メールマーケティングとUX。この2つはお互い別物と切り分けて考えられがちですが、それは間違いです。では、お互いにどう影響しあうのでしょうか? 基本から始めましょう。
Web2.0の登場に伴い、UXへの注目はここ数年でかなり勢いを増してきました。Webデザイナー達はUIデザイナー、あるいはシンプルにUXデザイナーというような看板をかかげたり、ユーザビリティやデザインに特化したブログ(このブログのように!)や、ユーザーフレンドリーさを必死にアピールするブランドなども増え、明らかな変化が見られます。
このUXへの執着は、結果として顧客のためになっているのはいいのですが、残念なことに、ほとんどの人がUXとUIを混同していて、Webサイトのボタンをデザインし直したり、ナビゲーションバーをあっちこっちへと動かしてみたりということに時間を費やしてしまっているのです。
厳密には、Web用語として、UXというのは以下を指していいます。
・ブランドのウェブサイト内で使われるロゴやタグ、色、商標キャラクターといったブランド要素
・Webサイトのスピード
・デザインとレイアウト―美的感覚
・ナビゲーションの容易さ
・使いやすさ
・商品やサービスの見つけやすさ
・商品やサービスの質と多様性
・下記を通した顧客とのコミュニケーションの質と一貫性
・カスタマーサービス
・ソーシャルメディア
・メールマーケティング
・ブログ
顧客とのコミュニケーションがUXの一部なら、顧客とのコミュニケーションの形として最もよく使われ、かつ、投資リターンの最も高いマーケティングツールでもあるメールマーケティングをどうして無視してしまうことができるでしょうか。
メールマーケティング、10の鉄則
優れたUXとメールマーケティングのコンバージョンとの相関関係の話に飛びつく前に、まずは2分で、最適なコンバージョンをもたらす良いメールの条件を10個まとめてみましょう。
1. 件名が短く、関連性があって、パーソナライズされている
2. 見出しパッと見てメインのメッセージが伝わりやすい、印象的
3. シンプルで面白いコピーにする。箇条書きにして読みやすくし、統計などを散りばめて説得力を持たせる
4. CTA(Call To Action = 行動喚起)は大きくてわかりやすく。1件のメールに複数のメッセージを入れない
5. 画像を使いすぎない。関連性のある魅力的な画像が1枚あれば、十分伝わります。
6. 画像にAltタグを忘れず付けること。メールのプロバイダーはデフォルトでメールの画像をブロックすることが多い。
7. 上記と同じ理由で、CTA用のボタンでは画像を避け、テキストリンクを使う。
8. CTAに注目してもらえるよう、メール内ではナビゲーションバーを避けるか控えめに。
9. スマホ対応
10. ソーシャルメディアのシェア機能
メールのコンバージョンを上げるUX
メールが顧客のUXにおける不可欠な一部であるということと同時に、メールマーケティングにおいて、ユーザーのコンバージョンを促すのに何が必要かということもわかりました。それではメールでのコンバージョン率を高めるために、どうUXを向上させればいいのか、見ていきましょう。
1. デザイン、トーンを統一する
メールのデザインやトーンを、実際のウェブサイトや店のブランドイメージとマッチさせましょう。
2. 会社のロゴなどを使ってわかりやすく
顧客がメールを見てすぐにあなたの会社からだということがわかるようにしましょう。ブランドからメールを受け取る顧客というのは通常、そのブランドの他の媒体(ウェブサイト、店舗、モバイルアプリ等)で何らかの反応があった人たちです。ユーザー側がブランドに対して、一定の信頼感や認識を既に持っているということです。メールに自社のロゴやサイトの色、その他ウェブやウェブに限らず自社のデザイン資産を使って信頼感を築き、顧客の認識を活用しましょう。
3. 可能な限りメールIDを獲得
先に述べたように、メールマーケティングはマーケティングツールの中でも特に高いROI(投資対効果)があります。DMA(Direct Marketing Association)によると、メールマーケティングは、1.7ドルの投資に対し67ドルの収益をあげているということです。
サイトやソーシャルメディア、カスタマーサービス、店舗のレジ等、ユーザーの行動や導線に沿ってできるかぎりユーザーのメールIDを獲得し、これを活用しましょう。
4. メール用ランディングページの最適化=コンバージョン向上
メール経由で訪れるランディングページ自体が効果的でなければ発揮されません。自社のホームページや普通のランディングページに顧客を導くためだけにメールマーケティングに勤しんでも、せっかくの努力を無駄にしてしまいます。
メールからのコンバージョン向上のために、コンテンツとスタイルで、特に関連性が高くメールとマッチするようなランディングページを作りましょう。しかし、メールと同じことを繰り返したりしないよう、メールにある以上の情報を提供するようなものにしましょう。
・ランディングページはブリンクテストを行う―3~5秒でそのページの概要がわかること
・短くわかりやすいヘッドライン
・わかりやすいCTA
・サイトナビゲーションやポップアップ広告、アンケートはなし
・ソーシャルメディアへのプラグイン
・ランディングページには、メール情報に基づいた入力済フィールドを
5. スマホ対応
2014年では、もうスマホ対応の説明をする必要はほとんどないでしょう。ComScoreの調査によると、アメリカのユーザーの5人に4人がモバイル機器を使って買い物をしているそうです。つまり、メールマーケティングもスマホにあわせて早急に最適化する必要があるのは言うまでもありません。
・ドロップダウンリストは使わず、ナビゲーションを減らす
・メールはテキスト版と一緒にHTML版も
・件名は60文字未満
・フォントは13~14ピクセル、ヘッドラインは22ピクセル、クリックスペースは44×44ピクセル
・メッセージの長さは、Androidなら最大320ピクセル、iPhoneは自動でサイズ変更