ウェアラブルとUXデザイン:誰のためにデザインするのか?

Gradinar Razvan

Gradinar Razvanは、ウェブやデザイン業界で9年以上の経験を持つ、多岐の専門分野にわたるベテランデザイナーです。この間、世界中のクライアントと仕事をし、プロダクト向上と笑顔を増やす手伝いをしており、数々の受賞歴があります。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Designing A User Experience For Wearable Devices (2015-01-12)

ウェアラブルが盛り上がりつつある理由の一つとして、従来のウェブやモバイルのUXデザインとは違ったアプローチが考えられることが挙げられます。

例えば、ウェアラブルは複数のデバイス、または他の外部デバイスとのやりとりをするための仕組みのデザインが必要です。UXの形としては、WebベースのUXと従来のプロダクトのUXとの組み合わせという全く新しいものです。それはただ単に物理的なプロダクトを創ればいいということではないのです。

誰のためにデザインするのか? ― ユーザーペルソナの定義

今現在、ウェアラブルデバイスはまだ未成熟です。つまり現段階では、こういったガジェットに反応するニッチなユーザーに限定して議論ができるというわけです。テック系の製品に馴染みがあり学習の早いユーザーなので、デバイスがどう操作されるかという議論をすぐ始めることが出来ますし、こういったデバイスのUXがどこまで高度になり得るのかをイメージしやすくなります。

ウェアラブルを使うであろうユーザーは恐らく20代、30代で、年収は平均より高めな層だと推測できます。この層の人達は頭が柔軟で、新しい物好きです。スマートフォンの機種変更も少なくとも数回、したことのあるユーザーでしょう。他のテック製品の扱いにも慣れており、様々な種類のUIやジェスチャーを既に利用していると言えます。

こういったテクノロジーに精通した人達は、オンラインでかなりの時間を費やし、テクノロジー関連のニュースやガジェット、アップル、アンドロイド等についても常にネットでチェックしていて、もしかすると起業や開発、デザイン関連のサイトなども見ているかもしれません。

つまり、UIがかなり上級向けであっても、このタイプのユーザーにはあまり障害にならず、制限もほとんど必要ありません。しかし、以下に述べるように、UXのプロセスにおいて、スクリーンサイズやテクノロジー、デザインへのアプローチが非常に重要な意味を持ってきます。

現在のウェアラブルの主な機能

現在の市場では、2種類のカテゴリーがあります。アイウェア(スマートグラス)とスマートウォッチです。

大半のアイウェア系ウェアラブルの主機能はナビゲーション能力で、現在位置追跡、現地情報やルート情報、ビデオ録画や写真撮影に使われており、同時にオンライン検索も利用できます。

一方、スマートウォッチ系は、身体的な健康に関連した活動やインタラクションにもっと重点が置かれています。大抵はナビゲーション機能もついていて、音楽を聴いたり、近接距離通信(NFC)での支払いや電話などにも使われます。

アプリケーション的には、スマートウォッチの方が、スマートグラスに比べて入手できるアプリの数が多く、価格帯もお手頃です。故にスマートウォッチの方が初期段階からの利用者も多くなるでしょう。

アイウェアと比べるとウォッチの方がユーザーの行動の邪魔になることが少ないので、ウェアラブルへのアプローチも多少控えめになります。しかし、アイウェア型はもっと複雑なUIが実装できるので、複雑な次世代ウェアラブルのインタラクションができることで、より魅力的な存在になり得るかもしれません。

第一世代の製品で実際にUXデザインについて議論ができるのか?

第一世代のウェアラブルは他の第一世代の製品同様、使用できるインタラクションや機能はかなり限定されてしまいます。そのため記憶に残ったり、使いやすいといったUX をデザインするのは非常に難しくなります。しかし、できないわけではありません。もちろん、第二、第三世代製品が登場すればすぐそれらのワークフローへの統合について議論することになるでしょうが。

きっと世代を追うごとに機能は増え続け、私達ができることの境界をどんどん広げるでしょうから、これから何年かは普及率の拡大が期待されます。現在のところは、まだウェアラブルは単なる電話やタブレット代わりのアクセサリーにすぎず、ただそれらが従来製品と同じことをもっと速く簡単にできるという状態です。

これは、UXを次のレベルへ発展させるために必要不可欠な通過点です 。

近い将来に期待できるもの

時々しか使わないシンプルなタスクやアプリなど、計算機やShazamのように、結局はあまり頻繁には使わずにガラクタの山となるものがありますが 、それらはウェアラブルではもっと使えるものになるかもしれません。なぜかというと、タブレットやスマートフォンをいちいちポケットから取り出したりすることなくアクセスできるようになるからです。

こういう便利さのおかげで、ウェアラブルタイプ専用の特定な機能を持つウェブアプリが人気を呼ぶ可能性もあります。例えば、Facebookのワンクリックチェックインや、Linkedinの「あなたのプロファイルを見た人」チェック、Twitterのリアルタイム通知等がそうです。基本的な操作やインタラクションをシンプルで使いやすくしてくれます。他のタイプのインタラクションやインテグレーションでは次のようなものがあるでしょう。

・スマートウォッチを地下鉄等のチェックポイントに使い、腕をかざすだけで券購入ができるようなNFC機能。

・ボタン一押しでユーザーに番号をふり、どこのエリアにタクシーが足りないかをタクシー会社に知らせるサービス。近場のタクシーが迅速に、そして予約した順番通りに客を乗せることができ、口笛を吹いてタクシーの取り合いをすることもなくなります。

・手のひらや何かの表面に映し出して通知等を読みやすくするピコプロジェクション、またはアイウェアでの投射。

・モバイルでの支払いをより簡単にし、他のウォッチとも名刺、ビデオ、写真等が共有できるようなNFC機能。

・Apple AirplayやSpotifyなどのソフトや、互換性のあるハードウェアで、ウェアラブルを使って家庭で音楽を変えたりなどのリモコン操作機能。

・家に帰り着く頃にあわせて照明や空調などの操作を小型センサーやウェアラブルのGPS追跡、ワイヤレス通信を使って自動で行う機能。

・店舗等に入ったときにウェアラブルのスクリーンをタップするとその店のサイトを「いいね」して 、そのまま割引等の特典が受けられる機能。

・無料のWi-Fiスポットやランドマーク等があったときに点滅や振動で知らせてくれる機能。

・タブレットや携帯でチェックしたブログやニュースレターをボタン一つで自動的に購読する機能。

・ショッピングモール等の大型施設で「500歩先を左に曲がるとX店です」というような情報を正確に知らせてくれる通知機能 。同様に、駐車場で自分の車を探すなど。

・地理情報に基づいた周辺地域のお得情報通知。

・アイウェアで見ているときだけ出る時間やビデオのストリーミングと同じように、スマートフォンでのビデオ通話や録画を見ているときだけ行う機能。

・友人や家族が近づいたときに知らせてくれる通知機能。例えば、ドアを開けてあげるなど。

消費者にとっての魅力

現在、スマートフォンを使うとき、Eメールをチェックしたり、何かのお知らせを見たりするには、まずポケットに手を入れて、取り出して、それからチェックをして、またポケットに戻さなければいけませんし、せっかくチェックしても何もお知らせが入っていないこともあります。何か新しいことをするたびに、常に携帯をチェックする癖がつきます。

ウェアラブルの場合、時計ならほとんどいつも腕にしていますし、この一連の動作が完全に変わってシンプルになります。何かお知らせが入ればその時にすぐ時計等をちらっと見るだけでわかるわけです。