90年代半ばはまだユーザーはスクロールすることに慣れていませんでしたが、昨今ではスクロールはとても自然なアクションです。記事やチュートリアルのように一続きで長ったらしいコンテンツの場合は、スクリーンやページを分けてしまうよりスクロールの方がはるかに高いユーザビリティを生み出します。
ホームページのトップや、ファーストビューにすべての情報を詰め込む必要はありません。そしてユーザーを確実にスクロールさせるためには、デザインの一定の鉄則に従ってユーザーが興味を持つようなコンテンツを提供しなければなりません。そうは言っても、ファーストビューの情報はやはり最も目立つものであり、ページに価値があるかどうかをユーザーが判断するのに決定的な要素になっていることは忘れないでください。
ユーザーがスクロールすることを証明する多くの研究
・データ解析ツールを提供するChartbeatは、20億ものデータを分析し、「通常のメディアのページへの注意の66%は、スクロールした画面に対して向けられる」ことを明らかにしました ― What You Think You Know About the Web Is Wrong
・ヒートマップのサービスを提供するClickTaleはおよそ10万のページの閲覧を分析しました。結果としては、対象者は閲覧したページの76%でスクロールバーを使用し、そのうちの22%では、ページの長さにかかわらず一番下までスクロールしました。それでもなお、ページの一番上の画面が最も価値があるということは明白です ― Unfolding the Fold、ClickTale Scrolling Report、Part 2
・デザインエージェンシーのHugeは多くのユーザビリティテストでスクロールに関して検証し、対象者はほぼすべての場合においてスクロールを行い、それもきっかけの有無に関係なく自由に行っていることを発見しました ― Everybody Scrolls
・ユーザビリティの専門家Jakob Nielsenが行った目線を追う実験では、とりわけページがスクロールを促すようにデザインされている場合には、人はトップ画面に注意を払いながらもスクロールをするということが証明されました ― Scrolling and Attention
・Milissa TarquiniはTMZ.comの分析データの見直しを行い、最もクリック数の多いリンクがホームページの一番下にあることを発見しました。また彼女は、AOL’s Money & Financeのホームページの一番下にある投票とギャラリーが、その位置の悪さにもかかわらず多くのクリックを集めていることも指摘しています ― Blasting the Myth of the Fold
・CX Partnersが行った目線を追う別の実験では、ユーザーのスクロールには一定のデザインの法則が関係しているということが示されました ― The myth of the page fold: evidence from user testing
・Software Usability Research Laboratoryが行った複数のユーザビリティの実験では、ユーザーはページ分けされたホームページよりも、長くてスクロールをするホームページの方が速く読むことが出来るということが明かされました。これらの実験で、人間がスクロールに慣れていることが証明されたのです ― The Impact of Paging vs. Scrolling on Reading Online Text Passages
・1998年から行われているJared Spoolによるユーザビリティテストは、ユーザーはスクロールすることが好きではないと言っても、実際はスクロールをしたがるということを示しています。さらに言えば、より長くて、かつスクロールするページの方が、ユーザーにとってより効果的に機能するのです ― As the Page Scrolls
・SURLは他のユーザビリティテストを行い、検索結果のページを表示する際、ユーザーはスクロールとページ分けの両方を自然にとらえているということを証明しました ― Paging vs. Scrolling: Looking for the Best Way to Present Search Results
・Luke Wroblewskiは少量の統計データを提供し、スクロール行動に関するアドバイスをしています ― There’s No Fold
スクロールに関するさらなる記事
・2011年の7月、AppleはMac OS Xからスクロールバーを取り除きました(これは初期設定ですが、ユーザーはもとに戻すこともできます)。このことは、ユーザーがスクロールに慣れきっているために目に見えるスクロールバーすらも不必要だということを如実に物語っています。
・スクロールを推奨する、デザインのガイドラインに関するJared Spoolの記事 ― Utilizing the Cut-off Look to Encourage Users To Scroll
・ページのトップ画面に関する聡明な記事「Life below 600px」もお忘れなく