その人が情熱と深い専門性をもって取り組むタスク、苦労しながらもやり遂げるタスクがあるはずです。あなたが一緒に働いているデザイナーについては、彼らのプロフィールを理解するとよいでしょう。

世の中にはジェネラリストと、もっと守備範囲は狭いけれども高度な専門性をもつデザイナーがいます。ある一定のフィールドで働きたいと思っている人は、おそらくそうでない人よりもよいパフォーマンスをするでしょう。ですが、デザイナーを雇って仕事をする場合、彼らは自分の領域外の仕事をすることを拒むかもしれません。ですから、多くのさまざまな仕事が見込まれるなら、ジェネラリストを選ぶ方がベターです。また、1つの技術を極めていながらも多くの分野に秀でている、T型のスペシャリストもいます。

一見無関係に見える複数のフィールドにおける気づきを組み合わせることで、最高のアイデアが生まれるのです。T型のデザイナーなら、そういった繋がりを作り出して、イノベーティブな作品を生み出すためのプロジェクトをリードすることができます。

コンテキスト(文脈)と背景を与える

比較的小さなタスクを解決するためだけであれば、多くの背景的な情報を提供することは無用であるようにも思えます。しかし、デザイナーはプロジェクトについて多くを知るほど、より良く問題を解決できるようになるのです。

どのようなプロジェクトにも、多くのコンテキストがあります。Webサイトのようなインタラクティブなプロダクトであれば特にそうです。プロジェクトに関する情報には、内部のものと外部のものがあります。個別のタスクや問題に直接使えるものではなくても、そのすべては周辺にあるプロセスを説明することができます。Dan Hillは「Dark Matter and Trojan Horses: Strategic design vocabulary」の中で、これを「メタ」と「マター」(作品、デザインそのもの)と呼んでいます。デザインは、メタからマターへ、そしてマターからメタへと揺れ動きます。メタ、すなわちコンテキストが変化しておらず、デザイナーが手をつけていないように見えたとしても、実はメタは、マターのレベルにおける細かい検討によって豊富な情報を与えられているのです。

Webサイトをつくっているときに、ターゲットとなるオーディエンスのニーズやペインポイントについて予期せぬ発見をしたとしましょう。これは、Webサイト自体の変更に繋がるだけではなく、会社のセールスアプローチをも変化させる可能性があります。デザイナーはユーザーリサーチを深く掘り下げ、ユーザーリサーチはステークホルダーに何らかの気づきを与えることができるのです。この双方向のコミュニケーションは、事業が大成功するための大きなチャンスです。

タスクが複雑で、不確定なときにはコンテキストが特に重要です。インタラクティブなプロダクトをデザインするときには考慮すべき重要な側面が数多くあります。デザインを行う人の能力やバックグラウンド、経験、好み、彼らが望む活動、それから彼らがデザインを行う環境や人の設定などです。タスクの要請に合うデザインをつくることはできても、コンテキストが考慮されていなければ受け入れられることはできないでしょう。

定期的なミーティングもまた、プロジェクトについての大事な情報をシェアするのはよい方法です。すでに導入されたソリューションはどのように機能しているか? いま対応している問題に関連する内容が過去に無かったか? マーケットで起こり始めている変化は無いか? これらはすべて個別の内容のように思えますが、実際は違います。デザイナーは、プロジェクトの中と外で起こっていることをつねに意識すべきです。さもなければ、意図の無いデジタルな装飾か、指示を忠実に守るだけになってしまうでしょう。

デザイナーと定期的にコミュニケーションを取る

孤立していてはデザインは生まれません。デザイナーの仕事を明確化し、インスピレーションを与え、検証するためにもっとも重要なのは、もしかしたらコミュニケーションかもしれません。有効なソリューションを作り出すためには、デザイナーは正しい質問をし、継続的に仕事の進行を調整し、トピックについて提供された情報を分析する必要があります。プロダクトマネージャーやクライアント、あるいはエンジニアといったステークホルダーがまったく関与しないデザイナーの仕事など想像できません。このコミュニケーションは、Slackのチャンネルでの短い打ち合わせや、デザインスプリントのプロセスの一部として行われるような、非常にくだけたもので構いません。

可能であればデザイナーをあなたのパートナーにして、彼らにできるだけ早く議論に参加してもらいましょう。意思決定とコンセプトの検討に参加してくれるようお願いするのです。これは、特に長期間のプロジェクトにおいて、あなたが彼らをただのパフォーマーではなく、志を同じくする仲間として捉えるという信頼関係を築くためには重要です。

これは、ビジネスにおけるイノベーションに直接的に貢献するオープンな環境をつくるための重要な要素です。そのようなチームは素早く学習し、アイデアをより容易に生み出し、そのアイデアを意欲的に実行します。また、あなたのチームに強力なデザイナーをキープすることにも役立ちます。

マイクロマネジメントへの衝動を抑える

ステークホルダーが「自分たちだけがユーザーの問題とその解決方法をよく理解している」というふうになってしまうと、デザイナーはやる気を無くしてしまいます。この場合、デザイナーは指示を実行するための単なる道具と変わらなくなってしまうのです。

Mad*PowのVPでコンテンツストラテジストであるMarli Mesibovは彼女の記事「When Designers and Stakeholders Collide」の中で次のように書いています。「最高のステークホルダーの関係性があれば、お互いの意見に耳を傾けることができます。お互いに敬意をもち、プロジェクトにフォーカスし、議論や質問ができるようになります」。

デザイナーのリーダーが若手デザイナーのタスクを管理するのであれば、マイクロマネジメントもよい考えのように思えます。若手のメンバーは多くの指導や監督を必要とするでしょうが、彼らにはタスクを達成するために自分の判断と戦略を用いる能力がなければなりません。

全員が優先事項を共有する

編集のどの部分が重要なのか、どの作業が重要なのかは、場合によって変わります。たとえば、私たちが法律学に関するプロダクトやWebサイトを扱うのであれば、細かいテキストに付される但し書きを忘れてしまうと大変なことになります。しかしデザイナーにとっては、それらの重要性はボタンの色のトーンと同じくらいのものです。

レビューと修正のためにデザインのアーティファクトを使う

「アーティファクト(副産物)」は、デザイナーが考えていることを理解するため、またタスクが正しく理解され、正しい方向に進んでいることを理解するための方法の1つです。デザインのアーティファクトはチームの全メンバーが同じ方向を向いていることを確認するために役立ちますが、エンドユーザーに見せることを想定したものではありません。カスタマージャーニーマップ、タスクフロー、スケッチなど完成品ではないものすべてがアーティファクトです。FigmaやSketchで作成中のデザインもこれに当たります。デザイナーの中には洗練されていない作品をステークホルダーやプロジェクトの関係者に見せることを嫌がる人もいるでしょうが、重大な調整を行うためには極めて重要なプロセスでしょう。

基本的に、デザインのプロセスは信頼と理解がなければ成り立ちません。デザイナーはユーザー中心のデザインプロセスに従って自分たちの専門知識を活用するために、信頼される必要があります。ステークホルダーはデザインに関する決定にもっと密接に関わり、デザイナーがプロジェクトの目的を完全に理解できるように手助けしなければならないのです。


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