カート放棄を阻止せよ! ECサイトからのユーザー離脱を防ぐには?

Tracy Vides

Tracy Videsはコンテンツ・ストラテジスト兼研究者で、小規模な企業や起業家にマーケティングやソーシャルメディアのアドバイスなどをしています。Tracyは大量な記事を持つブロガーでもあり、TechvibesやShe Owns It、Sprout Contentでもよく取り上げられています。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How To Make Your E-Commerce Store Sticky

デンマークのユーザビリティ調査会社、Baymard Instituteが行った調査でECサイトの平均カート放棄率は67.89%という恐ろしい統計結果が出ました。カート放棄率はECサイトのオーナーの大きな悩みの種であり、立ち向かわなければいけない試練です。

カート放棄というのは特に新しい用語ではありません。ただ、近年では失敗と同意義の用語として使われています。放棄の原因のほとんどは、決済方法やセキュリティ、商品説明などが不十分という小売業者の過失から来るものです。

買い物カゴに入った商品が100%購入されるというECサイトはありません。どんなオンラインショップでも取引が成立しないことはありますし、全ての顧客を満足させることはできないものです。現状、来訪者やクライアントをショップや買い物カゴのページに留まらせるには高いコストがかかってしまいます。Econsultancy.comのブログに、英国のオンライン小売業者が購入不成立によって被る損失が10億英ポンド以上にも上っているという、これまた恐ろしい数字が出ています。

購入の不成立にはいろいろな原因があります。TolunaQuickツールを使ったEconsultancy.comの調査によると、買い物客の過半数である74%もの人が、高額な手数料のために買い物カゴの商品を削除し、54%の人が技術的な問題でページを去っているという結果が出ました。

顧客の関心と購入意欲を削がないために、小売業者は何ができるでしょうか。

1. ゲーミフィケーションを導入しよう

購入不成立のためにビジネスチャンスを逃しているEC業界とは逆に、市場規模が今年1000億ドルを突破すると言われるのがゲーム産業です。ゲームにはそれだけの市場規模となる何かがあるということでしょう。そうなると、ビジネスにもゲーミフィケーションを導入する試みは自然の流れといえます。

ショップにゲーム的な要素を加えることで、クライアントを他へ流れさせずに、エンゲージメントを高めることができます。では実際にはどのようなものなのでしょうか? David Moth氏によると、ECサイトの中には既にゲーミフィケーションを非常に効果的に使っているところがあるとのことです。

Telefloraが使うのはソーシャル機能に対するロイヤルティで、レビューやコメント、他の客の質問への回答などに参加することでユーザーにポイントを付与しています。Dropboxは、友達紹介をするだけで250MBの追加容量をプレゼントしてくれます。LinkedInはあらゆるところにポイント制を導入し、プロフィールのレビューや完成度には「星をつける」(スコアをつける)システムを採用しています。多くのオンラインコースや掲示板、レビューサイトや質問サイトではレベルごとのバッジが用意されています。例えばJillian MichaelsやTeam Treehouse、Code Academyなどです。

2. UXやUIを正しく理解しよう

UXはECにおいて非常に重要です。ユーザーがどのように商品と接し、どう使っているかという意味で、良いUXやUIはショップの目標達成には欠かせないものです。UXはECサイトを直感で理解でき、便利で、楽しくしてくれるものです。Something Digitalではより良いUXやUIを活用し、Eコマース体験を楽しめるものにするヒントがいくつか提供されています

  • 直感的なナビゲーションシステムを用いて、買い物客の望みどおりの閲覧体験を可能にする。いろいろな並び順を試せるような方法も入れる。パンくずリストを使う。
  • 全商品に画像動画を用いて、商品自体にスポットライトを。アップセルやクロスセル、おすすめ関連商品も提示することを忘れない。
  • ユーザーが欲しいものリストを作れるようにすること。ソーシャルメディアでのシェアも。
  • 常に高いCTAを。生きた言葉を使うこと(かっこ良かったりしゃれたものである必要はない)

2.1 要求はなるべく少なく

商品のデモや動画などのコンテンツへのアクセスの際、多くの個人情報を入力させるようなことをすると、せっかくの訪問者を追い払ってしまいます。そういうコンテンツはなるべく少ない手順で簡単にアクセスできるようにしておくべきです。

有益なコンテンツへのアクセスにメール情報などのデータを求めるのは大事な戦略ではありますが、やり過ぎは禁物です。メールアドレスを聞くことは問題ありませんが、見込客を見つけるためにに複数項目の入力を求めるのは確実にやり過ぎです。

エクスペリエンスは簡単なものであるべきです。商品のデモや動画はワンタップかワンクリックでアクセスできるようにしましょう。ShopifyがデモPOSアプリをどう作っているか見てみてください。タップ1回でデモショップのiPadシミュレーションに辿り着きますし、インタラクティブで、POSターミナルのソリューションと全く同じようにシミュレーションできるようになっています。

2.2 サイトをパーソナライズしよう

Gagan Mehra氏はPractical E-commerceの記事で、NordstromやNetFlix、Staplesなどのオンラインリテーラーの大物達が使っているパーソナライズ戦略について説明しています。

これらの企業は、顧客の選択やプロフィールにあわせて、サイトの利用法を変えられるような予測モデルを用いています。ECで顧客の行動やレスポンスを積極的に追跡するアルゴリズムはますます普及してきています。

アマゾンは既にカスタマイズできるサイトの代表例です。Nir EyalはTechCrunchで、ユーザーは全部をたくさん、今すぐに欲しがっているものだと言っています。つまり小売店はいつでもデータを収集し続け、すぐにそれを有意義なものにしていなければならないのです。

2.3 カスタマーサポートを活性化させよう

この記事の中で一番重要なポイントを一つ取り上げるとすれば、この項目です。どんなビジネスでも顧客を「サポート」しています。まずしなければならないサポートは、先手を取ること、つまり顧客に求められる前に対応することです。カスタマーサポートのプロセスには十分に気を配り、ユーザーの行動と商品やサービスの利用法を追跡し、ソーシャルメディアでの発言に「耳を傾ける」ようにしましょう。

Armando Roggio氏はこれをザッポス効果(the Zappos Effect)と呼んでいますが、返答は迅速に、返品や返金のことでは絶対に反論せず、顧客に対しては一個人として心をこめて対応するというものです。

ユーザーを引き止められるショップというのは儲かるショップです。できるだけたくさんの人に訪問してもらうショップよりも、既にいる人達を維持することに神経を集中させましょう。数撃てば当たるという時代はもう終わりました。今は一度に一人の顧客を大切にし、コンバージョンを高め、あなたのサイトでのショッピングを楽しくワクワクするようなエクスペリエンスにすることが求められているのです。

あなたのECサイトは顧客を引き止められていますか? サイトに滞在させるためにどんなことをしているでしょうか?


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