ウェアラブルのUXデザインで注意すべき3つのポイント+α

Gradinar Razvan

Gradinar Razvanは、ウェブやデザイン業界で9年以上の経験を持つ、多岐の専門分野にわたるベテランデザイナーです。この間、世界中のクライアントと仕事をし、プロダクト向上と笑顔を増やす手伝いをしており、数々の受賞歴があります。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Designing A User Experience For Wearable Devices (2015-01-12)

今のところ、小さいスクリーンでは複雑な操作ができないため、ウェアラブルの機能は限定されてしまっています。実際、スマートフォンでできる同じインタラクションをウェアラブルで 再現しようとすると、操作する指が邪魔をして、スクリーンが非常に見づらくなります。

そのため、スマートウォッチやスマートグラスが、携帯やタブレットなどの他のスマートデバイスと更に統合されるまでは 、シンプルなUIしかデザインすることはできません。

近い将来、他のタイプのデバイスとのインタラクションは可能でしょう。例えば、どこかの店に入ると大画面が名前付きで映し出されるなどのように、全く新しいユーザー体験を演出できます。他にも、ユーザーがデバイスを使っていてサポートが必要になったら店員が来てくれる、などのインテグレーションも可能でしょう。

しかし、今はとりあえず、ウェアラブルのデザインを考えるときに最低限気をつけるべきポイントをご紹介しましょう。

1. 使えるものにすること

まず、ウェアラブルとはすなわちユーザーが扱うディスプレイが小さくなるということを理解する必要があります。Google Glassがもし両目で同時に見られる機能になったらどうなるでしょうか。視界を妨げ、歩き回ることが難しくなり、事故の危険が増すことになります。

スマートウォッチでも同じです。スクリーンサイズは小さく、ウェアラブルの操作は少数に限られ、それに加えてユーザーの既に行っている活動にも左右されます。それが歩きやランニングであっても 、横になっていても、座っているにしてもです。故に、これらの操作はながら操作であることを念頭におかなければなりません。例えば、ジョギングをしていれば、ウォッチは常に小刻みに動いていますので、小さなUIに複数行の文章は非常に見づらいものとなります。

2. コア機能にのみフォーカスする

そこで次に気をつけなければならないのは、複雑性です。ユーザーは常に操作しづらい状況にありますから、スクリーンにあまり多くの要素を盛り込むことはできません。また、視力の悪いユーザーにとってはさらに見づらくなることも覚えておかなければなりませんので、複雑なアプリをデザインする場合はスワイプで複数のスクリーンを行き来できるようにする必要があります。これはつまり、原則としてシンプルで大きなUI要素で代表されるコアな機能に絞っていくことを意味します。こうした戦略があれば、シンプルさと使いやすさを確保し、ユーザーの大多数にとって使えるアプリにすることができるのです。

3. ウェアラブルはデバイスのアクセサリーとして見る

第二世代や第三世代のウェアラブルが発売されれば、スマートフォンやタブレット、パソコン、スマートウォッチ、アイウェア等他の様々なスマートデバイスとのインタラクションがもっと見られるようになります。つまり、この先スマートフォンやタブレット用のアプリをデザインする際には、ウェアラブルをアプリの補助インプットやその他の二次的な利用手段として検討する機会が増えるでしょう 。あなたのアプリのコアの機能をより速く実行できるデバイスとして考えるのはもちろん、どのデバイスでトリガーしてどのデバイスでどう表示するかなども同時に考えていかなければいけません。これを直感的に理解できる面白いものにできるか否かで、クライアントのUXの良し悪しが決まってくるのです。

Apple WatchとApple Payがこの先どう使われるか

現在のスマートデバイスと比較して、ウェアラブルでのユーザーインタラクションがどう変わるかということをもっとわかりやすくするために、いくつか簡単な例を挙げます。いかにウェアラブルをアクセスしやすく、直感的なユーザー体験として提供できるかを可視化してみましょう。

1. ユーザーが入店します

2. ウェアラブルで「Peterさん、こんにちは、いらっしゃいませ!」というメッセージを受け取ります

3. 例えば、Apple Payが5回目の入店だということを記憶できることとします。お得意様用の割引特典やノート型PCが今セール中というお得情報などが通知されます(ユーザーの過去の購入履歴から自動的にカスタマイズされた通知)

4. ユーザーが通知されたセール品を買い物かごに入れたり割引を受けたりします。これが情報通知による最初のインタラクションです

5. レジで買い物の合計金額が出ると、ユーザーはウェアラブルで支払いをするかどうかを聞かれます。他のデバイスとのインタラクションと、位置情報の伴った確認がなされる2つ目のインタラクションです

6. ユーザーが「はい」を選択、決定すると、レシートがクラウド上のAppleの「ウォレット(財布)」に送られ、それが次にユーザーのiPhoneやiPad、その他アップル製品に転送されます。このように、管理が一括で行われて無駄な書類、時間と手間を節約し、エコフレンドリーなソリューションになります。上述の利点以外にも、ユーザーはレシートが出るのを待ったり、直接受け取って紛失してしまうリスクがないので、はるかに良いUXとなります

このようにして、全てのレシートが一箇所に自動的に集められるので、ユーザーは購入履歴を追跡でき、税金申告や個人の予算管理などが楽になります。予算管理という面では、ユーザーは未来の購入においても割引を受けたりと更に節約ができます。

こういうタイプのデータをスマートフォンやタブレットにまとめられると、結果としてスマートウォッチのスペースの節約になり、また現在のスマートデバイスの高度な操作や大きな画面での快適なブラウジングという利点も維持できます。また、データの追跡によってお得な情報のお知らせをするのにも使え、ユーザーがその店に行くきっかけ作りになります。

ここに挙げたのは、ウェアラブルのデザインを考える際に、典型的なUXがどう向上され得るかという簡単な例です。架空ではあるものの、この例で描いたのは、スマートウォッチやスマートグラスの活用で複数のデバイス間のギャップを埋める、「調和」のインタラクションです。ウェアラブルがスピーディーなインプットとして使われつつ、主なプロセスは従来のスマートデバイスで続けて行われています。

こうしたアプローチは、わざわざポケットやカバンから携帯やタブレットを取り出すという手間なしに、コアの機能をより速く使えるようにしてくれます。

未来のUXへの影響

スマートデバイスの登場で、ユーザーがスクロールする機会が増えたのは間違いないでしょう。かつてはスクロールしないで見られるAbove the Fold(ファーストビュー、ワンブラウズなどとも言われる)エリアにいかに内容を詰め込むかと躍起になっていましたが、近年は1ページで構成されたシングルウェブページが流行しており、状況は変わっています。

これはスマートフォンやタブレットの影響もありますし、ユーザーがウェブに慣れてきたことも大きく起因するでしょう。縦スクロールやジェスチャーなどのインタラクションを普及させたという点で、これらのデバイスがユーザーのサイト認識に大きなインパクトを与えたのは確かです。

新しいテクノロジーの登場で、今度は横方向にレイアウトされたナビゲーションに、ユーザーが慣れていくことも考えられるのかもしれません。

最後に

スマートウォッチは確実に生き残ります。メインストリームとなり、インタラクションを次の次元に推し進めるような機能付きのものが登場するまでにはまだ時間がかかるでしょうが、そこまで辿り着けば、デジタルと現実のギャップを橋渡ししてくれるような、全く新しいUXを体験できるようになるでしょう。

最後にモバイルUXデザイナー向けに、次のような面白い課題を用意しました。

・他のデバイスとのインタラクションとUI: これまでと同じレイアウトや操作を維持しますか? デバイス間の一貫したUXを維持するために敢えて変えないという選択肢もあるでしょう。または、ユーザーにスマートデバイスとウェアラブルの両方をインタラクトすることを求めますか?

・ユーザーの活動: 寝ているとき、座っているとき、歩いているとき、走ったり、運動をしているとき

・ユーザーの環境:例えば地下鉄やジム、喫茶店、図書館など。何かのお知らせを受け取るときに、点滅や振動や音などの合図を提供しますか? 見たり聞いたりが難しい人混みでは、何を選びますか? 電話と似たような合図にしますか、それとも、ウェアラブル用の合図を限定しますか?

UXデザイナーがこれらのデバイスのデザインをするときに考えなければならない課題です。一つ確かなのは、ウェアラブルは私達とともにあり、未来は明るいということです!