アイコンのみのUIでは記憶に残りにくく、非効率な場合が多いということを多くの研究者が証明しています。MicrosoftのOutlookのツールバーが良い例です。昔のアイコンだけのツールバーはユーザビリティが低く、アイコンそのものや位置を変えても大して改善されませんでした。しかしアイコンの横に文字ラベルを付けると状況は好転しました。ユーザビリティの問題はすぐに改善され、ツールバーのユーザーも増えたのです。他の研究では、ユーザーがグラフィックの外見よりもボタンの位置の方をよく覚えていることがUIEのチームによって観察されました。
ほとんどのプロジェクトにおいて、アイコンを適切な形でデザインするのは非常に難しく、何回ものテストが必要です。要するに、アイコンがうまく機能することは多くはないということです。
アイコンのユーザビリティに関する研究結果と記事
・UIEは、人間がアイコンをどう使うかを見るために2つの実験を行いました。まず、ツールバーのアイコンの位置は変えずに、絵のみを変えてみました。その結果、被験者はすばやくこの変化に順応しました。次に絵は変えずに位置を入れ替えて実験すると、被験者は混乱して多くの問題が起こったのです ― Orbitz Can’t Get A Date
・Michael Zuschlagはこう言います「アイコンによって文字ラベルだけの時より項目が見つけやすくなるといった話は、意外なことに必ずしも真実ではないのです。アイコンは価値のあるものではありません」(1999年のWiedenbeck S によるThe use of icons and labels in an end user application program: an empirical study of learning and retention, Behaviour & Information Technology, 18(2), p68-82、また、UX Exchangeで彼のほかの意見もご参照ください)
・次は、Microsoft Outlookのツールバーに関する話です。ラベルがアイコンに加えられるまで、一般的なユーザーは全くツールバーのボタンを使用しませんでした(削除のアイコンだけは別として)。そして、「様々な修正がなされました。アイコンを新しくしたり、修正を加えたり、コマンドが出るメニューの下にアイコンを置いたりといったものです。そして最後に、一つの変更が大きな転換を引き起こしました。ツールバーの重要なボタンにラベルを付けたのです。その途端ツールバーは大きなヒットとなり、スキルレベルにかかわらずあらゆる人が利用するようになりました」― The Importance Of Labels
・ユーザーは過去の経験に基づいてアイコンを解釈しています。ほとんどのアイコンには基準となる使い方が無いため、アイコンの意味をユーザーに伝えて曖昧さを回避する文字ラベルが必要なのです ― Icon Usability
・文字通りの「管理」などありません。つまり、アイコンと文字ラベルの分かりやすさを比べれば、絶対に文字ラベルの方がアイコンに勝るのです ― Labels always win.
・「疑問に思った時はこれを思い出してください。『最も適したアイコンは、文字ラベルだ(the best icon is a text label.)』」
・The Problem With Iconsという記事では、横に文字ラベルが無い状態でアイコンの意味を理解することがどれほど難しいかを示す良い例を挙げています。
・37signalsは、AppleのMobileMeサービスがログアウトのアイコンを電源ボタンのアイコンから「ログアウト」と記した文字ラベルに変更したことを称賛しました ― UI Sighting: Clear over clever on MobileMe
・Peter Steen H∅genhaugはテストを行い、人がCMSエディターをどう理解しているかを確かめました。その結果、広く使われている「リンクを挿入」というアイコンは35%の人しか理解できず、古典的なアイコンの「取り消し」と「やり直し」でさえも、被験者の半分しか理解していませんでした。
アイコンが価値を発揮する場面
・普遍的に理解されているアイコンはうまく機能します(プリント、閉じる、再生/一時停止、返信、ツイート、facebookの共有など)。
・アイコンは、Webページを構成する箇条書きの役割を担います(PDFやDOCといったファイル形式のアイコンなど)。
・アイコンが良いものであれば、Webページがより見やすくなります。