【UXの迷信】本来の意図とは違うプロダクトの使われ方で生まれるイノベーション

Zoltán Kollin

Zoltánはウェブアプリケーションやインターネットを愛してやまない、Mito(ブダペストの広告代理店)のUXデザイナーです。

この記事はUX Mythsからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

Myth #24: People always use your product the way you imagined they would

プロダクトはユーザーのニーズを満たすためにデザインされます。しかし、それが必ずしも本来の用途で使われるとは限りません。

大抵の場合、ユーザーはプロダクトがどのように機能するかなど気にしませんし、理解もしていません。そして、自分なりの使い道を見つけると、その方法で使い続けるのです。

例えば、多くの人はURLを入力するとき、ブラウザのアドレスバーを使用せず、Googleの検索バーに打ち込むと言われています。

作り手は自らのデザインが自分の意図した通りに受け入れられると考えるのはやめるべきです。ユーザーの本当のニーズを明確にしたり革新的なアイデアを得るために、プロダクトが実際にどのように使われているかというフィードバックを常に集めましょう。

作り手が意図しなかったがイノベーションに繋がった例

Twitter

Twitterは当初、ユーザーが自分の行動を簡単に投稿できることを目的としていました。しかしユーザーはすぐに、Twitterがリンクやアイデアの共有に長けていることに気が付いたのです。

開発者はこれに気付き、インターフェースの質問文を「今何してる?」というものから「今どうしてる?」という文に変えました同じことはFacebookでも起こりました。ステータスアップデートの文章が、「今何してる?」から「今どんな気持ち?」へと変更されたのです。

SMS

SMSメッセージは元々、携帯電話会社がネットワークの問題を消費者に伝えるために開発されたものでした。それゆえ、SMSが他者にメッセージを送るために使われることになるとは予想だにされていなかったのです。

しかし人々はこのコミュニケーションツールの本質を自分達で見出し、仲間内でテストを始めました。SMSが急速に普及したことは、携帯電話会社にとってはかなりの衝撃だったため、当初ほとんどの接続サービス会社はSMSのための料金システムを構築することができなかったのです。

Kleenex(ティッシュ)

1924年に販売されたKleenexは、元々はメイクを落とすための使い捨てフェイスタオルとして世に出ました。ところが2年後にメーカーが消費者のフィードバックに基づき調査を行ったところ、大多数の消費者が鼻をかむための使い捨てハンカチとしてKleenexを使っていることが分かったのです。その後Kleenexをハンカチとして宣伝するようになると、売り上げは2倍に跳ね上がりました。

Mac Mini

Mac Miniは、当初は消費者がより手軽な価格でMacへ移行できるようにとAppleが販売した、いわば廉価版のような立ち位置でした。また、Appleは家庭内のメディアセンターとしての役割を持つ機器としてApple TVを売り出しました。

しかし、多くの消費者がMac Miniを購入したのは、デスクトップPCとしてではなくメディアセンターとしてそれを使うためでした。会社はこの事実をすぐに把握し、今ではMac Miniには薄型テレビに接続しやすくするためにHDMI端子が備え付けられるようになっています。

Google Chrome

Web分析学のレポートでは、多くのユーザーがURLをアドレスバーではなく検索エンジンに入力するという事実を指摘していますが、これはカーソルがはじめから検索エンジンにあることが主な原因となっています。こういった方法でもWebサイトにたどり着くことはできるので、ユーザーはこのようなやり方を効率的だと考えるのです。

Googleはユーザーのこの現象をよく理解し、その上でGoogle Chromeにおいて検索エンジンとアドレスバーを1つのOmniboxに統合しました。

ハッシュタグ

Twitterのハッシュタグは、ツイートに#マークの付いたタグがあった方がいいと提案した個人ユーザーが開発したものです。Twitterではコンテンツの分類やジャンル分けが存在しなかったため、ハッシュタグはユーザーに広まり、ツイートにより意味合いが付加され、見つけやすくなりました。

ハザードランプ

ハザードランプは本来、運転手が緊急事態を知らせるためのものとして開発された機能です。しかし実際は、多くの国で他の運転手に感謝の意を伝える礼儀として使われているのが現状です。そして昨今のハザードランプは、ほとんどの車種において、運転中に操作しやすい位置にスイッチがあります。

作り手の意図しない用途で使われる場合

  • 人は、終わらせなければならない課題があるとき、無意識のうちに自分が知っている方法を使って解決しようとします。それが課題の解決に不適切な場合においてもです。
  • 使い方に関する情報が不十分であったり、それを簡単に調べられなかったりした場合には、プロダクトが正しく使われないことが多くなります。
  • ひとたび何かが目的のために機能すれば、その使い方が間違っていようと、人はそれを使い続けます。
  • こういった間違った使い方は、いいことなのです。なぜなら、全ての顧客がプロダクトを『正しく』使用したなら、私たちはそれ以上なにも学べることがなくなってしまうからです。

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